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「過激すぎる」「やりすぎ…」視聴者から“非難の声”→処分が下る異常事態…「後にも先にもない」視聴者を“釘付け”にした伝説ドラマ

  • 2025.7.12

映画やドラマの中には、何度でも観返したくなる作品があります。今回は、そんな中から"クセになる名作"を5本セレクトしました。本記事ではその第5弾として、ドラマ『幸せの時間』(フジテレビ系)をご紹介します。交通事故をきっかけに、明らかになった家族の裏切りと崩壊…。禁断の愛に身を投じた母が見つめた“幸せの時間とは――。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):『幸せの時間』(フジテレビ系)
  • 放送期間:2012年11月5日~12月28日
  • 出演: 田中美奈子(浅倉智子 役)

あらすじ

物語の舞台は、誰もがうらやむ「理想の夫婦」とされていた浅倉家。主人公・智子(田中美奈子)は念願のマイホームを手に入れ、家族と共に幸せな日々を送っていました。ところがある日、自身が起こした交通事故をきっかけに、浅倉家の運命は大きく揺らぎはじめます。

夫・達彦(西村和彦)は家族思いに見えていたものの、浮気横領が発覚。長男・良介(上遠野太洸)は高校を中退して同棲をはじめてしまいます。そして、両親の愛情を一身に受けて育った長女・香織(伊藤梨沙子)もまた、自ら売春を選び、さらには父の同僚・矢崎(柳沢慎吾)との秘密の関係にのめり込んでいきます。

「夫のため、子どものため」と尽くしてきた智子が何よりも大切にしてきた“家族の幸せな時間”は、もはや戻らないように思えました。やがて智子は、喪失感と孤独のなかで、禁じられた恋に身を投じることに――。

累計400万部超の人気作を原作に持つリアルな家庭ドラマ

『幸せの時間』は、東海テレビ制作。放送当時には「誰にでも起こりうる家族の崩壊」を描いたことで話題となりました。

原作は、国友やすゆきさんによる同名コミックシリーズ累計400万部を超えるヒット作で、家庭の中にひそむ綻びと、そこから始まる崩壊の過程をリアルに描いたことで、多くの読者の共感を集めました。本作は、昼ドラらしいドロドロとした展開を含みつつも、「家族とは何か」「幸せとは何か」を問いかけました。

問題視された“過激な描写”がもたらした波紋

「家族の崩壊と再生」を描いた『幸せの時間』が、放送倫理・番組向上機構(BPO)の審議対象となったのは、放送終了から数か月後のことでした。

問題となったのは、ベッドシーンや、女子中学生が男性の前で衣服を脱ぐ場面など、一部で“過激すぎる”と指摘された性描写。視聴者からは「行き過ぎではないか」といった苦情が多数寄せられ、その数は3桁に迫る勢いだったといいます。

審議にあたったBPOの「放送と青少年に関する委員会」は、「こうした描写が視聴率競争のなかで標準化していくことを懸念する」と明言。さらに、「これぐらいは許される」という思い込みや、制作現場の“惰性”に対しても強い警鐘を鳴らしました。

当初、東海テレビ側は「作品のテーマを伝えるために必要な描写だった」と説明しましたが、最終的には「行き過ぎた表現があった」と過ちを認め、番組制作の判断に甘さがあったことを公式に報告。役員報酬の減額や関係者への処分も発表されました。

この騒動には、「処分によって表現の自由がタブー視され、現場が萎縮する恐れもある」との懸念も寄せられ、視聴者の間でも意見が分かれました。

SNSでは、「過激すぎる」「昼間の番組としてはやりすぎ」と懸念する声がある一方で、「ドロドロ極めててかなりおもしろかった」「昼ドラ好きで散々観てたけどあんなに面白い作品は後にも先にもない」「ツッコミどころ満載で逆におもしろい」「あの狂った感じが好きだった」と支持する意見も多数寄せられています。

作品の是非をめぐり、大きな議論を呼んだ昼ドラですが、10年以上経った現在も多くのファンに愛されている一作です。


※記事は執筆時点の情報です