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約5割が『介護のために仕事をやめた…』→300人に聞いた“家族介護のリアル”に「どんどん追い詰められる」「鬱になりそう」

  • 2025.6.30
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「親や家族の介護が必要になったら、仕事はどうすればいいのだろう?」――これは、多くの人がいつか直面するかもしれない、切実な問いです。少子高齢化が進む現代において、介護と仕事の両立は個人の問題だけでなく、社会全体で取り組むべき課題となっています。実際に介護に直面した時、私たちはどのような選択を迫られ、どのようにその壁を乗り越えているのでしょうか。

今回、全国の20〜60代の男女300名を対象に行ったアンケート結果をもとに、介護によって「仕事を辞めた・働き方を変えた人の声」「両立を続けた人の工夫」まで、リアルな声をご紹介します。

家族介護のリアルとは?

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出典元:TRILL

今回、「現在、親など家族の介護をしていますか?」という問いに対し、約4割にあたる41.1%の人が「現在している」と答えました。

高齢化が進む中、家族による介護はますます身近な問題となっています。親の加齢に伴い、日常生活の手助けや見守りが必要になるケースも増加。

介護は身体的・精神的負担が大きい一方で、仕事や子育てとの両立に悩む声も少なくありません。こうした現状からも、家族介護が特別なことではなく、多くの人が直面する「日常の課題」となっていることがわかります。

介護によって、「仕事を辞めた」・「働き方を変えた」人も

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出典元:TRILL

さらに、「介護を理由に『離職』『転職』『働き方を変えた』経験はありますか?」という問いには、54.5%が「はい(働き方を変えた)」と答えました。

家族の介護は、日常生活だけでなく仕事のあり方にも大きな影響を及ぼしています。

在宅勤務への切り替えや時短勤務への移行など、柔軟な働き方を選ばざるを得ない人も多く、介護と仕事の両立は多くの人にとって現実的な課題となっています。

仕事を「辞めた」・「働き方を変えた」人の声

介護を理由に「離職」や「働き方の変更」を選択した人々からは、介護の負担の重さや、職場環境への課題が浮き彫りになります。

職場の有休、介護休業、介護休暇も全て使い切り、同じ職場で正社員からパート勤務に変えたものの勤務困難で辞めざるをえなくなりました。その後、介護の状況に合わせて仕事を転々とし、今もできる範囲で仕事をしています。仕事を辞めざるを得なくなった介護する家族への国の助成等もないので、収入も少なく生活が困窮しています。
施設を利用するにも年金だけでは足りず、自宅介護と仕事の両立がとても大変です。同じ状況の方が身近におらず、何年も孤独な気持ちを抱えていました。(40代女性)
実質自分の時間が取れず、ずっとハイなまま介護し続けるので、こちらの体調が崩れる。病院に行く時間も体力も残っていないので、どんどん追い詰められる。
鬱になりそうでした。もうどうにでもなってしまえと思ってしまいました。(30代女性)
働いていた時に仕事に行こうとすると寝たきりで介護が必要な父が急に具合が悪くなったり熱を出したり痰を詰まらせたりと仕事を休んだり遅刻したりすることが増えて社員の皆さんに迷惑をかけてしまうことが増えてしまうのが申し訳なくて辞めてしまいました。(50代女性)

これらの声からは、突発的な介護の発生、介護負担の心身への影響、そして職場の理解や制度が不十分であることへの課題が見て取れます。

特に、介護による負担は想像以上に大きく、個人の努力だけでは乗り越えられない壁があることが分かります。

仕事を「続けた」人の工夫と支え

介護と仕事を両立しながら「働き続けている人」は、順調に乗り越えているように見えるかもしれません。しかし実際には、多くの人が厳しい状況下で、日々ギリギリのやりくりを重ねています。

介護をしていて一番つらかったことは、下の世話と徘徊、暴言暴力です。数年前から認知症の兆候がハッキリ現れた母ですが、初期の頃、一番つらかったのは、徘徊と暴言暴力です。
乳飲み子を抱えている時に、急に真夜中、寝室に入ってきて、「私の財布を返せ!」などと怒鳴られたり、ドアを蹴られ続けたことが、一番きつかったです。(40代女性)
介護については要介護が必要なレベル程ではなく現状は問題がないですが、今後介護と仕事の両立を考えていかなければならない状態です。仕事で有給を取ることができ後日残業などにて対応出来ていますが、有給をどうしても取ることが出来ず、仕事を途中中抜けして対応をして、会社での雰囲気が悪くなることがあったのはとてもつらい状態でした。(30代男性)

このように、「仕事を続けている」人たちも、恵まれた環境にいるわけではありません。家族の協力や介護サービスの利用、職場の制度や理解に助けられながら、必死に日常を回しているのが実情です。両立の裏には、表に出にくい苦労と努力が隠されているのです。

一人で抱え込まないで、社会全体で支え合う介護へ

今回のアンケート結果から、介護は誰にとっても身近な課題であり、それが個人の働き方に大きな影響を与えている現状が明らかになりました。

介護と仕事の両立は、決して一人で抱え込むべき問題ではありません。企業は従業員が安心して介護に取り組めるような制度設計と運用、そして職場全体の理解を深める努力が求められます。社会全体としては、介護サービスの一層の充実、経済的支援の拡充、そして誰もが気軽に相談できる環境を整備していくことが不可欠です。

まずは「介護保険制度について調べてみよう」「職場の制度について聞いてみよう」「家族と介護について話してみよう」という、小さな一歩から始めてみてください。それが、安心して自分らしく働き続けられる未来、そして社会全体で介護を支える未来への大きな一歩につながります。


※本記事は媒体独自に募集したアンケートを元に構成しています

・調査方法:インターネットサービスによる任意回答(記述式)
・調査期間:2025/05/27〜2025/05/28
・調査対象:全国/20歳以上/性別不問
・有効回答数:300