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「そうきたか…」「とにかく震えた」“意味深なラストシーン”に真逆の考察が続出…「NHKにしか作れない」大絶賛の至高ドラマ

  • 2025.8.1

映画やドラマの中には、脚本に張り巡らされた巧みな伏線によって、解釈が分かれる作品があります。今回は、そんな中から"物議を醸した名作"を5本セレクトしました。本記事ではその第3弾として、ドラマ『3000万』(NHK総合)をご紹介します。ごく普通の主婦が、気づけば追われる身に――。ささやかな幸せを願った女性の衝撃の結末とは…。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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安達祐実(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):ドラマ『3000万』(NHK総合)
  • 放送期間:2024年10月5日~2024年11月23日
  • 出演: 安達祐実(佐々木祐子 役)

コールセンターで派遣社員として働く佐々木祐子(安達祐実)は、住宅ローンや子育てに頭を抱えながら、どうにか日々の暮らしを支えています。高圧的な上司に耐え、先の見えない不安を抱えながらも、なんとか踏ん張って生きている毎日――。

一方、夫の義光(青木崇高)は、大した稼ぎもないまま「なんとかなるさ」と楽観的な態度を繰り返すばかり。現実から目をそらし続けるその姿に、祐子は苛立ちを募らせていきます…。

そんな祐子にとって、唯一の支えは息子・純一(味元耀大)の存在です。習い事のピアノに夢中になっているその姿は、見るたびに愛おしく、心から誇らしく思えるものでした。けれど、家計はいつもギリギリ。ほんの少しでも、楽に暮らせたら――それが、祐子のささやかな願いでした。

そんなある日、佐々木家に思いがけない不幸が訪れます。
ほんの出来心で下した、ひとつの判断。それが、大きな過ちとなり、祐子たちの暮らしを一変させるのでした――。

4人の脚本家が描いた、“家族の選択と転落”

ドラマ『3000万』は、2022年にNHKが立ち上げた脚本開発プロジェクトWDR(Writers' Development Room)」から生まれました。「世界を席巻するドラマを作る」という目標のもと、NHKでは初めてとなる新しい制作スタイルが採用されています。

このプロジェクトでは、海外ドラマで一般的な「ライターズルーム」という手法を導入。複数の脚本家が集まり、共通の設定やキャラクターをもとに物語の展開を話し合いながら、チームでひとつの脚本を作り上げていく方法です。日本のテレビドラマではまだ珍しいこのスタイルに、約2000人の応募が寄せられ、その中から選ばれた10人のうち、最終的に4人が脚本を担当しました。

本作は、交通事故をきっかけに3000万円もの大金を手にした一家が、日常を失っていく姿を描いています。登場人物の「本当に望んでいること(=WANT)」を軸に、選択の理由や感情の揺れが丁寧に描かれています。

主人公・祐子の「少しでも楽になりたい」というささやかな願いが、あるときは我慢となり、あるときは衝動に変わります。その積み重ねが、平凡な日常をじわじわと狂わせていくのです。

本作の主人公・祐子を演じるのは演技派女優の安達祐実さんです。生活に追われながらも家族を支え続ける女性を、迫真の演技で体現。夫・義光を演じるのは青木崇高さんで、理想と現実の狭間で葛藤する夫をリアルな存在感で表現しています。

さらに、野添義弘さん、愛希れいかさん、森田想さんらが登場し、それぞれの思惑や過去が絡み合いながら、物語は次第に緊迫感を増していきます。

SNSには「NHKにしか作れない」「鳥肌が立つほど面白かった」と絶賛の声で溢れていました。

停車、発進、そしてUターン…最後の“運転”に込められた迷いと覚悟

緻密な脚本で注目を集めたNHKドラマ『3000万』。なかでも視聴者の間で大きな話題となったのが、最終回のラスト、“Uターン”のシーンです。

詐欺に加担させられていた闇組織からなんとか抜け出した祐子は、一人で車を走らせ、赤信号でいったん停車。青信号になってもなかなか発進せず、次の交差点でUターンします。その一連の動きには、祐子の迷いや葛藤がにじんでいました。

しかし、彼女がその後どこへ向かったのか、作中では明言されていません。それだけにSNSには「そうきたか…」「とにかく震えた」と驚く声とともに、「自首したのだろう」「家族の待つ家には帰らずってことよね」「姿をくらましたのかな」といったさまざまな意見が投稿されました。

なかには、「最後どこに行ったんだろ…海に沈めた男のところなのかな」「逃げた2人と組む道を選んだのかも」「結局、家に戻ったんだと思う。いや、そう思いたい…」と語る声も。

Uターンの意味は、「自首」なのか「逃避」なのか、はたまた「共犯」になったのか、あるいは「自殺」したのか――。

ラストを明確に描かなかったからこそ、“その後”をめぐるさまざまな考察が生まれ、「物議を醸した名作」となりました。


※記事は執筆時点の情報です