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【ドラマレビュー】大人に響く別れと出会いの季節の「薬膳」がいい!NHKドラマ10『しあわせは食べて寝て待て』第7話の神回レビュー

  • 2025.5.16

まるで温泉のような読み心地に、虜になる人が続出している『フォアミセス』(秋田書店)にて連載中の漫画『しあわせは食べて寝て待て』。

原作の世界観をそのままに、リアリティ溢れるドラマとなった2025年4月スタートのNHKドラマ10『しあわせは食べて寝て待て』に、もともと原作の大ファンだった編集部員も夢中です。

すでに物語は第7話まで進んでいますが、原作でのベストシーンがこれでもかとぎゅぎゅぎゅ~っとつまったこの回が素晴らしく、一ファンとしてぜひともレビューしたい! と思い、記事作成に至りました。

その第7話の物語の魅力、そしてドラマに出てくる薬膳の知識をまとめてご紹介させてください!

出会いと別れを濃密に描いた第7話。原作にはないふたりのイケメンとのやり取りがたまらない♡

写真提供:NHK

『しあわせは食べて寝て待て』の主人公の麦巻さとこさん(桜井ユキさん)はデザイン事務所で週4回のパート勤めをして質素に暮らす38歳の独身女性です。

もともとは建築関係の会社で、バリバリ働いていたさとこさんは、一生付き合わなくてはならない病気になったことで生活が一変してしまいます。会社を辞め、それにともない収入が減った彼女は、住んでいたマンションの更新料の負担をきっかけに今後のことを考え、もう少し安い家賃の住まいを探すことを決意します。

そして引っ越した新しい住まいは、築45年、お家賃月5万円の小さな団地。

その団地で、借りるお部屋の大家・鈴さん(加賀まりこさん)と、訳あり“料理番”の司さん(宮沢氷魚さん)によって、食事で体調を整える薬膳を知ったさとこさん。さとこさんが団地での暮らしをはじめ、団地や新しい職場での人々との交流と、薬膳の知識を通して少しずつ元気になっていく様子が描かれる作品です。

原作の漫画も、ゆるやかなほっとするタッチの画風で読み進められますが、生きることの難しさについても考えさせられる奥深さを持つ作品で、このドラマではその世界観がよりリアルに、そして鮮やかに描かれています。

このドラマのすごいところは、何よりもまず、登場する俳優さんたちが原作の登場人物(キャラクター)にそっくり! なのです。

さらにメイク、そして俳優さんの演技力で、まさに漫画から登場人物が飛び出してきたかのよう。特に私が漫画でも夢中になっているふたりのイケメン、訳あり“料理番”の司さん(宮沢氷魚さん)と、麦巻さんの職場のデザイン事務所の社長である唐さん(福士誠治さん)がこれまたそっっっくり……!

そしてこの第7話は、原作でも神回だと思っていた、司さんと唐さんが初めて対面する回でした。

―麦巻さんが温泉地への移住を検討したことで、縁がつながった唐さん、青葉さん(田畑智子さん)、八つ頭さん(西山 潤さん)、反橋さん(北乃きいさん)、鈴さん、司さんの会食。唐さんは左から2番目です。髪形や目つき、そして包容力ある頼れる人間性が原作とぴったりなのです。
写真提供:NHK

この作品の登場人物は、それぞれが様々な事情を抱えています。
それ故か、はっきりとした「恋愛関係」などは描かれないのですが、唐さんも、司さんも、主人公の麦巻さんのことを憎からず思っているような描写が散見されます(麦巻さんを演じるのが桜井さんだから、なおのこと納得です……!)。

その絶妙な距離感にむずむず……きゅんきゅん! としてしまうのですが、ドラマでもその素敵すぎる描写は健在!

実写ドラマで素晴らしい俳優さんたちが演じられるのだから、その楽しさはひとしおでした。

さらに、原作では描かれなかった司さんと、唐さんの洗い物トスのシーンの尊さときたら……!

もう画面の前でお祈りポーズをささげてしまうくらい、ドラマのスタッフの皆さんに感謝の気持ちでいっぱい。

「好き」だとか、「愛してる」だとか、そんな強いセリフや演出があるわけではないのですが、司さんも、唐さんも、麦巻さんに健やかに生きていってほしい、どうか穏やかに日々が過ごせますようにと願っている様子が自然に伝わってきて、それはとてもささやかな好意かもしれませんが、それこそが「愛おしい」という気持ちを言葉にする以上に語っていたように感じられました。

そしてシンプルにイケメンふたりの交流の様子は、目の保養……!
楽しすぎるシーンを堪能させていただきました。

別れも出会いもある春の季節。寂しさも戸惑いも薬膳の“美味しさ”で、前に進む力に変える

写真提供:NHK

そして「春」の季節だった第7話。

この回は、原作ではさまざまな時系列で描かれていた別れと出会いのエピソードが1シーズンにまとめられていて、私も思わずホロリとしてしまいました。

麦巻さんが大切に思い、受験勉強も部屋を貸して応援していた高校生の弓ちゃん(中山ひなのさん)は、大学に受かって関西へ。そして司さんを通じて知り合った、長年引きこもりだった八つ頭さん(西山 潤さん)と、そのガールフレンドの反橋さん(北乃きいさん)も、移住が決まり団地から旅立っていきます。

持病の関係で、「いつか」や「もしも」の未来が考えられなくなってしまったドラマの中の麦巻さんは、旅立っていく人々を見て、自分だけが取り残されていくかのような気持ちにもなっているよう。

大好きだった薬膳も一旦お休み、塩むすびを食べています。

でもそんな麦巻さんの気持ちを、まわりの人たちと、春の薬膳の食材たちが前向きにしてくれます。

タケノコ、うどにフキノトウ、そして菜の花に空豆。

春を代表する食材は、デトックス効果に優れていて、春に起こりやすい気持ちの高ぶりにも効くといわれているそう。

それらを、一人で、みんなで、“美味しく”食べているシーンがたくさん登場していた第7話。寂しい、悔しい、悲しいといった気持ちが拭えないような、どうにもならない現実を目の前にしても、“美味しそう”と感じる心があればきっと前を向ける、というメッセージのように感じられて、じんわりと心が温かくなります。

さらに同じ団地に住む、SNSで人気のウズラさん(宮崎美子さんがこれまた原作のウズラさんにそっくり……!)と麦巻さんとの出会いも、そしてウズラさんのスーパーの見切り品でつくるお得料理も素敵でしたね。菜の花とフェンネルのパスタの美味しそうなことといったら(そう、まさにこれからが春まきのフェンネルの収穫時期です)!

ちなみに、これらの料理は、フードスタイリストの飯島奈美さんが担当されているそうです。数々の話題となった映画や人気ドラマの料理シーンを支えてきた、飯島さんの作るお料理だからこそ、原作でも描かれていたお料理の“美味しそう!”が再現されているのだと深く納得。

中島ノブユキさんの挿入歌も本当に素晴らしいので、観る薬膳のように気持ちのデトックスにぴったりですよ。

第7話では、大家さんの鈴さんから、今住んでいるお家のお部屋を譲り受けることにした麦巻さん。原作では描かれていない展開の第8話以降(※2025年5月15日時点で発売されている単行本では)も、じんわりと心に響きながらもドキドキしそうです。ぜひ、お楽しみに!

写真提供:NHK

この記事を書いた人

大人のおしゃれ手帖編集部

大人のおしゃれ手帖編集部

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