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「NHKにこんなドラマあったんだ」「ただただ胸をえぐられる」社会問題に“鋭く切り込む脚本”に反響殺到…ロス続出の衝撃作

  • 2025.6.25

名作と言われるドラマの中には、私たちにさまざまな問いを投げかける作品があります。今回は、そんな「考えさせられる名作part2」を5つセレクトしました。本記事では第2弾として、ドラマ『こもりびと』(NHK総合) をご紹介します。見えない部屋の奥で、もがき続けていた息子…。声にならない“生”を描いた衝撃作とは――?

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

「信頼される父」と「隠された息子」

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(C)SANKEI
  • 作品名:ドラマ『こもりびと』(NHK総合)
  • 放送日:2020年11月22日
  • 出演:松山ケンイチ(倉田雅夫 役)

倉田雅夫(松山ケンイチ)は、10年以上にわたって自室にひきこもる生活を送っています。きっかけは、勤務先での重いストレスにより働けなくなったことでした。

父の一夫(武田鉄矢)は、地元でも信頼されている元教師。厳格な性格で、長年にわたり息子の存在を周囲に伏せ、立ち直ることも半ば諦めていました。しかし、自らの余命を知ったことを機に、残された時間の中で雅夫と再び向き合う決意を固めます。

一方の雅夫も、人知れず、ひきこもりから抜け出す道を模索していました――。

「明日は我が身」…視聴者1500人超から届いた切実な声

NHKスペシャルで放送されたドラマ『こもりびと』。テーマは、推計100万人以上といわれる「ひきこもり」です。

2019年、ひきこもりの60万人以上が40〜64歳の中高年層だと発表され、報道現場の制作者たちに衝撃が走りました。直後に元農水次官の事件も重なり、中高年のひきこもり問題に一気に注目が集まります。

同年8月、『クローズアップ現代』でこの問題が特集されると、「明日は我が身」「これからどうなるかわからない」といった切実な声が殺到。1500通を超えるメールが、数か月にわたり届き続けたといいます。

SNSだけで繋がる親子 - ひきこもりの現実

主演の松山ケンイチさんは当事者と対話し、手記を読み込んで役に臨みました。父親役の武田鉄矢さんも、尊敬される“元教師”ゆえに弱さを見せられない父親を丁寧に演じています。

劇中では、会話のない親子がSNSでやりとりするなど、ひきこもり家庭のリアルな実態も描かれています。
80代の親が50代の子どもの生活を支える「8050問題」の先には、9060、10070…と続く未来が待ち受けています。このドラマは、今私たちに何ができるのかを問いかけているのではないでしょうか?

「こもりびとロス」の声続出…“否定しない言葉”が届けた希望

ドラマのタイトルにもなった「こもりびと」。この言葉は神奈川県大和市が名付けたもので、「籠る人」「子守り人」という意味があります。「ひきこもり」よりも柔らかく、人を否定しない言葉として使われており、今回のドラマでも“家にこもる一人ひとり”に向き合いたいという思いから採用されました。

放送後の反響は大きく、視聴者の間では「こもりびとロス」という言葉も生まれたといいます。2021年には、自民党が党内に「対策プロジェクトチーム」を設置するなど、支援の動きも広がりました。

SNS上には、「松山さん、そして父親役の武田鉄矢さんの演技に、大きく心が動きました」「みんなひきこもり予備軍で、ひとごとじゃない」「NHKにこんなドラマあったんだ」「すごく感動しました」「ただただ胸をえぐられる」といった感想が数多く寄せられています。

このドラマは、ひきこもりを「特別な誰かの問題」ではなく、私たち一人ひとりの現実として描いています。閉ざされた部屋の中にある見えない葛藤や願いに光を当てたからこそ、多くの共感を呼んだのでしょう。引きこもり改め、こもりびとと真正面から向き合った本作は、まさに「考えさせられる名作」です。


※記事は執筆時点の情報です