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「そっちへ行ってはダメ!」思わず叫びたくなる場面も… “累計2200万PV超え”の大ヒットWeb小説の実写化

  • 2025.8.4

2025年8月8日に公開される『近畿地方のある場所について』。話題沸騰中の同名小説が、菅野美穂と赤楚衛二をキャストに迎え実写映画化された。本作を一足早く鑑賞したが、想像をはるかに超える、震え上がるような怖さの作品に仕上がっており、暑い夏にぜひおすすめしたい。

また、公開前から、椎名林檎が書き下ろした主題歌『白日のもと』にも注目が集まっている。SNSには「菅野美穂ちゃんと赤楚くんの演技はもちろん、椎名林檎さんの主題歌も楽しみです」「主題歌、椎名林檎が書き下ろした『白日のもと』だって! 絶対観たい!」といった期待の声が上がっている。

『近畿地方のある場所について』

2023年1月、背筋による『近畿地方のある場所について』の第1話が、Web小説サイト『カクヨム』に投稿された。読んだ人たちから「これは本当に虚構のストーリー?」「それとも現実にあった出来事のドキュメンタリーなのか?」「その場所は実在するのではないか」など、さまざまな反響がSNSに投稿され、小説の世界観に引き込まれた読者の間で熱を帯びた議論が巻き起こった。そして、連載が続くにつれて若年層を中心にファン層を拡大し続け、累計2200万PVを超えるヒットを記録。

書籍化されると、累計発行部数70万部を突破し、日本全国でさらに大注目される小説となった。「タイトルが気になりすぎる」と話題を呼び、読者を魅了し続けているこの異色作が、ついに実写映画化。「行方不明の友人を探しています」という場面から始まる本作は、衝撃展開の連続。観客を“ある場所”へと誘う、近畿の禁忌の物語。

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(C) 2025「近畿地方のある場所について」製作委員会

行方不明になったオカルト雑誌の編集者。彼が消息を絶つ直前まで調べていたのは、幼女失踪、中学生の集団ヒステリー事件、都市伝説、心霊スポットでの動画配信騒動など、過去の未解決事件や怪現象の数々。彼はなぜ消息を絶ったのか、今どこにいるのか分からず、同僚の編集部員・小沢悠生(赤楚衛二)は、女性記者・瀬野千紘(菅野美穂)に協力を求める。小沢は千紘と共に調査を進めるうちに、恐るべき事実に気がつく。

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(C) 2025「近畿地方のある場所について」製作委員会

それらの謎は、“近畿地方のある場所”へとつながっていることが判明し、近畿へと向かう2人。そして、全てが白日のもとに晒された時、衝撃の結末が待ち受ける……。

危険な道へと進む編集者を見事に体現する赤楚衛二

本作は、冒頭から恐ろしい展開が待ち受けていることを予想させるが、赤楚が演じる小沢のキュートな雰囲気と、彼が助けを求めて編集部に来てもらう、菅野扮する千紘のチャーミングさで中和され、ドキドキしつつも、懸命に調査をする2人の様子に引き込まれていく。

2人は消えた編集者が残したさまざまな動画や資料をチェックしていくのだが、どれもこれも不気味で、手を引いた方がいいのではないかと思わずにはいられなくなる。2人が突き進めば突き進むほど、危険なムードはどんどん高まっていく。

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(C) 2025「近畿地方のある場所について」製作委員会

オカルト雑誌の特集の仕事を成功させたい小沢は、調査にのめり込み、千紘に相談せずに単独行動をしてしまうことも。少し頼りなさげな小沢がフラフラと危険な道へと踏み込んでいく姿を、赤楚は絶妙に体現しており、心配する千紘に感情移入しつつ、「小沢くん、そっちへ行ってはダメ!」と、思わず叫びたくなってしまった。

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(C) 2025「近畿地方のある場所について」製作委員会

小沢役の赤楚は、本作でかなり体を張る熱演を繰り広げている。これまでの作品とはまた違う赤楚の新しい一面を見た気がして、彼が役者として演技の幅を広げていることを実感した。SNSにも「赤楚くんの恐怖におののく顔、楽しみ」「赤楚くんのおかげで新たな世界へ足を踏み入れます」といったコメントが見られ、ホラー作品が苦手な人からも「怖いけど赤楚くんに会いたい」「赤楚くんの顔だけに集中すればいいですか」という声が。赤楚の名演は、きっと期待を裏切らないはずだ。

ずっと頭から離れない菅野美穂の名演技

『貞子vs伽椰子』『不能犯』『地獄少女』などで知られる白石晃士監督による渾身のホラー・ミステリーである本作は、1つ1つの描写にこだわりが感じられ、とにかく怖い。物語は先読みできず、この後どうなるのだろうという不安を煽られる。そして、終盤に行くにしたがって、数々の伏線が拾われていき、1本の線へとつながっていく。

物語のキーパーソンである千紘の背景も少しずつ明かされていくのだが、彼女がどのようにオカルト雑誌に参加し、小沢や消えた編集者と関わるようになったのかなど、バックグラウンドが分かっていくにつれ、より映画に引き込まれていく。

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(C) 2025「近畿地方のある場所について」製作委員会

千紘役の菅野は、本作の舞台挨拶に登壇した際にも、面白いことを言ったりして笑わせてくれるような、周囲を明るくする俳優という印象だが、今回演じている千紘も、小沢にとって頼りになる存在で、安心感を与えてくれる役柄だ。だが、この役は決して単純ではなく、複雑な要素を持つキャラクターであることが徐々に描かれていく。

30年を超えるキャリアを持つベテラン俳優である菅野の名演技は、本作を観終わった後に、その凄さが胸に広がり、数日経っても頭から離れない。特に、ラストシーンは必見だ。

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(C) 2025「近畿地方のある場所について」製作委員会

菅野と赤楚の魅力が最大限引き出され、白石監督が描出する恐ろしく魅惑的なホラー・ミステリー『近畿地方のある場所について』。ラストシーンの後に流れる椎名林檎の『白日のもと』に鳥肌が立ち、恐怖感に浸りながら、完全に涼しくなって席を立つ。夏に観るホラー映画の醍醐味を堪能できる1本だ。


映画『近畿地方のある場所について』2025年8月8日公開

出演:菅野美穂、赤楚衛二 ほか
監督:白石晃士 脚本:大石哲也、白石晃士 脚本協力:背筋
原作:背筋「近畿地方のある場所について」(KADOKAWA)
主題歌:椎名林檎「白日のもと」(EMI Records/UNIVERSAL MUSIC)
配給:ワーナー・ブラザース映画
公式サイト:https://wwws.warnerbros.co.jp/kinkimovie/
(C) 2025「近畿地方のある場所について」製作委員会

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(C) 2025「近畿地方のある場所について」製作委員会

ライター:清水久美子(Kumiko Shimizu)
海外ドラマ・映画・音楽について取材・執筆。日本のドラマ・韓国ドラマも守備範囲。朝ドラは長年見続けています。声優をリスペクトしており、吹替やアニメ作品もできる限りチェック。特撮出身俳優のその後を見守り、松坂桃李さんはデビュー時に取材して以来、応援し続けています。
X(旧Twitter):@KumikoShimizuWP