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「ドラマどころじゃなかった…」“震災直後の放送”に嘆く声あがるも…「どれだけ励まされたか」“社会現象”を巻き起こした秀作

  • 2025.6.25

子役たちの演技が光る作品は視聴者に大きなインパクトを与え、作品の面白さや奥深さを格段にアップさせます。今回は、そんな“子役の快演に心を打たれる”5選をセレクトしました。

本記事では第2弾として、2011年放送のドラマ『マルモのおきて』(フジテレビ系)をご紹介します。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

“子役の快演に心を打たれる”ドラマ『マルモのおきて』

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(C)SANKEI
  • 作品名:ドラマ『マルモのおきて』(フジテレビ系)
  • 放送期間:2011年4月24日~7月3日

あらすじ

高木護(阿部サダヲ)は、大手文具メーカー・あけぼの文具のお客様相談室に勤務するサラリーマン。学生時代は野球部で万年補欠の捕手だった護は、野球部同窓会でエースだった親友の笹倉純一郎(葛山信吾)と久しぶりに再会を果たします。妻・あゆみ(鶴田真由)との離婚後、男手ひとつで双子の子ども・薫(芦田愛菜)友樹(鈴木福)を育てていて見事な親ばかっぷりをみせる純一郎に、自分は無理だと言いながらも感心しきりの護。

そんなある日、野球部の仲間から純一郎の訃報の電話を受け取り、突然のことに激しくショックを受ける護。純一郎は最期まで護とは普通に付き合っていたいと、周囲に自分が末期ガンであることを護に言わないで欲しいと口止めしていました。

護は火葬場で、親族が家計を考えて双子をバラバラに引き取るという話をしているのを偶然耳にします。生前に「ずっと一緒にいることが子供たちには幸せ」と話していた純一郎の言葉を思い出し、釈然としない護ですが、どうすることもできません。しかし数日後、友樹が行方不明になったことをきっかけに、離れ離れになりたくない双子の想いを尊重して、護は2人と偶然見つけた“人語を話す犬”のムックと共同生活することを決意するのでした―。

『マルモのおきて』の見どころ※ネタバレあり

ドラマ『マルモのおきて』では、現在も活躍中の芦田愛菜さんと鈴木福さんが出演しています。当時2人は、子どもらしい自然体で可愛い姿を見せたかと思えば、号泣せずにはいられない感情表現を見せました。作品を視聴した人からは「福くんと愛菜ちゃんの演技のところで決まって泣いてる」「福くんとマナちゃんの演技やべえな」などの声が寄せられるほど、2人の演技は多くの方から絶賛されました。

また、血の繋がらない者同士が家族となり、不器用ながらも絆や愛を深めていく様子に目が離せません。「観た時の年齢や環境で解釈が変わる良いドラマ」「ファミリーの大事さを教えてくれる」「ドラマ史上最高の面白さ」など、絶賛のコメントが多く寄せられていました。特に阿部さん演じる高木護が、子育てに奮闘しながらも仕事と両立し、家族のために一生懸命になる姿は、多くの視聴者の共感や感動を呼んだことでしょう。

クランクイン前日に東日本大震災が発生…プロデューサー葛藤の日々

ドラマ『マルモのおきて』のクランクインの前日、多くの尊い命を奪った東日本大震災が発生。スタッフやキャストの安否を確認すると、主演を務めた阿部サダヲさんは東京都外にいたため、すぐ撮影地に向かうことができなかったそうです。

大変な状況のなかで、制作陣の間で撮影するかどうかについて議論が交わされます。議論の結果、クランクインを1日遅らせて撮影を開始することを決定。スタッフ・キャストが一致団結して制作されたドラマ『マルモのおきて』は、社会現象となるほどの人気を集めました。当時の状況をプロデューサーの橋本芙美さんは、次のように話しました

東日本大震災の被災者の方たちが食べるものも寝る場所にも困り、大切な人を亡くしたりもしている中で、現地でボランティアをするわけでもなく、娯楽であるドラマを撮り続けていいんだろうか?と葛藤しましたが、被災地の皆様から「マルモを見て元気が出た」「生きる活力になった」という声をたくさんいただいて、“心の栄養”も大切なんだと勇気をもらいました。
出典:『クランクイン前日に起きた東日本大震災。その中で考えさせられたエンタメを作るということ『マルモのおきて』橋本芙美プロデューサーインタビュー (後編)』 共同テレビ 2024年1月17日配信

SNSでは「ドラマどころじゃなかった…」という声も一部ありましたが、「間違いなく日本を明るくしてくれた」「東日本大震災の直後に始まったドラマで温かくて心が救われた」「どれほど被災地の方々の心を明るくしたか」「当時、 全国民の癒しだったはず」「どれだけ励まされたか」と多くの人々が本作に救われたと感じていることがうかがえます。

まだドラマ『マルモのおきて』を観たことがない方、また本記事を読んで興味を持っていただけた方は、“血の繋がらない家族の温かい成長物語”をぜひ目撃してみてください!


ライター:天木拓海
映画・アニメ・ドラマなど、エンタメ作品を観ることを趣味としているライター。エンタメ関連のテーマを中心に、作品考察記事/コラム記事などを手掛ける。

※記事は執筆時点の情報です