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夜中に誰かが『玄関』を開けようとしてきたら…“反撃はNG”って本当?!→緊急時の“正しい対処法”とは?【弁護士が監修】

  • 2025.7.3
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

ある夜、突然「ガチャガチャ…」と玄関のドアノブが回される音が——。見知らぬ人物が自宅のドアを開けようとしていたら、あなたはどう対応すべきでしょうか?そんな映画のワンシーンのような恐怖が、現実に起こるかもしれません。
正当防衛や警察への通報、録画記録など、パニックにならず冷静に行動するために必要な知識を、弁護士の見解をもとに解説します。

まずやるべきは“会話”ではなく“通報”

深夜、突然知らない人が自宅の玄関に現れる事態は決して珍しくありません。

こういったケースは「侵入目的の不審者」「勧誘やセールス」「間違えて来てしまったケース」などが考えられます。特に怖いのは、何らかの犯罪目的を持つ人物が狙う侵入未遂や侵入事件です。

見知らぬ人物が繰り返し玄関を開けようとしていた場合、ただちに警察に通報するのが最優先。
「様子をうかがうために声をかける」「録画して証拠を残そうとする」――こうした行動も重要ですが、何より大切なのは自身と家族の安全

相手がパニックを起こして強引に侵入してくるケースもあるため、むやみに刺激せず、静かに距離をとったうえで、警察に通報しましょう。
余裕があれば、スマホで録画・録音を開始しておくと、後々の証拠として役立ちます。

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

侵入を試みられた場合、正当防衛は認められる?

もし相手が本当に鍵を開けて入ろうとした場合、その行為は住居侵入罪(刑法130条前段)に該当します。このように「急迫不正の侵害」が認められる状況では、正当防衛としての反撃も法的に許容されると弁護士は話します。

ただし、以下の2点が重要です。

・必要性(逃げ場がない、すぐに危害が及びそう)
・相当性(過剰な暴力ではないこと)

つまり、「身の危険が明確に迫っている」と判断された場合に限り、やむを得ない反撃が許されるのです。

「酔っていただけ」でも、罪に問える場合がある

相手が酔っ払っていたり、家を間違えただけだったとしても、「何もできない」わけではありません。

たとえば、家主が退去を命じたにもかかわらず帰らない場合は、不退去罪(刑法130条後段)に該当する可能性があります。
また、地域によっては迷惑防止条例
に違反する行為と見なされる場合も。

「悪気がなさそうだから…」と放置せず、被害届を出すことも一つの選択肢です。

防犯カメラや録音データは“重要な証拠”になる

自宅の防犯カメラやスマホで録画した映像・音声は、刑事裁判では「住居侵入罪」「不退去罪」の立証資料として、また民事裁判では「損害賠償請求」の根拠として、有力な証拠として認められる可能性があります。

個人での録画に関して、法律的に特段の制限はありません。
ただし、証拠を保存・提出する際は適切に保管することを心がけましょう。

“まさかの瞬間”に備えて、今日からできること

  • 玄関やベランダに防犯カメラを設置する
  • 録画・録音がすぐにできるスマホアプリをインストールしておく
  • 万一の通報先(警察・防犯サービス)を家族で共有しておく

こうした準備をしておくだけでも、万一のときに冷静に対応できる可能性が高まります。

夜の静けさを破って訪れる“知らない誰か”――その時、自分や家族を守るために、冷静な判断と行動を取れるよう、あらかじめ知識と備えを持っておきましょう。


監修者名:ベリーベスト法律事務所 弁護士 齊田貴士

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神戸大学法科大学院卒業。 弁護士登録後、ベリーベスト法律事務所に入所。 離婚事件や労働事件等の一般民事から刑事事件、M&Aを含めた企業法務(中小企業法務含む。)、 税務事件など幅広い分野を扱う。その分かりやすく丁寧な解説からメディア出演多数。