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「重すぎて…」「2日経っても言葉に出来ない」不妊夫婦の“苦渋の決断”が胸をえぐる…「鳥肌立った」“圧倒的リアル”を生んだワケ

  • 2025.7.13

喜びや悲しみを分かち合い、時にはぶつかり合いながらも、かけがえのない絆で結ばれた家族の物語は、多くの人の心を惹きつけてやみません。今回は、そんな“家族愛”をテーマにした作品5選をセレクトしました。

本記事では第2弾として、2020年公開の映画『朝が来る』をご紹介します。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

“家族愛”をテーマにした作品・映画『朝が来る』

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(C)SANKEI
  • 作品名:映画『朝が来る』(キノフィルムズ)
  • 公開日:2020年10月23日

あらすじ

辻村深月さんの同名小説を原作に、監督・河瀨直美さんで実写映画化。

不妊治療を経て一度は子どもを諦めた栗原佐都子(永作博美)清和(井浦新)の夫妻は、「特別養子縁組」という制度を通じて、男の子を家族に迎えます。朝斗(佐藤令旺)と名付けて愛情を注ぎ育ててきた6年間は、栗原夫妻にとってかけがえのない幸せな日々でした。

しかし、そんな幸せな日常を壊す一本の電話が鳴り響きます。「子どもを返してほしいんです。それが駄目ならお金をください」と告げる電話の主は、朝斗の産みの母である片倉ひかり(蒔田彩珠)を名乗る女性でした。常識はずれな要求に、栗原夫妻は困惑と恐怖を覚え―。

映画『朝が来る』の見どころ※ネタバレあり

映画『朝が来る』は特別養子縁組という制度を通して、「本当の親子とは何か」「家族とは何か」という普遍的でありながらも重いテーマを観る者に突きつけます。産みの母と育ての母、それぞれの視点から物語が描かれることで、一方的な善悪では語れない複雑な感情や状況が浮き彫りになり、深い感動と余韻を残します。SNSでは、「重すぎてダメージがすごい」「鑑賞して2日経っても言葉に出来ない」「鳥肌立った」「苦しすぎて今すぐ観るのを辞めたいと思わされた」など、心にグサリと刺さる方が多く見られました。

また、ヒューマンドラマでありながらミステリーとしての側面も持ち合わせている点も高評価のポイントになっています。養子を迎え入れ、幸せに暮らす夫婦のもとに「子どもを返してほしい」という謎の電話がかかってくるという不穏なスタート。過去と現在、そして2人の母の視点を行き来しながら、少しずつ謎が解き明かされていく構成は観る者を最後まで飽きさせません。

圧倒的リアリティのワケ

映画『朝が来る』が、そのリアリティゆえに深く感情移入する方も多かった作品です。なぜそこまでのリアリティが生まれたのか?それは、監督を務めた河瀬直美さん自身が養子として育てられた過去を持っていることも一つの理由ではないでしょうか。産経新聞で公開されたインタビューにて以下のように明かしています。

私自身が養子なので、これまで家族のつながりに目を向けてきた。今回の作品は『自分ごと』のような思いがあった(中略)私は養親(ようしん)(やしない親)のもとで守られている感覚や愛情を感じてきたが、日本には養子はかわいそうという意識がある。でも血のつながりだけが家族じゃない。出典:養子は不幸じゃない…河瀬直美監督が新作映画に込めた経験(産経新聞)2020/10/23

本作の大きなテーマが“特別養子縁組”。産みの親と育ての親の間で揺れ動く心情にフォーカスが当てられていますが、養子となった子どもにも注目です。血の繋がりが無くても本当の家族のように育った養子は確かに存在し、養子=ネガティブな存在ではないことが映画全体を通して表現されています。

まだ映画『朝が来る』を観たことがない方、また本記事を読んで興味を持っていただけた方は、“2つの家族が辿る重すぎるほどの展開”をぜひ目撃してみてください!


ライター:天木拓海
映画・アニメ・ドラマなど、エンタメ作品を観ることを趣味としているライター。エンタメ関連のテーマを中心に、作品考察記事/コラム記事などを手掛ける。

※記事は執筆時点の情報です