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「小麦より米は太らない」→管理栄養士が教える“GI値のヒミツ”と“太りにくい食べ方”とは【管理栄養士監修】

  • 2025.7.14
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「米より小麦のほうが太りにくい」「米は太りやすいから控えたほうがいい」といった話を聞いたことはありませんか?日本人の主食として昔から親しまれてきたお米と、パンやパスタなどの原料である小麦。この2つのどちらが健康的で体重に影響を与えにくいのか、実は多くの人がよく知らないままイメージや口コミだけで判断していることもあります。

今回は、食後の血糖値上昇度を示すGI値を切り口に、「小麦より米の方が太らない」説の意外な真実を徹底的に探ってみます。

食後の血糖値の鍵を握るGI値、米と小麦の特徴を徹底比較

ダイエットや健康管理を意識するなら、まず知っておきたいのが「GI値(グリセミック指数)」です。
これは、食後に血糖値がどれくらい上昇するかを示す指標で、数値が低いほど血糖値の急激な上昇を抑えられ、太りにくいとされています。

一般的にGI値は以下のように分類されます:

低GI食品:55以下
中GI食品:56〜69
高GI食品:70以上

それでは、代表的な主食である米と小麦製品のGI値を見てみましょう。

白米(特に日本でよく食べられる精白米)は、GI値がおよそ70前後。これは高GIにあたり、食後に血糖値が急上昇しやすい食品です。パン類は種類によって差があります。

フランスパンなどハード系パン:GI値50〜55程度(低GI)
食パンなど柔らかいパン:GI値70前後(高GI)

パスタは比較的GI値が低く、40〜50程度のものが多いです。

つまり、米と小麦のどちらが太りにくいかは一概には言えず、加工方法や種類によって大きく異なります。

GI値は、「50gの糖質を摂取したときの血糖値の上がり方」を基準にしているため、実際の食事量を考慮する必要があります。
そこで注目したいのが「GL値(グリセミック負荷)」です。

これは次の式で計算されます。

GL値 = GI値 × 糖質量(g)÷ 100

たとえば白米(GI値約70)でも、摂取する糖質量が25gであれば、GL値は「70 × 25 ÷ 100 = 17.5」となり、中〜低レベルに抑えられます。

選び方と食べ方次第でリスクは変わるため、「白米は太りやすい」「小麦製品はヘルシー」といった単純な比較はできません。
実際には、食品の種類・加工法・食べる量によって血糖値の影響は大きく変わります。

たとえば、玄米や全粒粉パンなど、胚芽や食物繊維を含む食品はGI値が低めで、血糖値の上昇がゆるやかになります。食べる量を調整することで、高GI食品でもリスクを下げることができます。

つまり、「何を食べるか」だけでなく、「どう食べるか」も太りにくさに大きく関わってくるのです。

単純な比較では判断できない!米と小麦の「太りやすさ」の背景にある意外な事実

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

GI値は一つの目安ですが、実際の太りやすさには食べ方や食生活全体のバランスも大きく関わっています。例えば、米は日本の食文化の中で魚や野菜と一緒に食べることが多いため、これらの食材の食物繊維やタンパク質がGI値を抑える効果をもたらします。一方、小麦製品はバターや砂糖を多く使ったパンやケーキ、揚げ物の衣などに加工されることが多く、カロリー過多になりがちなのが実態です。

また、どちらも「精製度」が体への影響を左右します。白米や白い小麦粉は精製されており、余分な繊維が取り除かれているため血糖値が急上昇しやすく、脂肪がつきやすい傾向があります。逆に、玄米や全粒粉製品は食物繊維やビタミン、ミネラルを多く含み、消化吸収がゆるやかになるため太りにくいと言われています。

面白いことに、最近の研究では「食後の血糖値の上がり方」だけでなく、腸内環境への影響や満腹感の持続時間なども体重管理には重要であることが明らかになっています。食物繊維が多い玄米や全粒粉製品は、腸内の善玉菌を増やし代謝アップを助けたり、食後の満腹感をキープして過食を防いだりする効果も期待できるのです。

つまり、太らない食事を選ぶには「GI値が低いかどうか」のみならず、食品の種類や食べ方、組み合わせがカギになることを忘れてはいけません。

「小麦より米の方が太らない」は一概に正しくない!選び方と食べ方で健康的な食生活を

「小麦より米の方が太らない?」という問いに対する答えは、「一概には言えない」ものです。GI値を見ても、単なる米と小麦の比較ではなく、米でも白米や玄米、小麦製品でも食パン・パスタ・全粒粉パンといった種類や加工方法で大きく変わってきます。さらには、食べる際の組み合わせや食生活全体のバランス、食物繊維の摂取量なども含めて考えることが重要。

健康的な体重管理を目指すならば、白米や精製小麦製品ばかりに偏らず、玄米や全粒粉製品、低GIのパスタなどバラエティ豊かな食材を取り入れること。さらに、野菜やタンパク質をしっかり食べて血糖値の急上昇を抑える食事法がおすすめです。情報に惑わされず、自分の食生活にあった正しい知識で賢く選びましょう。


監修者:森岡真衣(管理栄養士)
美容栄養学専門士・フードスペシャリストの資格を活かし、主に女性の体質改善・ダイエットサポートを目的とした栄養指導を実施。オンラインダイエット講座の開発・運営を行うほか、メディア記事の監修、レシピ制作、美容クリニックの食事サポートなど多方面で活動。
現場経験に基づいた、わかりやすく実践しやすいアドバイスを強みとする。

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