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「本気で二度と観れない」「とんでもない映画」“わずか33分”の問題作に視聴者絶句…「覚悟が必要」半端ない衝撃走る至高映画

  • 2025.7.19

映画の中には、役者の演技力によって心を揺さぶられる作品があります。今回は、そんな中から"母親役の怪演が話題の作品"を5本セレクトしました。本記事ではその第3弾として、短編『うまれる』(ニチホランド)をご紹介します。たった33分の中で、娘を失った母親の愛と怒りが暴走する、衝撃の復讐劇です。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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Google Geminiにて作成(イメージ)
  • 作品名(配給):短編『うまれる』(ニチホランド)
  • 上映開始:2023年6月23日
  • 出演:安藤瞳(安川良子 役)

安川良子の小学生の娘・裕美は、天然パーマを理由にクラスメイトからいじめを受けていました。床屋を営む良子(安藤瞳)は忙しく、いじめに気づいていながらも何もしてやれません。そんな中、裕美は崖から転落し、命を落としてしまいます。事故として処理された娘の死に疑念を抱いた良子は、いじめが原因だと訴えるものの、誰にも受け入れてもらえません。やがて、死の真相を知った良子は、後悔と怒りのままに、壮絶な復讐へと突き進むのでした――。

“もし、わが子が”…という問いが胸を刺す33分

本作は、国内外14の映画祭で受賞・入選し、多くの称賛を集めた衝撃作です。CMディレクターとして数々の広告賞を受賞してきた田中聡監督が、理不尽に娘を奪われた母親の、危うくも極限的な愛情を描いています。出演は、青年座・文学座・俳優座などに所属する女優7人による演劇ユニット“On7”のメンバー。

わずか33分という短さながら、観る者の心を揺さぶり、息を詰まらせるほどの衝撃を与える作品となっています。「質問です―。あなたの子供がいじめで殺されたら復讐しますか?」という挑発的な問いかけから始まる本作は、理性という扉の奥に潜む“母性の暴走”と“復讐の衝動”を、真正面から描いています。

愛情か狂気か――境界線を越えた“母の決断”

田中聡監督が本作を手がけた背景には、当時多発していたいじめによる事件がありました。監督は初日舞台挨拶のインタビューの中で次のように語っています。

当時、いじめ事件が多くてニュースで(いじめの被害者が)殺されたというのを見るたびに、『この子の親、よく復讐しないな……』『どんな気持ちなんだろうか……?』と、僕も人の親なので思っていました。ちょうど(On7が)女性7人なので、お母さんを演じていただけるんじゃないかと思い、こんな企画になっちゃいました……
出典:『うまれる』初日舞台挨拶 2023年6月23日開催

本作で描かれる“母親”たちの姿は、優しさや慈しみだけではありません。わが子を守るためなら他人を犠牲にすることも辞さないエゴや、加害者側の母親たちによる自己保身、そして良子が突き進む暴力の衝動など、“母であること”が時に人を極限まで追い詰めることを示唆しています。

SNSにはあまりにも胸を抉る内容に「本気で二度と観れない」「とんでもない映画」「覚悟が必要」という声も。

一方で「いろんな狂気と熱量がすごい…重すぎだけど観てよかった」「ここまで感情を揺さぶられて凄まじい疲労感を味わう短編映画は初めてだった」「短いながらも、愛ゆえの狂気や憎しみが心に深く刺さる傑作」「観て損なし」といった声が多数寄せられています。

“産む痛み”と“奪われる痛み”

本作の演出で特に印象的なのは、ラストに回想として挿入される“出産シーン”です。痛みに歪む表情、赤子の泣き声、母となった瞬間の安堵と希望。それらが暴力的な復讐のシーンと対比されることで、命を生む存在が命を壊すという矛盾が鋭く描かれています。

SNSには「子を奪われた親なら加害者を憎み復讐したくなる気持ちも分かる」「うまれる痛みと失った痛みは紙一重なのかもしれない」「“復讐では何も産まれない”なんてのは部外者の戯言」といったさまざまな感想が寄せられています。

復讐は正しいのか。母性は人を救うのか、それとも壊すのか――。そのすべてが観る人の解釈に委ねられている、短編映画の珠玉の一作です。


※記事は執筆時点の情報です