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41年前、日本中が叫んだ“伝説の掛け声”の誕生 時代の肖像となった“生命ときめく”情熱ソング

  • 2025.7.3

今から41年前の昭和59年、高度経済成長を経た日本は国際的な経済大国へと躍進。バブル景気の足音が聞こえ始め、社会全体に自信と活気が満ちていた時代だ。

音楽シーンでは松田聖子や田原俊彦、近藤真彦らが人気を集めた。テレビでは『不良少女とよばれて』や『スクール☆ウォーズ』(いずれもTBS系)が話題となり、ロサンゼルス五輪に湧いた夏——。

そんな時代に、日本のエンタメ界にひとつの“事件”とも言える楽曲が登場した。

それが、郷ひろみによる『2億4千万の瞳 -エキゾチック・ジャパン-』(作詞:売野雅勇、作曲:井上大輔)だ。

郷ひろみの代名詞となった“ジャパ〜ン!”

1984年2月に発売された『2億4千万の瞳』は、郷ひろみにとって記念すべき50枚目のシングル。

日本国有鉄道(国鉄、現JR)のキャンペーン「エキゾチック・ジャパン」のテーマソングとして制作され、なんと新幹線の車内で初披露されたという異例の演出でも注目を集めた曲だ。

タイトルの「2億4千万」という数字には、当時のおよそ1億2千万人の日本の総人口の“目の数”にかかっている。そのインパクトある曲名と「視線のレイザー・ビーム」「億千万の胸騒ぎ」のようなワーディングと、サビで郷が叫ぶ「ジャパ〜ン!」の掛け声は瞬く間に人気となり、この曲および「ジャパ〜ン!」は郷ひろみの代名詞となったといえる。

一度聴いたら忘れない“生命ときめく”エネルギッシュさ

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1998年、コンサートで歌う郷ひろみ / (C)SANKEI

イントロから鳴り響くエネルギッシュなサウンド、スピーディでダンサブルなメロディと——すべてが“エキゾチック”というタイトルにふさわしい仕上がりだった。また、郷ひろみのアグレッシブなパフォーマンスと相性が良く、ライブでも盛り上がる曲として知られている。

歌詞の中では「あなた」や「私」といった人称代名詞を用いておらず、タイトルの通り日本全体を舞台や主語にした構成が印象的。キャンペーンと強く共鳴している。また、「素敵な事件(こと)を探しているのさ」「人は愛の幻(ゆめ)を見ずにいられない」など人との新たな出会いや恋、揺れ動く感情の機微が描かれている。

発売から約37年が経った2021年、アーティストが一発撮りでパフォーマンスを披露するYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」において、当時65歳の郷がこの曲を披露した。そこには華やかさを保ちつつも、円熟味を極めた大人の魅力をふんだんに魅せるパフォーマンスで視聴者からは絶賛の声が殺到。ちなみにこの動画は現在まで871万回も再生されていることからも時代を超越した歌であることがわかる。

今も誰かがどこかで“ジャパ〜ン!”を叫んでる

『2億4千万の瞳』は、郷ひろみというアーティストの単なるヒット曲ではないだろう。

強烈なインパクトのあるタイトルや曲調、「億千万」という造語的なワードチョイスなどそ時代を超え愛される日本を代表する名曲となっている。それは、日本経済がひとつのピークを迎えていた瞬間を象徴する“時代の肖像”であり、昭和・平成・令和と人々の記憶に深く刻まれる“歌の記念碑”といえそうだ。


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