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「映画館に11回通って観た」「すでに10回目」“異例のヒット”を記録した名映画…「お願いだから観て」“凄まじい熱狂”のワケ

  • 2025.7.17

映画やドラマの中には、何度でも繰り返し観たくなる作品があります。今回は、そんな中から"クセになる名作"を5本セレクトしました。本記事ではその第1弾として、映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(東宝)をご紹介します。90年代の音楽と“コギャル文化”に彩られた青春の日々。止まっていた時間が再び動き出すとき、彼女たちの絆は、かつての輝きを呼び戻すことができるのでしょうか――?

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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(C)SANKEI
  • 作品名(配給):『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(東宝)
  • 公開日:2018年8月31日
  • 出演: 篠原 涼子(阿部奈美 役)

かつて青春を謳歌していた女子高校生グループ“サニー”の6人は、22年の時を経て、それぞれ問題を抱える大人になっていました。

専業主婦として平穏な日々を送っていた奈美(篠原涼子)は、ある日、親友だった芹香(板谷由夏)と久しぶりに再会します。けれど芹香は末期がんを患い、「死ぬ前にもう一度だけみんなに会いたい」と願っていました。

その思いを受け、奈美はかつての仲間を探し始めます。バラバラになった“サニー”は、再び集まることができるのでしょうか――。

韓国では社会現象、日本では異例のロングランになった名作映画

2011年に韓国で公開された映画『サニー 永遠の仲間たち』は、笑いと涙を織り交ぜた青春群像劇として740万人を動員する大ヒットとなり、社会現象と呼ばれるほどの人気を集めました。一見ポップな物語の中に、80年代後半の民主化運動という時代背景を重ねた構成が高く評価されました。

その感動は、2018年の日本版映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』に引き継がれます。監督は映画『モテキ』の大根仁さん。リメイクには慎重な姿勢を見せていたものの、90年代の“コギャル文化”を軸に再構築し、新たな傑作として作品を完成させました。

日本では公開当初こそ観客動員が伸び悩んだものの、口コミがSNSで広がり、リピーターも続出。上映館を増やしながら、異例のロングランヒットとなりました。

SNSでは「もう何回も観てる大好きな映画」「何回観たかわからん」「何回観ても飽きない」「もう5回は観た」「すでに10回目」「映画館に11回通って観た」「お願いだから観て」「ぜひ観て欲しい」など異例の熱狂ぶりがうかがえる本作。

なぜここまでの熱狂を生んだのか、以下で深掘りしていきます。

90年代の東京に生まれ変わった、もうひとつの青春物語

原作映画『サニー 永遠の仲間たち』の舞台は、1980年代後半の韓国。民主化運動や洋楽カルチャーが色濃く描かれ、社会背景が物語全体を包み込んでいました。

一方、日本版では舞台を90年代の東京に置き換え、ルーズソックスプリクラJ-POPなどの“コギャル文化”が鮮やかに再現されています。小沢健二『強い気持ち・強い愛』安室奈美恵『SWEET 19 BLUES』など、当時を代表する楽曲が、あの頃の記憶を呼び覚まします。

また、構成にも違いがあります。登場人物は、韓国版の7人から日本版では6人に調整され、物語がよりシンプルになりました。感情表現も異なり、韓国版がストレートに心をぶつけ合うのに対し、日本版はどこか控えめです。

舞台も時代も異なりますが、仲間を思う気持ちは同じ。それぞれの国の“サニー”が、独自の魅力で青春を鮮やかに描き出しています。

90年代を過ごした世代にこそ届いてほしい物語

映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』が何度でも観たくなるほど“クセになる”理由のひとつは、キャストの絶妙なマッチングです。現在と高校時代を演じる女優たちが、違和感なく一人の人物を表現したことで、物語に深い説得力が生まれました。

物語の中心となるのは奈美と芹香です。表面上は何不自由なく暮らしながらも、どこか満たされない日々を送っていた奈美。末期がんと闘う芹香との偶然の再会をきっかけに、長い間止まっていた青春の時計が再び動き始めます。

奈美を演じるのは篠原涼子さん、高校時代は広瀬すずさん。控えめながら芯のある少女が、時を経て誰かのために行動する姿に、多くの観客が胸を打たれました。

芹香は、高校時代は明るく自由なリーダー的存在。現在は病と向き合いながらも、その内には変わらぬ強さが宿っています。そんな芹香を、板谷由夏さんと山本舞香さんが熱演しています。

その他にも、整形してセレブ妻になった裕子、人生に疲れた心、美人でクールな奈々、そして底抜けに陽気な梅――それぞれが歩んできた22年の人生を、キャスト陣が見事に演じ分けています。

SNSでは、彼女たちの友情や絆に心を動かされた視聴者から、「90年代の音楽やファッションが懐かしい」「人生のほろ苦さを感じながらも友情のために奔走する姿が素敵」「青春時代の友達に会いたくなった」「懐かしさに包まれて、ずっと涙が止まらなかった」といった声が寄せられています。

映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』は、90年代を駆け抜けた世代の心に響く、何度でも観たくなる名作です。


※記事は執筆時点の情報です