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自動車学校の現役教官がバラす!『バック駐車』の「上手い」「ヘタ」を分ける決定的なポイント

  • 2025.7.10
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写真:photoAC(イメージ)

自動車の運転において、避けて通れないのが「駐車」。なかでも「バック駐車」は、運転に慣れている人でさえ「隣のクルマににぶつけてしまうんじゃないかと毎回ヒヤヒヤする…」「切り返しが多くなってしまい、スムーズに停められない」と感じている方も多いのではないでしょうか。

うまく枠に収まらなかったり、切り返しが増えたり、同乗者の視線が気になったり……。駐車時の“あのちょっとした焦り”は、誰もが一度は経験しているはず。

そこで今回は、自動車教習所の現役教官であるyukieさんに、バック駐車が苦手な人の特徴と、上達するための具体的なヒントを伺いました。yukieさんは、教習指導員の資格を持ち、初心者ドライバーを数多く指導してきたいわば運転のプロです。

その経験から見えてきた「バック駐車の落とし穴」を、運転に自信のある人もない人も、ぜひ確認してみてください。

全事故のうち4%以上が「バック事故」

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写真:photoAC(イメージ)

車を運転する以上、必ず出発地から車を動かしたり、目的地に車を停める必要があるため、避けては通れないのが駐車行為。店舗やコインパーキングなどの多くはバック駐車をする必要があります。

車を走らせるのと同じくらい大事なのが、「どう停めるか」という点。中でもバック駐車は、事故リスクも伴う要注意ポイントです。交通事故の調査・分析結果を解説する「イタルダ・インフォメーション」(交通事故総合分析センター)によると、バックによる事故は全死傷事故の4.3%を占めています

運転の“仕上げ”ともいえるバック駐車についての重要性についてyukieさんは「どれだけ通常の路上の運転がスムーズで上手であってもバック駐車が全くできなければ、自動車の運転にかなり支障をきたしますので、その重要度は高いといえます」と語っています。

バック駐車の上手い人ヘタな人 決定的な違い

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写真:photoAC(イメージ)

では、バック駐車が上手い人とヘタな人との決定的な違いは何でしょうか。yukieさんに聞きました。

まず、上手い人の特徴は「自分の車のサイズ、特に車幅の感覚やハンドルを切ったときの車の動きの感覚がしっかり頭に入っている人ですね」(yukieさん)。運転手の感覚と実際の車の動きがズレていない人ほど、「もう少し下がっても大丈夫」「ここでハンドルを戻す」などの判断が的確なタイミングでできるのです。

続いてヘタな人の特徴は「圧倒的に多いのは“空間把握能力が低い方”が当てはまります。いわゆる“死角”の部分、ドアやバンパーの先をイメージできない方は、どう動かしていいか分からなくなりがちです。例えばもう少し下がっても当たらないというような距離でも、感覚が鈍いと当たってしまうかもしれないと思い身動きがとれなかったり、切り返しの回数が増えたりといった感じです」(yukieさん)

こうした人は、駐車の途中で「もう無理かも…」と感じてしまい、焦ってさらに状況が悪化するケースも。

バック駐車の上達のカギ

では、どうすればバック駐車が上達するのでしょうか?

yukieさんがおすすめするのは車が動くときのタイヤ、車体が実際に通るルートである“走行軌跡”を理解することから始める方法です。

走行軌跡が理解できず「ここで切る」「ここで止める」の判断が正確にできないと以下のようなミスが起こりやすくなります。

  • 思ったよりふくらんで左右隣の車に接近してしまう
  • 内輪差を意識できず、後輪が縁石にぶつかってしまう
  • 「ぶつかりそう」と思い込んで早めにバックを止め、必要以上の切り返しが発生する

とくにバック駐車のように車体の向きを大きく変える場面では、「車がどう動くか」「どこを通るか」を頭の中で正確にイメージできるかどうかが非常に重要で「イメージとしては極端ではあるものの、台車や少し大きめのショッピングカートの動きを想像していただけるとわかりやすい」(yukieさん)とのこと。

また、yukieさんは「特にバック駐車のように90度向きが変わる後退の場合、後ろのタイヤではなく前のタイヤが向きを変えるので車両の前部分が外側に膨らむような走行軌跡になりますので、その部分の安全確認も確実に行いましょう」と加えています。

「駐車場で焦ってしまう」「自信がない」という方は、まずは車の動き方をイメージする練習から始めてみてはいかがでしょうか。


監修:yukie
無類のクルマ、バイク好き。ドイツ系外車ディーラーの整備士、国内高級車メーカーの検査員を経て、現在は自動車学校の教官として主に二輪の教習に従事。保有資格は「一級小型自動車整備士」、「教習指導員資格(普通車、中型車、二輪車)」、「中古車査定士」、「低圧電気取扱者」、「危険物取扱者」など多数。休日は古いバイクのレストアが趣味。

※参考:交通事故分析センター「イタルダ・インフォメーション No.128」