1. トップ
  2. 恋愛
  3. 子どもの集中力って続くようになる?児童精神科医の視点からお伺いしました。

子どもの集中力って続くようになる?児童精神科医の視点からお伺いしました。

  • 2025.5.25

子どもの集中力が続かない!どうすればいい?もしかしてADHDの可能性もある・・・!?そんな悩みについて医療法人社団燈心会ライトメンタルクリニック理事長の清水聖童先生にお伺いしました。

ママ広場

子どもの集中力が続かないときの対応法とポイント

お子さんの「集中力が続かない」という悩みは、多くの保護者の方が抱える共通のテーマです。「勉強を始めてもすぐに飽きてしまう」「気が散りやすい」と感じる場面も多いのではないでしょうか。児童精神科医としての立場から、集中力が続かない原因と、日常生活の中で実践できる対応策をご紹介します。

集中力が続かないのは性格?それとも発達の問題?

集中力には、年齢・性格・発達段階などさまざまな要素が関わります。幼児や小学校低学年では「集中が続かない」のは自然なことです。しかし、年齢が上がっても極端に飽きっぽい、衝動的、活動が制御できない場合、「注意がそれやすい特性」などの影響が考えられます。このような場合、医学的には生まれつきの「脳機能の偏りがある」ことを意味する、「注意欠如・多動症(ADHD)」と診断されることがあります。
ポイントは、「どのくらい集中できているか」と「家庭や学校でどの程度困っているか」を観察することです。

日常生活で試せる集中力アップの工夫

1)小刻みに取り組む
子どもの集中できる時間は短くて当然です。学習時間を5~15分など「短く」設定し、できたことをしっかり認めましょう。この方法は「行動活性化」という考え方に基づき、できたという成功体験を積むことでやる気を高める効果があります(Martell, Dimidjian, & Herman-Dunn, 2001)。
2)興味を活かした教材を使う
子どもが好きなテーマやキャラクターを取り入れると、集中しやすくなります。絵や写真など視覚にうったえる教材も効果的です。
3)勉強する環境を整える
おもちゃやゲームなどの気が散るものを片付け、できるだけ静かな場所で取り組みましょう。音や服の感触に敏感なお子さんには、イヤーマフや着心地の良い服を選ぶと安心して集中できます。
4)「集中と休憩」のリズムをつくる
「ポモドーロ・テクニック」と呼ばれる方法で、25分作業+5分休憩を繰り返します。ただし、お子さんの年齢によっては10分作業+5分休憩でも十分です。

子どもとのコミュニケーションも大切

保護者は「集中できない=やる気がない」と考えがちですが、多くの場合、お子さん本人も困っています。「またできなかったね」ではなく、「5分できたね、頑張った!」とできた部分を具体的にほめましょう(Carr, 2006)。失敗したときは、「次はどうしたらうまくいくかな?」と一緒に考えることで、自分で解決しようとする力(自己効力感)を育てます(Bandura, 1997)。

専門家に相談する目安と窓口

次のような場合は専門家への相談を考えましょう。
・困りごとが半年以上続いている
・集中できなさが学習や友人関係に大きく影響している
・注意がそれやすく、衝動的な行動や落ち着きのなさが目立ち、日常生活に支障がでるほどである

相談先としては、児童精神科や小児科、心理士だけでなく、お住まいの地域の「子育て支援センター」や「発達相談窓口」も活用できます。役所や市町村の窓口では、医療機関につなぐ前の相談も可能です。早めに相談することで、お子さんが自信を失ったり、不安が強くなったりするのを防げます。

まとめ

集中力はある程度は「生まれつき決まるもの」ですが、成長とともに伸ばせる力でもあります。保護者の肯定的な関わりと日常の工夫、そして必要があれば専門家の支援を組み合わせて、お子さんが自信を持って成長できる環境を整えていきましょう。

【参考文献】
・Bandura, A. (1997). Self-efficacy: The exercise of control. New York:Freeman.
・Carr, A. (2006). 家族療法ハンドブック.
・Martell, C. R., Dimidjian, S., & Herman-Dunn, R. (2001). Behavioral Activation for Depression: A Clinician’s Guide.

執筆者

プロフィールイメージ
清水聖童
清水聖童

精神科専門医・医療法人社団燈心会ライトメンタルクリニック理事長。
心理療法、生活習慣、栄養学など幅広い知識を背景とした精神予防医学を専門とし、病前から介入する精神医療を模索したクリニック「ライトメンタルクリニック」を立ち上げる。
メンタルヘルスに関する記事監修や講演、取材対応も積極的に行い、専門的な知見を広く発信している。
また、精神疾患の予防に役立つ商品(ハーブティー)も展開している。


FUSEKI ONLINE STORE

元記事で読む
の記事をもっとみる