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「表情が急に乏しくなった」「顔つきが暗く見える」→急に顔つきが変わったかも…医師が教える『認知症』の初期症状とは?【医師が解説】

  • 2025.6.24
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

なんだか急に家族の顔つきが変わった気がする…」こんな変化に気づいたら少し心配になりますよね。うつ病やパーキンソン病などで表情が乏しくなることはよく知られていますが、実は認知症の初期症状の1つとして「顔つきの変化」が見られることがあります。

顔には、その人の健康状態や精神状態が現れやすく、うつ病、パーキンソン病などに加えて認知症が進むにつれて普段の表情や目の輝きが変わってしまうケースもあるのです。

この記事では、医師の視点から「急に顔つきが変わる」という変化がなぜ認知症と関わるのか、そしてどのような初期症状に注意すればいいのかをわかりやすく解説します。

認知症で顔つきが変わる?その背景と重要性

認知症は加齢に伴う記憶障害だけでなく、思考や感情、行動の変化も引き起こします。特に初期段階では、本人も周囲も気づきにくいことが多いため、早期発見が難しい病気です。しかし「表情が急に乏しくなった」「顔つきが暗く見える」といった変化は、認知症の兆候として見逃せないポイントになっています。

どうして顔つきに変化が現れるのでしょうか?認知症は脳の神経細胞が徐々に減少し、その機能が低下することで記憶や感情のコントロールが難しくなります。その結果、笑顔が減ったり、目に以前ほどの輝きがなくなったりするのです。たとえば、アルツハイマー型認知症の患者さんは、感情の抑制がうまくいかず、表情表現が乏しくなるケースが多く報告されています。

では、なぜ顔つきの変化に注目することが重要なのでしょうか?実は、認知症の早期発見につながる可能性があるためです。認知症は進行を遅らせたり、症状を和らげる治療が早期から可能な病気です。顔つきのちょっとした変化から気づくことができれば、より良いケアや専門医の受診へとつなげやすくなります。

顔つきが変わる原因と初期症状の具体例

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

顔つきの変化はどのような原因で起こり、どの初期症状が見られるのでしょうか?まず顔の表情は脳の感情中枢が正常に働くことで豊かになります。認知症になると、感情を司る脳の一部が障害され、喜怒哀楽の表現が鈍くなることがあります。

具体的な顔つきの変化としては、以下のような例が挙げられます。

  • 表情の硬さや無表情:笑顔が減り、顔がこわばることが増える
  • 目の輝きが消える:目がうつろで生気が感じられなくなる
  • 無関心な印象:目や口元が動かず、周囲の出来事に対する反応が薄くなる

これらに加え、認知症の初期症状としては「物忘れが多くなる」「言葉が出にくい」「判断力が落ちる」といった認知機能の低下、それに伴う「性格の変化」や「気分の落ち込み」も特徴的です。たとえば、普段は明るかった人が急に元気がなくなり、孤立しがちになることもあります。ただしこうした変化は、うつ状態や意欲低下、疲労、パーキンソン病でも見られるため、慎重な観察と判断が必要です。

こうした変化に気づくためには、日常の何気ない会話や接触で相手の表情、声のトーン、反応の仕方などに注意を払うことが大切です。医師や専門家に相談するときは顔の変化も重要な情報となりますので、覚えておいて損はありません。

見た目の変化も認知症の大切なサイン

認知症は目に見える症状だけでなく、表情や顔つきといった見た目にも影響を与える病気です。急に顔つきが変わったと感じたら、それは認知症をはじめ脳や心の健康に何かしらの変化が起こっているサインかもしれません。

違和感があったら遠慮せずに医師や専門家へ相談し、正しい情報を知るとともにと適切なケアをしましょう。


監修者:林裕章(はやし・ひろあき)
林外科・内科クリニック(https://www.hayashi-cl.jp/)理事長

国立佐賀医科大学を卒業後、大学病院や急性期病院で救急や外科医としての診療経験を積んだのち2007年に父の経営する有床診療所を継ぐ。現在、外科医の父と放射線科医の妻と、全身を診るクリニックとして有床診療所および老人ホームを運営しており、医療・介護の両面から地域を支えている。また、福岡県保険医協会会長として、国民が安心して医療を受けられるよう、また医療者・国民ともにより良い社会の実現を目指し、情報収集・発信に努めている。
日本外科学会外科専門医、日本抗加齢医学会専門医