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「NHKでやるの?」「なんて生々しい…」“重すぎる脚本”に視聴者騒然…だけど「絶対必要」“続編を望む声”が相次ぐ名作ドラマ

  • 2025.8.5

ドラマや映画の中には、人生を見つめ直すきっかけをくれる作品があります。今回は、そんな中から"心に問いかけられる名作"を5本セレクトしました。本記事ではその第3弾として、ドラマ『純と愛』(NHK総合)をご紹介します。祖父が営んでいたホテルをもう一度“魔法の国”にしたいと夢見るヒロインと、人の心が見える不思議な青年。二人は数々の試練に翻弄されながらも、支え合い、愛を貫こうとするのですが――。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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平成25年用お年玉付年賀はがき販売開始セレモニーに出席した夏菜(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):連続テレビ小説『純と愛』(NHK総合)
  • 放送期間:2012年10月1日 - 2013年3月30日
  • 出演:夏菜(狩野純 役)

祖父が営んでいた宮古島のホテル「サザンアイランド」を、もう一度“魔法の国”にしたいという夢を抱く狩野純(夏菜)。理想を追い求め大阪に飛び出した純は、人の本心を見抜く不思議な力を持つ青年・待田愛(風間俊介)と出会い、やがて結婚します。ところが、再建を誓ったホテルが売却の危機に…。二人は運命に翻弄されながらも支え合い、未来を切り開こうと奔走するのですが――。

人気脚本家が描く、従来の朝ドラ像を覆した挑戦作

『純と愛』は、ヒットメーカー・遊川和彦さんが脚本を手がけた作品です。『家政婦のミタ』『女王の教室』などで知られる遊川さんが、初めて朝ドラの脚本に挑戦。「これまでにはなかったドラマを作る」というスローガンのもと、従来の朝ドラ像を大きく変える物語が生まれました。

チーフプロデューサーの山本敏彦さんは一人ひとりのキャスティングにも強いこだわりもって臨み、本作をクセになっちゃうドラマと語っています。

ヒロインの狩野純を演じたのは、映画『GANTZ』で体当たりの演技が話題となった夏菜さん。正義感が強く、理想のホテルを作りたいという夢に向かって走り続ける姿を、全身全霊で演じ切りました。純と運命を共にする青年・待田愛を演じたのは、演技派として知られる風間俊介さん。人の本心が見えるという不思議な力を持つ役柄を熱演しています。純の父・善行役には『3年B組金八先生』でおなじみの武田鉄矢さん、母・晴海役に森下愛子さんが出演し、家族の葛藤と愛情を丁寧に表現しました。

「逆・眠り姫」── 異例の朝ドラが描いた“切ない最終回”

朝の連続テレビ小説としては異例の挑戦作となった『純と愛』。最終回に描かれた純と愛の切ないラストシーンは、今も多くの視聴者の記憶に残っています。脳腫瘍の手術後に昏睡状態になった愛にそっとキスをする純。「逆・眠り姫」と呼ばれたこのシーンでは、愛は完全に目覚めることはなかったものの、両手がわずかに動く反応を見せ、希望の光を残して物語は幕を閉じました。

ドラマ終了後には、スピンオフ作品『純と愛スペシャル 富士子のかれいな一日』が制作され、BSプレミアムで放送されました。

吉田羊さんが演じる鬼教官・桐野富士子が主人公で、純も登場。本編の2年後を描いた続編的な内容ながら、愛が元気になった様子は描かれませんでした。SNSでは、純と愛のその後を知りたいと願う声が多数寄せられました。

終わりのない不幸の連鎖に賛否両論

本作は放送当時、賛否があった作品でもあります。重いストーリーが「朝向きではない」と受け取られ、「NHKでやるの?」「なんて生々しい…」「朝から憂鬱な気分になる」といった声も。

主人公に次々と降りかかる不幸は、視聴者が戸惑う要因となりました。ホテルの買収や焼失母親の認知症父親の死、そして愛の昏睡状態など、あまりにも試練が続く展開に「救いがない」という悲痛の声が集中したのです。特に、夫・愛の回復を願っていた多くの視聴者にとって、彼が目覚めないまま終わる最終回は、その期待を裏切る辛い結末となってしまいました。

くわえて、ヒロインである純に対しても、厳しい目が向けられました。純は感情的になると他人を責め立ててしまう一面があり、「自分勝手に見える」と感じられる場面も。

とはいえ、「昼ドラみたいで好きだった」「今の時代なら評価が変わっていたかもしれない」「続編を作ってほしい「続編が絶対必要」「続編観たい…」といった声も多数寄せられています。

『純と愛』が描いたのは、理想とはほど遠い現実の中で、それでも夢を追い、愛する人を一途に想う姿でした。救いが見えにくい物語だからこそ、人生のままならなさを抱える人の心に届く名作となったのでしょう。


※記事は執筆時点の情報です