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36年前、日本中が正気を失った“ヤバすぎるイントロ” わずか数秒でロックを再定義した“異端の名曲”

  • 2025.7.26

「BE MY BABY」――この連呼が始まった瞬間、空気が変わった。

1989年、日本の音楽シーンに“とんでもない異物”が現れる。それは熱狂でも癒しでもなく、冷徹なスタイルと音の暴力によって作られた、鋭利すぎるデビュー曲だった。

COMPLEX『BE MY BABY』(作詞:吉川晃司・作曲:布袋寅泰)――1989年4月8日リリース。

連呼される「BE MY BABY」にけたたましいシンセサウンドが重なり、そこに布袋のギターが切り裂くように重なる。

そのわずか数秒で、聴く者の思考は停止した。

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(C)SANKEI

ファースト・シングルが“事件”だった理由

『BE MY BABY』はCOMPLEXのファースト・シングルにして、後に語り継がれる代表曲。

ロックというにはデジタルすぎ、テクノというには攻撃的すぎる。吉川のキレキレなボーカル、大胆なシンセサウンド、布袋のギターがせめぎ合う構成は、当時の音楽シーンのどこにも収まらなかった。

ボーカルもメロディも、サビですらない冒頭のループにすべての印象を持っていかれる。

「何が始まったのか?」ではなく、「何が始まってしまったのか?」という衝撃。それがこの曲の本質だった。

映像までもが“音楽”だった異次元のPV

この曲を象徴するのが、印象的なプロモーションビデオだ。余計なセットは何もなく、背景は白一色。吉川は皮パンでカメラを挑発し、布袋は踊るようにギターを爪弾く。

カメラは固定され、2人がそこに迫ってくる。すべてがとにかくカッコいいの一言。余計な演出がない分、ライブアーティストならではの躍動感が溢れ出す。音への印象がさらにつよくなり、凝っているわけではないのに伝説的な映像作品になっていく。

後年のアーティストにも多大な影響を与えたこの映像は、楽曲の持つ硬質な美しさを完全に補完していた。

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(C)SANKEI

再結成は“懐かしさ”ではなかった

1990年、東京ドーム公演を最後にCOMPLEXは活動終了。わずか1年半で伝説となった。それはむしろ2人のビッグネームのユニットとしては長すぎるぐらいだろうか。

だが2011年、東日本大震災の復興支援を目的に、22年ぶりに東京ドームで再結成。あのイントロが鳴り響いた瞬間、あの時代の熱狂と緊張感がそのまま蘇った。さらに、2024年にも、能登半島地震の復興支援を目的に東京ドームで13年振りに復活し、プレミアムチケットとなった。

これらの再結成は、ただの懐古イベントではない。“あの音が、あの時代を超えてしまっていた”という証明だった。

スタイルが時代を超えて刺さり続ける、たった1曲

『BE MY BABY』は、今もなお“イントロを聞けば誰もが反応する”という異常な認知度を持つ。

バラエティ番組やCMで時折オマージュされるが、本家を超えることはない。それはこの曲が、音楽というより“概念”だからだ。

36年経った今でも、“あの連呼”を耳にすれば、身体が勝手に反応する。

それが『BE MY BABY』という名の異端の名曲であり、唯一無二のスタイルだった。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。