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「一生観れないだろうな...」“まさかの事件”が勃発し封印された衝撃ドラマ…「ほんとに待ってた」“25年ぶりの解禁”に大反響の傑作

  • 2025.7.29

ドラマの中には、名作と評価されながらも、さまざまな事情で再放送ができない作品があります。今回は、そんな“再放送が難しいといわれている名作ドラマ”を5本セレクトしました。本記事ではその第4弾として、ドラマ『ギフト』(フジテレビ系)をご紹介します。クールで危うい“届け屋”が、記憶を失ったまま人々の人生に関わっていく――。その“ギフト”は希望だったのか、それとも…。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):ドラマ『ギフト』(フジテレビ系)
  • 放送期間:1997年4月16日 -1997年6月25日
  • 出演:木村 拓哉(早坂由紀夫 役)

記憶を失った青年・早坂由紀夫(木村拓哉)は、巨額横領事件の犯人が住んでいたマンションのクローゼットの中で、血まみれの状態で発見されました。彼を見つけた横領犯の愛人・腰越奈緒美(室井滋)は“由紀夫”と名づけ、自身が営む人材派遣会社で“届け屋”として働かせることにします。

由紀夫が運ぶのは、花束やラブレターだけではありません。裏帳簿、武器、ペット、さらには人間まで。どんな依頼でも、必ず本人の手に届ける。それが彼のルールでした。

正体不明の占い師、犯罪マニア、監視役として送り込まれた女――怪しげな人々に囲まれながらも、由紀夫は圧倒的な身体能力と鋭い嗅覚、記憶力で任務をこなしていきます。

失われた過去を埋めるように“届ける”ことに執着する由紀夫。その行動はやがて、依頼人や受取人の人生を変える“奇跡のギフト”となっていきます――。

ダークヒーロー・由紀夫が紡ぐ再生の物語

1997年にフジテレビ系で放送されたドラマ『ギフト』は、木村拓哉さんが主演を務めたサスペンスドラマです。脚本は『らせん』の飯田譲治さんと、『昼顔』の井上由美子さん。演出は『星になった少年』の河毛俊作さん、『Dr.コトー診療所』の中江功さんと、ヒットメーカーたちが名を連ねました。

主人公の由紀夫は、ブランドスーツに葉巻という出で立ちで、裏帳簿や人間までも運ぶ“届け屋”。破天荒な設定が話題を呼び、演じる木村さんは、クールで色気のある“ダークヒーロー”を熱演しました。

本作は一話完結形式で、由紀夫がギフトを届ける先々でさまざまな人間模様が描かれ、単なるサスペンスにとどまらない深みがあります。

そして何より、記憶を失った由紀夫が自分の過去と向き合い、再生していく姿が丁寧に描かれています。暴力的な描写ばかりが注目されがちですが、本来は、痛みを抱えた人々の姿に寄り添う作品でもありました。

キャストには室井滋さん、篠原涼子さん、忌野清志郎さんなど個性派がそろい、各話のゲストにも桃井かおりさんや鈴木京香さんなど、豪華な顔ぶれが登場します。主題歌にはブライアン・フェリーの『TOKYO JOE』が起用され、音楽・映像・演出のすべてに、当時の“カッコよさ”が凝縮された作品となっています。

13歳の犯行と“ナイフの描写”が社会にもたらした波紋

ドラマ『ギフト』は放送当時、スタイリッシュな映像と型破りな設定で話題を呼びました。その背景には、放送翌年に起きたショッキングな事件が関係しています。

1998年、栃木県の中学校で、当時13歳の男子生徒が女性教諭をバタフライナイフで刺殺するという凄惨な事件が発生。のちに、少年は「『ギフト』でキムタクが器用にバタフライナイフを振り回しているのを見て、かっこ良さを見出した」と供述したといいます。

この発言が報道されると、「ドラマが少年に悪影響を与えたのではないか」という声が相次ぎ、再放送をしていた東海テレビは放送中止。その後、地上波・BSともに再放送は一切行われず、ソフト化も長らく見送られました(VHSは事件前に販売済み)。

ドラマの中で明かされる由紀夫の正体は、暴力と快楽に溺れていた不良青年・溝口武弘。否定されるべきその過去を経て、物語は“過去を捨てて、新しい自分として生き直す”ことを描いていたはずでした。しかし、その“危うい魅力”が作品の本意とは違う形で届いてしまったことが、社会的な波紋を広げる結果につながってしまったのです。

「絶対無理だと思ってた」SNSにあふれた歓喜の声

封印から25年以上が経った今も、ドラマ『ギフト』をもう一度観たいという声は絶えません。一時は再放送はおろか、DVD化すら見送られていましたが、近年になって状況は少しずつ変わり始めています。

SNSでは「一生観れないだろうな…」と悲痛の声が見られたなか、2019年にはついにDVD-BOXが発売され、フジテレビが運営する有料配信サービス“FOD”での配信も実現。まさかの『ギフト』復活に驚くファンが続出し、SNSでは「めちゃくちゃカッコよくてオシャレ」「リアタイ世代としては、喜びと感動が一気に押し寄せてる」「諸事情で絶対配信無理だと思ってたのに!嬉しすぎる!!」「ようやくあの名作が配信される!老若男女、絶対に観て!」「ほんとに待ってた」と歓喜の声が続出。

その一方で、作品が封印されるきっかけとなった事件の影響は、今も根強く残っており、地上波での再放送は実現していません。けれど、このドラマが描いていたのは暴力の肯定ではなく、“過去とどう向き合い、どう生き直すか”という普遍的なテーマでした。

長く封印されてきた本作を、ぜひ観てみてはいかがでしょうか?


※記事は執筆時点の情報です