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医師「更年期が影響しているかも」→加齢で体臭が気になる…女性が気をつけるべき“臭いの特徴”や対策とは?【医師の解説】

  • 2025.5.31
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

年齢を重ねるにつれて、「自分の体臭が気になるようになった」と感じる女性が少なくありません。とくに更年期を迎える頃になると、それまであまり気にしていなかった“におい”に敏感になる人が増えます。

それはなぜなのでしょうか?ここでは、更年期における体臭の原因やその対策方法について詳しくご紹介します。

更年期に体臭が強くなる原因とは?

更年期になると、女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少します。実はこのホルモンには、皮脂の分泌を抑えたり、皮脂の酸化を防いだりする役割があります。そのため、ホルモンバランスが崩れることで、皮脂の分泌量が増え、酸化しやすくなり、結果としてにおいの原因となる物質が生じやすくなるのです。

さらに、更年期特有の身体的・精神的な症状も体臭に影響を与えます。たとえば、急な発汗やのぼせなどの「ホットフラッシュ」は、汗の量を増やし、皮膚上の菌と反応してにおいが発生する原因になります。出たばかりの汗自体はほとんど無臭ですが、汗が皮脂やアカと混ざり、細菌によって分解されると、不快なにおいが生じます。

また、気分の落ち込みやイライラ、不眠といった精神的なストレスも、「疲労臭」の原因に。ストレスや睡眠不足が続くと、肝臓の機能が低下し、アンモニアが体内で処理しきれなくなります。これが汗や呼気に乗って排出されることで、ツンとしたにおいが出るのです。

このように、更年期の体臭はさまざまな要因が重なって起こるため、ただの“加齢臭”では片付けられない複雑な問題なのです。

日常生活でできる体臭対策とは?

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

更年期に気になるにおいを軽減するには、まず生活習慣を整えることが大切です。

特に意識したいのが「抗酸化作用のある食品」の摂取です。体内の脂質が酸化することでにおいが発生しやすくなるため、ビタミンA・C・Eといった抗酸化栄養素を含む野菜や果物を積極的に取り入れましょう。にんじん、ブロッコリー、アーモンド、キウイなどがおすすめです。

また、動物性脂肪の多い食事を控えることも効果的です。脂っこい食事は過酸化脂質を増やし、体臭を悪化させる原因となります。牛肉や揚げ物、バターやチーズなどの摂取はほどほどに。

そして、体臭の根本的な要因ともなる「ストレス」への対処も欠かせません。更年期には精神的な不調が出やすくなるため、自分なりのリラックス方法を見つけることが大切です。好きな音楽を聴いたり、自然の中で過ごしたり、誰かと話すだけでも効果があります。

汗への対策もシンプルですが重要です。汗をかいたらこまめに拭き取り、衣類を着替えることで雑菌の繁殖を防げます。ホットフラッシュを感じたときは、冷たいタオルで首元を冷やすと、気分も落ち着きます。

そして何よりも、「良質な睡眠」が非常に重要です。睡眠中には体の修復や活性酸素の除去が行われます。夜更かしや寝不足は体臭だけでなく、ホルモンバランスの乱れにもつながるため、睡眠のリズムを整え、しっかりと休息をとるようにしましょう。

ストレスを感じすぎないで

日本人はとくに「におい」に敏感な傾向があり、他人と比べて気にしすぎてしまう人も少なくありません。しかし、においへの過度なストレスは、更年期症状そのものを悪化させる原因になりかねません。

においが気になるときは、できる対策を行い、それ以上はあまり気にしないことも大切です。「ケアすれば大丈夫」と考えることで、心も身体も軽くなります。においの変化をネガティブに捉えるのではなく、今の自分に必要なケアとして受け止め、無理のない範囲で心地よく過ごしていきましょう。


監修者:浅草橋西口クリニックMo 頴川 博芸

静岡県沼津市出身。日本大学医学部中退、東海大学医学部卒業、順天堂大学大学院医学研究科修了。順天堂大学医学部附属静岡病院で初期臨床研修修了後、順天堂大学医学部附属順天堂医院、越谷市立病院、順天堂大学医学部附属練馬病院などを経て現在は浅草橋西口クリニックMo院長、順天堂大学医学部附属順天堂医院食道・胃外科非常勤助手。資格は日本専門医機構外科専門医、日本温泉気候物理医学会温泉療法医、日本医師会認定産業医など。趣味は旅行。