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祖父母「熱中症が心配だから…」孫への“良かれ”と思った行動に「事故につながる」【保育士が警告】

  • 2025.8.28
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

夏休みは孫と過ごす時間が増え、祖父母にとっても楽しみな季節です。しかし、「良かれ」と思って、つい手を出して世話をしたり声をかけたりする場面も多くあります。しかし、その愛情が思わぬ形で孫の安全や健康に影響することがあります。保育現場でも、子どもの自主性と安全を両立させながら見守る難しさを日々実感しています。特に夏は高温多湿の環境や屋外遊びが多いため、祖父母の「うっかり」が思わぬトラブルにつながることがあります。この記事では、夏の帰省中に祖父母がやりがちなNG行動を取り上げ、子どもの安全を守るためのポイントを保育者目線で整理しました。

安心のつもりが…孫にとっては“危険”になる祖父母の行動

祖父母世代は孫を思うあまり、「つい手を出してしまう」場面が多くあります。

例えば、熱中症対策として頻繁に水分補給を促すのは良いことですが、冷たい飲み物を一気に飲ませたり無理に飲ませすぎると、胃腸を壊したり体調不良を招く場合があります。実際、厚生労働省や日本小児科学会でも「子どもの水分はこまめに、体調や暑さに応じて少量ずつ」と推奨されています。

また、日焼け止めを塗ったり帽子をかぶらせたりするのも愛情の表れです。しかし、「暑いから休ませよう」と屋内でじっとさせることで、子どもの活動意欲が削がれ、エネルギーが有り余って不注意による転倒や怪我につながることもあります。保育現場でも、子どもを長時間拘束するより、影のある場所や日傘などでの遊びの工夫が安全であるとされています。

さらに、外遊びで「危ないから」と過度に制限をかける一方、昔の経験を基に「これくらいは大丈夫」と無意識にリスクを見落とすこともあります。例えば、川遊びやプール遊びでは、祖父母世代は「昔は大丈夫だった」と感じても、現在は監視体制や水質管理など安全の基準が変わっています。保育者の現場でも、水遊びや遊具使用時は常に最新の安全指針に沿った見守りが重要です。

祖父母の夏の“うっかり”とその背景

実例として、屋外で遊ぶ孫に対し、熱中症を心配して木陰や涼しい屋内にこまめに連れて行く行動があります。これは暑さ対策として理にかなっていますが、自由に動ける範囲が狭まり、エネルギーが有り余ってイライラしたり、不注意で転倒するなどの怪我につながる場合があります。実際に、子どもが屋内で遊ぶ際に足元が滑りやすい場所で転倒したケースも報告されています。

食事面でも、「冷たいものを食べすぎないように」「汗で塩分が出るから塩分補給を」と気遣うあまり、摂取バランスが偏ることがあります。祖父母世代は昔の知識や経験で判断しがちですが、現代の子どもは水分・食事量・塩分の摂取バランスが年齢や体格に応じて変わっており、保育者も日々調整しています。気温差の激しい季節の変わり目には、服装や体調をこまめに見守ることが重要です。

さらに、孫の安全を守ろうとして「自分が見ている」と言いながらスマホを手放さないなど、注意が分散することもあります。保育現場でも、子どもを見守る際には目を離さず観察することが事故防止につながると教えられています。祖父母も体力や集中力に差があるため、全ての行動に気を配るのは容易ではありません。これも「良かれ」のつもりが事故につながるリスクの一因です。

みんなが安心して楽しむために

夏の帰省は孫と祖父母双方にとってかけがえのない時間です。しかし、小さな「うっかり」が重なると、思わぬトラブルの火種になります。祖父母の愛情はありがたいものですが、状況によっては裏目に出ることもあります。

近年は子どもの健康や安全に関する知見も日々更新されており、夏の過ごし方も昔とは異なる部分があります。「良かれと思ったあの行動」がかえって孫の負担になることもあるため、疑問があれば保護者や専門家に相談し、孫の様子をよく観察することが大切です。保育者の視点では、子どもの自主性・安全・体調のバランスを意識して見守ることが基本です。何より、みんなが無理なく楽しめる範囲で過ごすことが、安心できる夏の帰省につながります。


監修者:かずや

保育15/保育×発達支援×子育てをつなぐコミュニティ『ぴーす』主宰
『あそびの学校』に関わり12年|保育士等キャリアアップ研修法人様SNS担当 |3姉妹の父|新卒から15年現役保育教諭|