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「このドラマ本当すごいな…」「天才的だ」“類を見ない完成度”に称賛の嵐…「まさかすぎる」視聴者の“度肝を抜く脚本”で魅せた逸作

  • 2025.8.4

映画やドラマの中には、脚本に張り巡らされた巧みな伏線によって、解釈が分かれる作品があります。今回は、そんな中から"物議を醸した名作"を5本セレクトしました。本記事ではその第5弾として、ドラマ『silent』(フジテレビ系)をご紹介します。突然の別れと8年越しの再会――。声を失った元恋人と、もう一度向き合おうとするヒロインの、優しく切ないラブストーリーです。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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東京ドラマアウォード2023授賞式に出席した川口春奈(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):ドラマ『silent』(フジテレビ系)
  • 放送期間:2022年10月6日 - 2022年12月22日
  • 出演: 川口 春奈(青羽紬 役)

青羽紬(川口春奈)は、高校2年の秋、朝礼で耳にした佐倉想(目黒蓮)の声に惹かれ、恋に落ちます。高校3年で同じクラスになり、やがて恋人同士に。しかし卒業後、想は別れの言葉もなく突然姿を消しました。

それから8年が経ったある日。街で偶然見かけた想に、紬の心は再び揺れます。もう一度会って、きちんと話がしたい。そう思い、想の行方を探し始めるのですが…。

たどり着いたのは、彼が「若年発症型両側性感音難聴」により、聴力のほとんどを失っていたという事実でした――。

新人脚本家と若手俳優たちが描いた“聴こえないラブストーリー”

ドラマ『silent』は、若手クリエイターと実力派キャストが集結し、多くの反響を呼んだ感動作です。

脚本は、フジテレビの新人発掘プロジェクト「ヤングシナリオ大賞」で大賞を受賞した生方美久さん。

主演は、人気女優の川口春奈さんです。デビュー15周年という節目の年に、フジテレビ系の連続ドラマで初めて主演を務めました。川口さんが演じるのは、過去の恋を抱えながらも新たな人生に踏み出そうとする女性・青羽紬。等身大の素直な演技で、多くの視聴者の共感を呼びました。

その紬の元恋人・佐倉想を演じたのは、Snow Manの目黒蓮さんです。難聴を患いながらも真っ直ぐに生きる青年という難役に挑戦しました。

さらに、紬と想の友人・戸川湊斗役に鈴鹿央士さん、想の元恋人で難聴の当事者でもある桃野奈々役には夏帆さんが出演。
若手ながら演技派として知られるキャスト陣の好演が話題となりました。

視聴者を虜にした“伏線回収”

ドラマ『silent』が多くの視聴者を惹きつけた理由のひとつに、伏線の巧みさがあります。何気ないセリフや仕草が、時を超えてつながっていく構成に、心を動かされた人も多かったようです。

第1話では、高校時代の想が紬にじゃれるように言った「うるさい」という一言が、ラストでは聴力を失った想によって手話で「うるさい お前、うるさい」と感情をぶつける形で返されます。同じ言葉でもまったく異なる意味合いを持ち、経過した8年の重みを伝えました。

さらに、第2話で明らかになったのが「サクラソウ」にまつわる伏線です。紬の誕生日が4月28日で、その日の誕生花が「サクラソウ」。花言葉は「初恋」「あこがれ」です。紬と想の関係性を象徴するような意味が込められており、視聴者のあいだで話題となりました。

また、「佐倉想」という名前と「サクラソウ」の音の類似性にも注目が集まり、さらには想を演じる目黒蓮さんの誕生日・2月16日も「サクラソウ」が誕生花であることが判明。この偶然とは思えない一致が「制作側の巧みな仕掛けでは」とSNS上で大きな反響を呼び、ラブストーリーとしては異例の「考察合戦」を視聴者の間で巻き起こしました。

さらに最終回では、想が高校時代に書いた「言葉」という題の作文を、手話で読み上げるシーンが登場。これまで一部しか明かされていなかったその内容がすべて語られ、「この作文も伏線だったのか」と、多くの人が驚きと感動を口にしました。

視聴者を“沼らせた”とも言われるドラマ『silent』。その魅力の根底には、丁寧に設計された伏線と、それを積み重ねて回収していくストーリーがあったのです。

SNSでは「このドラマ本当すごいな…」「まさかすぎる…」「天才的だ」「鳥肌…」「こんなドラマ初めて」と絶賛の声で溢れていました。

ヒロインに集まった声

主人公の紬は、音楽好きが高じてCDショップで働く女性。明るく元気な性格で、正社員登用も期待されるなど、日々を前向きに生きています。一方で、8年前に別れた恋人・想のことを今も忘れられずにいます。

紬については、「明るくてさばさばしていて好印象」「想と湊斗、どちらにも好かれるのが納得」「素直で可愛い」といった好意的な声がある一方で、「傲慢」「自分勝手」といった否定的な声も。

とくに議論を呼んだのが、想の大学時代の友人・奈々とのシーンです。紬は奈々に、「今の想がいるのは奈々さんのおかげ」「この8年間想に笑って過ごしていてほしいと思っていた、ありがとうございました」と感謝を伝えますが、この場面が「上から目線に感じた」といった反発も生みました。

背景には、紬が想と湊斗という二人の男性から好意を寄せられているという設定があります。そのため、「愛されて育った人間特有の無神経さ」という声もあがり、紬の“恵まれた立場”が他者への配慮に欠けて見えたのかもしれません。

一方の奈々は、難聴を患った想を大学時代から支えてきた人物。「音のない世界は悲しいことじゃない」と語り、想に手話を教えた唯一の存在です。紬に対しても、「想くんとたくさん手話で話したほうがいい」と背中を押しますが、想と自分だけの関係だった手話を奪われたように感じ、悔しさをぶつける場面も描かれました。けれどその後、紬の真剣な気持ちを知った奈々は「今は(手話を)おすそ分けした気分」と、その気持ちを受け入れます。

最終回では、「うまくいってほしい、聞こえるとか聞こえないとか関係ないって思いたいから」と、紬と想を応援する姿を見せた奈々。そんな優しさと芯の強さを熱演した夏帆さんの存在があったからこそ、紬の“無邪気さ”と“未熟さ”が目についてしまったのかもしれません。

人によって「好き」「苦手」が真っ二つに分かれたヒロイン。けれど、だからこそドラマ『silent』は、ただのラブストーリーにとどまらず、物議を醸した作品として、深く記憶に残る一作となりました。


※記事は執筆時点の情報です