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30年前、日本中が熱狂した“暑苦しすぎる応援歌” 全力すぎる“バカ元気”が時代を吹き飛ばした理由

  • 2025.7.19

1995年、日本は“立ち直る”という言葉すら重たく響くような一年だった。

年始に発生した阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件など、立て続けに起きた未曾有の出来事が、日本社会に深い爪痕を残した。人々の間には、目に見えない疲労感や無力感が広がり、テレビや街の空気もどこかトーンダウンしていたように感じられる。

だがそんな中、すべてを逆走するように、いやむしろ空気なんて読んでないかのように“熱すぎる”一曲が鳴り響いた。

ウルフルズ『ガッツだぜ!!』(作詞・作曲:トータス松本)ーー1995年12月6日リリース。

この曲は、時代が忘れかけていた“くだらなさの中の力強さ”を取り戻させてくれた、異端の応援歌だ。

“うっとうしい”を振り切った先にあったカタルシス

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(C)SANKEI

『ガッツだぜ!!』は、ウルフルズにとって9枚目のシングル。音が鳴った瞬間から飛び込んでくるのは、ホーンの炸裂、しゃがれたシャウト、どこまでも真っ直ぐなビート。トータス松本の全身全霊のボーカルが、“魂”ではなく“気合”をぶつけてくるような迫力だった。

当時のJ-POPは、ラブソングか、傷ついた心にそっと寄り添う系が主流。そんな中で、とにかく「元気出せ!」「テンション上げろ!」と怒鳴り散らすようなこの曲は、あまりにも異質だった。

でも、だからこそ、響いたのだ。

「疲れてんのはわかってる、でもそれでも前に出ろ」ーーそう背中を蹴飛ばされるような勢い。

それは、1995年を生きた人々にとって、必要不可欠な“強制的元気”だったのかもしれない。

なぜこの曲が“時代のアンセム”になり得たのか?

「本気のバカ」と「本物の説得力」ーーウルフルズが『ガッツだぜ!!』で体現したのは、まさにその2つだった。

当時、大きなヒットに恵まれず、活動を続けられるかいなかの極限状態の中で、トータス松本はとことん明るく、そして馬鹿正直に“生き残る気合”を歌いきった

また当時、音楽番組『TK MUSIC CLAMP』(フジテレビ)に出演した際、MCの小室哲哉から「君たちにはディスコみたいな音楽が合っているよ」とアドバイスをされたことも成功へとつながった。結果として、ウルフルズ流のダンス・ナンバーとして仕上がり、大ヒットしたのだ。その後はNHK紅白歌合戦出場を果たすなど、名実ともに“国民的バンド”へと階段を駆け上がっていく。

トータス松本が倒れ込みサウンドがストップ、観客が繰り返し「ガッツだぜ!!」とコールすると、本人が起き上がって再び曲がはじまるーーMVでも見られる演出は、ライブやフェスでも毎度大いに盛り上がる。

あの「ガッツだぜ!!」の繰り返しは、もはや口癖になっていた人も多かったのではないだろうか?

共感とか共鳴なんて言葉が要らない、もっと根源的な「パワー」。それが、1995年という時代にジャストでハマった。

30年経っても色褪せない“直球バカ元気”

今あらためて『ガッツだぜ!!』を聴くと、その“うるささ”に少し笑ってしまうかもしれない。でもその直後、思いのほか胸の奥に響くものがある。

どんなに冷めていても、どんなに疲れていても、「ガッツだぜ!」と誰かが叫んでくれたら、なぜかちょっと元気になる。

それは、この曲が本気で「ふざけてない」からだろう。ノリだけの応援歌ではない、汗と涙のにおいがする“人生の応援歌”なのだ。

“ガッツだぜ!!”という叫びは、30年経っても誰かの背中を押し続けている。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。