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NHKドラマ10【舟を編む】RADWIMPS野田洋次郎が見せる 「オタク」「真面目」「偏屈」 な “迫真演技” の魅力とは

  • 2025.7.3

好奇心をくすぐる設定、繊細な心情表現

RADWIMPSの野田洋次郎さん(2021年6月28日、時事通信フォト)
RADWIMPSの野田洋次郎さん(2021年6月28日、時事通信フォト)

池田エライザさんが主演を務めるドラマ「舟を編む~私、辞書つくります~」(NHK総合)が、大きな注目を集めています。同ドラマは、2024年にNHK BSで放送された作品で、ギャラクシー賞をはじめ国内外でさまざまな賞を獲得。2025年6月17日(火)から、名作を多く放送している「ドラマ10枠」で地上波放送を行っています。三浦しをんさんのベストセラー小説が原作となり、地上波ドラマはBSバージョンからの「短縮版」として放送中です。

そんな「舟を編む」ですが、原作小説が大ヒットし、これまで実写映画とアニメ版も制作されている人気作です。ドラマ版は、原作の主人公・馬締光也ではなく、岸辺みどりをメインとした視線で描かれています。今回、地上波放送が開始したことで再び注目を集めている「舟を編む~私、辞書つくります~」。その魅力をあらためて紹介したいと思います。

まず、同作の最も魅力的な部分は、辞書作りにスポットを当てているところです。学生時代、多くの人が一度は手にしたことがあるのに、どうやって作られているのかあまり知られていない辞書。そんな辞書が作られる工程がしっかり分かるストーリーとなり、視聴者の好奇心をくすぐってくれます。

作品は、辞書作りに関連した出来事で進んでいくのですが、その過程で言葉にスポットが当てられ展開を広げます。例えば、6月24日(火)に放送した第2話では池田さん演じる主人公・みどりが、「恋愛」の語釈について挑戦。結果として、「恋」と「愛」について深く学ぶことになり、微妙な関係になっていた恋人との関係を進展させます。日本語を通して、登場人物たちの繊細な心の動きが描かれ、他のドラマにはない新たな発見や感動をこの作品は視聴者に提示します。

また、出演している俳優たちの演技も魅力的です。第1話で描かれるみどりは、日本語を正しく使えず、周囲から知らないうちに反感を買うのですが、よくいる女性像を池田さんは自然体で表現。どこにでもいる言葉遣いが少々乱暴な若い女性を、違和感なく等身大の演技で見せました。

そんなみどりは、ファッション誌の編集から辞書編集部に不本意な異動をするのですが、徐々に言葉の魅力にとりつかれていく様子を池田さんが丁寧に見せています。心の繊細な動きをきちんと演じられていることで、視聴者もみどりを通じて辞書の魅力に引き込まれることになります。

そして、馬締光也を演じている野田洋次郎さんの演技が秀逸でこのドラマの最大の見どころです。映画版では松田龍平さんが演じた役ですが、ドラマ版ではより個性が目立つキャラとなっています。ロックバンドRADWIMPSで大ヒット曲を連発する野田さんのイメージとは全く違い、今作で演じる馬締は「辞書オタク」。大好きな辞書については早口で一気に知識をまくし立てる姿がオタクそのもので、そんな馬締を野田さんが迫真の演技で披露しています。

野田さんは、これまで俳優として映画やドラマで個性的な演技を見せていますが、馬締はかなりクセがある役です。真面目で少し偏屈ながら、新参者のみどりの意見も柔軟に取り入れる不思議な存在の馬締を、野田さんが魅力たっぷりに演じています。池田さんと野田さんの演技を体感するだけでも、このドラマを見る価値は十分にあるでしょう。

再び地上波放送が始まったことで、高い注目と称賛を集めている「舟を編む~私、辞書つくります~」。池田さんと野田さん以外にも、柴田恭兵さん、向井理さん、前田旺志郎さんなど魅力ある俳優が多く出演する同ドラマ。まだ見ていない人は1話だけでも視聴することをおすすめします。

(ゆるま小林)

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