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医師「実はシミじゃないかも」 紫外線によるシミと区別しづらい『肌トラブル』の特徴とは?【医師の監修】

  • 2025.6.29
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「鏡を見ていたら、いつの間にか頬にできた茶色い点が。これはシミ?」と心配になったことはありませんか?実は、肌の色素沈着や変色はシミに見えても、別の肌トラブルや病気であるケースも少なくありません。

見た目が似ているために自己判断しがちですが、正しい理解がなければ間違ったケアをしてしまう恐れがあります。今回は、『紫外線によるシミと間違えやすい肌トラブルの特徴と見分け方』について詳しく解説します。

なぜシミはできるの?メラニンと紫外線の関係

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

シミができる主な原因は、肌の中にある『メラニン』という色素の過剰な蓄積にあります。メラニンは、紫外線などから肌を守るために作られる天然の防御物質です。肌の表皮にあるメラノサイトという細胞が紫外線を浴びると、メラニンの生成が促進されます。このメラニンが肌表面に均等に分布すれば問題ありませんが、何らかの理由で特定の部分に集中すると、色素沈着として「シミ」として目立つようになるのです。つまり、シミは肌を守るための働きが過剰になることで発生すると言えます。

シミと見間違えやすい肌トラブルがあり、これらは原因や対処法が大きく異なります。例えば、単なる色素沈着であれば美白ケアが効果的ですが、湿疹や皮膚炎、あるいは皮膚がんの前兆である場合もあり、適切な医療対応が必要です。

紫外線によるシミ以外に、間違いやすい代表的な肌トラブルとその特徴

紫外線によるシミ以外で、似ている肌トラブルには以下のようなものがあります。

そばかす

小さくて薄い茶色の斑点が顔全体に散らばってできることが多いのが特徴。遺伝的な要素が強く、日光を浴びると濃くなる性質があります。シミよりも均一な色調で、形状も丸みを帯びています。

肝斑(かんぱん)

妊娠やホルモンバランスの変化、ストレスなどが誘因で、左右対称に頬や額に薄い茶色のシミのような斑点が広がります。摩擦や刺激で悪化しやすく、レーザー治療よりも内服薬等での穏やかな治療が適しています。

炎症後色素沈着(PIH)

ニキビ跡や虫さされ、やけどなどの炎症の後に色素が沈着してできるもので、赤みや黒ずみとして現れます。一般的には半年以内、長くても1年程で消えると言われていますが、原因となる炎症を繰り返すと長期間残ることもあり、刺激を避けることと保湿などが大切です。

脂漏性角化症(老人性イボ)

茶色や黒色で盛り上がっていることが多く、加齢に伴う良性の皮膚増殖です。シミ消しクリームなどでは消えず、自己判断で強引に取ろうとすると炎症や傷を起こすリスクがあります。

ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)

思春期以降に発症することが多い、灰青色〜褐色の色素斑が顔面(特に頬)に左右対称に出現する皮膚疾患です。真皮にメラノサイトが存在することが特徴です。

これらは治療方針も異なり、専門医の診察が不可欠です。例えば、肝斑はレーザー治療で悪化することがありますし、炎症後色素沈着は刺激を与えすぎることが逆効果に。自分で判断しづらい場合は、皮膚科や専門家で正しく診断を受けましょう。

※肝斑やそばかすも広域にはシミとされていますが、今回は紫外線によるシミとそれ以外を分類しています。

シミと見分けにくい肌トラブル、まずは専門家に相談を

「シミかも?」と気になる箇所がある場合、自分だけの判断で放置せず、別の肌トラブルの可能性も含めて慎重に見極めることが大切です。正しいスキンケアや治療をするためには、やはり皮膚科など専門機関を訪れてプロの診断を受けるのが最も安心です。

シミの悩みは多くの人が抱えていますが、ただのシミではないケースも意外に多いことを忘れず、早めの確認と対策を心がけましょう。


監修者:PRIDE CLINIC 院長 久野 賀子(https://pride-clinic.com/)

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2017年東京医科歯科大学医学部医学科 卒業。
日大板橋病院にて初期研修終了後、湘南美容クリニックに入職し、5年半勤務。
新宿本院皮膚科医局長として通常の勤務だけでなく、新人医師の指導、VIP対応、トラブル対応に従事。
2024年11月新宿二丁目にPRIDE CLINICオープン。