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「大雨なのに窓が閉まらない」10万円で買える『激安外車』に潜む“落とし穴”とは?プロがバラすリアル裏事情!

  • 2025.6.11
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写真:photoAC(イメージ)

ベンツ、BMW、ポルシェ…一般庶民からすると“高嶺の花”とも言える高級外車

しかし実際には、中古車となると街の中古車販売店やネット上の中古車データベース、個人間取引のオークション情報などには、驚くほど車両本体価格が安い外国車メーカーの中古車を目にすることもあります

中には10万円で買える車両も存在するほど…。

しかし、このような車両を見るとあまりの安さに思わず「すぐ故障しちゃってバカ高い修理代がかからないかな…?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、ドイツ系外車ディーラーの整備士、国内高級車メーカーの検査員の経歴を持ち「中古車査定士」の資格を保有するyukieさんに“激安中古外車の裏事情”を聞きました。

整備士や中古車査定士としての豊富な経験を持つyukieさんならではの視点で、「安すぎる高級車」が売られる“リアルな事情”や注意点を教えていただきます。

なぜ10万円で買える?激安外車のカラクリ

もともとベンツやアウディ、BMWなどの輸入車は新車時と中古時の価格差が国産車よりも大きい傾向があるのだそう。

その大きな理由として挙げられるのは、故障率の高さ故障時にかかる修理費の高額さ。こういった事情により、数十万円どころか10万円前後でも売買されるケースがあるといいます。

また、yukieさんは10万円の激安外車が販売される理由としては、やはりそのメーカーのブランド力に価値がありブランド目当てで買う人がいるので売られると言います。

「国産車でも10万円で売買されるケースがないわけではありません。しかしそうした車は売れにくく、廃車にして鉄資源として売却した方が利益が出ることもあります。ところが高級輸入車の場合、たとえ自動車としての性能に価値が残っていなくても、ブランドとしての価値があるため、格安でも売買されることがあるのです」(yukieさん)

維持費だけでなく故障時の修理費用は高い

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写真:photoAC(イメージ)

激安外車であっても税金については国産車と変わりませんが、輸入車は燃費が悪いものが多く、ハイオク指定車も少なくないため、燃料費が高くつく傾向があります。

また、故障による修理時には部品を海外から取り寄せる必要があるため、同じ部品でも国産車より価格が高くなりがちです。

購入時のチェックポイント

yukieさんは激安輸入車の購入を検討する際には、故障リスクを理解したうえで頻発するトラブルについて事前に調べておくことが重要といいます。

「よく言われるオイル漏れ関係や電装品の故障などは、パーツが現在も難しくなく入手できる状況にあるのかとか、急に走行不能になるレベルのトラブルが起きたとして、保険やロードサービスで対応できるのか。また購入先がどこま補償や修理を含めて責任もって対応していただけるのかをしっかり見極めることが重要」(yukieさん)なんだとか。

また、yukieさんは「販売店が購入後の補償や修理にどこまで対応してくれるかも事前にしっかり見極めるべき」ともいいます。

大雨の日に窓が閉まらない

「私は整備士の資格を持っているので、オークションで不動車状態の格安車を購入し、自分で修理して乗ることもあります。もちろん、古さや不便さはありますが、それさえ気にならなければコストパフォーマンスは非常に高いと感じます。大雨の日に窓が閉まらなくなって苦労したこともありましたが(笑)。もちろん日本の新車!という世界的に見ても故障が少なくリセールも良い車もまた素晴らしいものがありますが、古くてボロボロの車であっても手間をかけて直しながら乗ると車への愛着も自然と湧いてくるものです」(yukieさん)

ただし「どんな車に乗るにしても車検や保安基準など、守るべき法的ルールはしっかりと守ったうえでカーライフを楽しんでほしい」とyukieさんは付け加えます。

激安外車は「ロマン」と「リスク」 が“表裏一体”

激安中古外車は、外国の有名自動車メーカーの車が低価格で手に入る魅力に惹かれて手を出したくなる魅力がありますが、維持費やトラブル対応など、実際に所有するには多くの注意点が潜んでいます。特に輸入車特有の故障や部品調達の難しさは、知識や経験がないと対応が難しい場面も多くあります。

整備の知識がある方や、趣味として楽しみたい人には“楽しみながら付き合える存在”かもしれませんが、初心者が軽い気持ちで購入するのはハードルが高めであることは間違いありません。見た目のブランドや価格の安さに惑わされず、慎重な判断が求められそうです。


監修:yukie
無類のクルマ、バイク好き。ドイツ系外車ディーラーの整備士、国内高級車メーカーの検査員を経て、現在は自動車学校の教官として主に二輪の教習に従事。保有資格は「一級小型自動車整備士」、「教習指導員資格(普通車、中型車、二輪車)」、「中古車査定士」、「低圧電気取扱者」、「危険物取扱者」など多数。休日は古いバイクのレストアが趣味。

※サムネイル画像出典:photoAC(イメージ)