私が好きな冒険の本と映像。ジャーナリスト・丸山ゴンザレス

世界の裏側にある“リアル”に踏み込む

私にとっての冒険は、社会的に踏み込めない場所にあえて踏み込むこと。惹かれるようになったのは、学生時代のバックパッカーとしての経験が大きいですね。各国のリアルを目の当たりにして、日本では当たり前の価値観がいかに一面的か突きつけられました。

その後の私の経験と強くリンクしたのが『ナルコス：メキシコ編』。

DEA捜査官カマレナ誘拐事件をきっかけに国家ぐるみで真相が隠されていく展開は、私が取材を通して知った麻薬カルテルと政治・警察・軍との癒着そのものでした。

そして取材に欠かせないのは、知性と行動力。このことを教えてくれたのが漫画『MASTERキートン』でした。

主人公のキートンは考古学という“静の世界”と、イギリス陸軍の特殊部隊出身という“動の世界”を併せ持つ人物。冷静かつ人間味をもって危機を乗り越えていく彼の姿に、裏側の世界に踏み込むうえでの理想的なスタイルを学びました。

profile

丸山ゴンザレス

まるやま・ごんざれす／1977年宮城県生まれ。世界各地の危険地帯や裏社会を取材。著書に『タバコの煙、旅の記憶』（産業編集センター）など。