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50年間で50作品を生んだ『国民的シリーズ』…22年ぶり“待望の新作”に「全人類みて」称賛殺到 “数々の受賞歴”が示す完成度

  • 2026.3.15

映画やドラマの中には、長い年月を経て再び脚光を浴びる作品があります。今回は、そんな中から"数年ぶりに復活を遂げた作品"を5本セレクトしました。本記事ではその第3弾として、映画 『男はつらいよ お帰り 寅さん』(松竹)をご紹介します。22年ぶりの新作として届けられた本作は、なぜ今、若い世代の心をも惹きつけるのかーーその魅力に迫ります。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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プロ野球巨人対阪神 ファーストピッチセレモニー 桜田ひより(C)SANKEI
  • 作品名(配給):映画 『男はつらいよ お帰り 寅さん』(松竹)
  • 公開日:2019年12月27日
  • 出演:渥美清(車寅次郎 役)、吉岡秀隆(諏訪満男 役)ほか

脱サラして小説家になった満男(吉岡秀隆)は、妻の七回忌で訪れた実家で、両親や親戚と伯父・寅次郎(故・渥美清さん)の思い出話に花を咲かせます。長い間寅さんに会えず、大人になった満男の心には大きな穴が空いていました。

そんなある日、満男のサイン会に初恋の相手であるイズミ(後藤久美子)が偶然現れます。思いがけない再会を喜ぶ満男は、イズミを小さなジャズ喫茶へ案内します。なんとそこには、かつての寅さんの恋人・リリー(浅丘ルリ子)がいました。

懐かしい顔ぶれと寅さんの思い出を語り合う穏やかな時間。そこで満男とイズミは、リリーから寅さんの知られざる過去を聞かされるのでした――。

寅さん50年目の"おかえり"

本作は、1969年に第1作が公開されてから50周年の節目に製作された、記念すべきシリーズ第50作です。原作・監督は山田洋次さんが務め、脚本は朝原雄三さんとの共同執筆で書き上げられました。

「男はつらいよ」シリーズは1983年に「一人の俳優が演じた最も長い映画シリーズ」としてギネス世界記録に認定されており、前作までの累計観客動員数は8000万人興行収入は900億円にのぼります。1997年公開の第49作『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇』から実に22年の時を経て届けられた、待望の完全新作です。

キャスト陣の豪華さも見逃せません。物語の中心となる満男役の吉岡秀隆さんをはじめ、倍賞千恵子さん、前田吟さん、浅丘ルリ子さん、夏木マリさんといったシリーズでお馴染みの顔ぶれが再び集結。さらに、23年ぶりの女優復帰となった後藤久美子さんや、池脇千鶴さん、桜田ひよりさんら新キャストの参加も大きな話題となりました。

何より注目したいのは、1996年に亡くなったシリーズの看板俳優・渥美清さんの存在です。もうこの世にはいないはずの寅さんが、まるですぐそばにいるかのように物語の中で息づいており、観る者の胸を強く打ちます。加えて、オープニングでは無類の寅さんファンとして知られる桑田佳祐さんが主題歌「男はつらいよ」を熱唱しており、こちらも必見です。

SNSで「全人類みて」と称される作品の完成度は賞レースでも裏付けられています。第44回日本アカデミー賞で最優秀編集賞を獲得したほか、優秀作品賞、優秀脚本賞、優秀主演女優賞(倍賞千恵子さん)、優秀助演女優賞(後藤久美子さん)、優秀音楽賞を含む計10部門で受賞を果たしました。

令和の若者の心を掴んだ“人情喜劇”

本作の大きな見どころは、破天荒でありながらも愛情深い寅さんの人柄と、彼を取り巻く人々の人間模様です。

現代では希薄になりがちな、騒々しくも温かい家族の食卓の風景や、誰もが一度は経験する初恋の切ない思い出が、最新作ならではの視点で色鮮やかに描かれています。こうした日常の何気ない情景が、シリーズを初めて観る若い世代の心をも掴んでいるようです。

作品に込めた思いについて、山田監督は次のように語っています。

先行き不透明で重く停滞した気分のこの時代に、寅さんのセリフにあるように“生まれてきてよかったと思うことがそのうちあるさ”と、50年をかけて製作したこの映画が日本のみならず世界中で一人でも多くの観客の“心の希望”となることを切に願います
出典:『男はつらいよ お帰り 寅さん』公式サイトより

この言葉のとおり、時代がどれだけ移り変わろうとも、寅さんの笑顔と不器用な優しさは決して色褪せません。悩みの尽きない現代を生きるすべての人にそっと寄り添い、明日への活力を届けてくれる珠玉の一作です。

「寅さんの世界観にぴったり」の声続出!色褪せぬ国民的名作

そんな「寅さん」シリーズに初参加し、新たな風を吹き込んだのが、オーディションで満男の一人娘・諏訪ユリ役を射止めた桜田ひよりさんです。

撮影現場では初参加とは思えないほど自然に諏訪家の一員として溶け込んだといいます。

公開後、観客からは「可愛い」「透明感のある素敵な女優さん」といった称賛のほか、「心地よい声に癒された」「寅さんの世界観にぴったり」など、その存在感を高く評価する声が数多く寄せられました。

22年という長い歳月を経て届けられたこの一本は、観る人それぞれの記憶の中にある大切な誰かを思い出させてくれる、かけがえのない作品です。


※記事は執筆時点の情報です