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「もっと評価されるべき」「なぜ話題に上らないの」放送から11年“隠れた名作”と称される異質ドラマ…再放送が“熱望される”ワケ

  • 2025.7.9

ドラマの中には、人と人とのつながりを描いた名作があります。今回は、そんな中から“至高のNHKドラマ10”を5本セレクトしました。本記事ではその第4弾として、『サイレント・プア』(NHK)をご紹介します。助けを求められず孤立していく人々に寄り添い続ける福祉の専門職、CSW――。見えない“声なき貧困”に光を当てた、感動の社会派ドラマです。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

“声なきSOS”に寄り添う福祉のプロフェッショナル、“CSW”

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(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):『サイレント・プア』(NHK)
  • 放送期間:2014年4月8日~6月3日
  • 出演:深田恭子(里見涼 役)

サイレント・プア――声なき貧困。社会に広がる“見えない貧しさ”に立ち向かうために生まれたのが、コミュニティー・ソーシャルワーカーCSW)という新しい福祉の仕事です。

里見涼(深田恭子)は、東京の下町にある社会福祉協議会のCSWとして働いています。ごみ屋敷の高齢者、介護や病気に苦しむ母親、余命を抱えるホームレス、認知症の家族を抱える女性、引きこもりの息子を隠し続けてきた父親、異国にルーツを持つ親子、障害を負った夫を介護する若い妻、震災で避難してきた男性、そして災害のなかで取り残された一人の高齢者――。

涼が出会うのは、誰にも頼れず孤立してしまった人たちばかり…。背景や状況は違っても、だれもが「助けて」と言えないまま、社会からこぼれ落ちていたのですが――。

“人は変われる”と信じて…見えない孤立に寄り添う支援

『サイレント・プア』は、2014年に放送された社会派ドラマです。まだ一般に広まっていなかった“サイレント・プア(声なき貧困)”をテーマに、孤立する人々と向き合う福祉の現場が描かれました。

登場するのは、引きこもりや障がい者、ホームレスなど助けを求められないまま社会から取り残されていく人たち。そして彼らに寄り添うのが、深田恭子さんが演じたコミュニティー・ソーシャルワーカー(CSW)という専門職です。

物語の舞台は東京ですが、モデルとなったのは大阪府豊中市。豊中市社会福祉協議会のCSWが監修にも関わり、市のホームページでも紹介されています。

地域の福祉委員会やボランティアと協力し、「困っていても声に出せない」人たちのもとへ足を運ぶ豊中のCSW。その活動を支えてきたのが、CSWの第一人者・勝部麗子さんです。彼女の取り組みは『プロフェッショナル 仕事の流儀』でも紹介されました。

本作は、現実に根ざしたエピソードをもとに、CSWが声なき貧困に陥っている人々と向き合う姿を描いています。“人は変われる”と信じて寄り添い続ける姿に、多くの共感が寄せられました。

“支援する側”を描いたドラマはそう多くありません。だからこそ、この作品をきっかけに、サイレント・プアを支える仕組みに少しでも関心が広がっていけば──そんな願いが、このドラマには込められています。

再放送が熱望される名作

本作では、ふだんはあまり注目されることのないコミュニティー・ソーシャルワーカーという仕事にスポットがあたりました。SNSでは、「とにかく感動」「隠れた名作」という称賛の声とともに「もっと評価されるべき」「なぜ話題に上らないの」と良作であるが故に、さらなる評価を求める声も。

さらに「再放送しないかなー?」「地上波再放送して欲しいです」「とてもいい内容なので、再放送しないかな」「是非再放送お願いします」といったこのドラマに心を動かされた視聴者からの“再放送”を熱望する声が見られました。

その理由として、本作が描いた社会的に意義深いテーマ登場人物たちの繊細な心の描写が、視聴者に深い共感と感動を呼び起こし、「もっと多くの人に観てほしい」と感じさせる力を持っていたことが挙げられます。視聴後も心に残り続けるような余韻のある作品であったため、再びその世界に触れたいという強い想いが再放送を望む声となって表れているのではないでしょうか。

このドラマを通して、CSWや“サイレント・プア”への理解が広がっていくことを願ってやみません。

本作は、声を上げられない人を探し、つながろうとする人々を描いた名作です。


※記事は執筆時点の情報です