80年代を席巻した“シガレットデニム”がカムバック──ダイアナ元妃も愛した一本を、今どう着こなす？

2025.5.12

“スリム”旋風、再び──2025年春夏、シガレットパンツがカムバック

ランウェイに、“スリムパンツ”が戻ってきた。長らく続いたワイドパンツ一強の時代に終わりが見え始め、2025年春夏コレクションでは、マックイーン（MCQUEEN）やバレンシアガ（BALENCIAGA）がスキニージーンズを提案。シャネル（CHANEL）は、パリらしいストレートレッグやクロップドトラウザーズで洗練されたムードを演出し、マルニ（MARNI）やボス（BOSS）は、フィット感を重視したシルエットで“スリム”回帰を印象づけた。そして今、その流れをさらに後押しするように、80年代の“シガレットパンツ”がスポットライトを浴び始めている。

“シガレットパンツ”とは、その名の通り、まるでタバコのようにスリムで直線的なシルエットが特徴のパンツ。膝から足首にかけて真っ直ぐ伸びるストレートカットと、足首をかすめるような丈感が、どこかノスタルジックで、時代を超えたエレガンスを漂わせる。オードリー・ヘプバーンやダイアナ元妃など、時代を超えて多くのアイコンに愛されてきたこのパンツは、スキニーほど体に密着せず、ストレートよりもシャープ。そんな“ちょうどいい”バランス感が魅力だ。

今季のデニムトレンドを見渡せば、レトロへの回帰は明白。ベラ・ハディッドの最新ストリートルックには、Y2Kムード漂うローライズのブーツカットが登場し、カプリパンツやクロップドスタイルも復活の兆しを見せている。そんな流れの中で、シガレットジーンズのリバイバルは、ある意味必然的。トレンドが“スリムフィット”へと向かう今、シガレットパンツへの注目が再び高まりつつある。

そんな“気分”を、この春どう着こなす？

2025年春夏のファッショントレンドは、過去の名作へのオマージュがキーワード。80年代に人気の頂点を極めたシガレットパンツも、そんな“過去からの贈り物”のひとつだ。ここでは、ポップアイコンたちが愛した“黄金時代”の着こなしを振り返りつつ、現代のムードにアップデートするヒントをお届け。あの頃のエッセンスをヒントに、今のワードローブにしっくりなじむ“自分らしいスタイルを見つけて。

アイコンが愛した、シガレットパンツの黄金時代

これぞ、80年代を象徴するクラシックな着こなし。デボラ・ハリーからマドンナまで──ポップアイコンたちを体現するようなスタイルだ。なかでもマドンナの装いは、そのシンプルさゆえに心を奪う。当時のムードを気軽に楽しむなら、足もとはパンプスで少しフェミニンに“ハズす”のが正解。

一方で、ダイアナ元妃はこのトレンドを異なるアプローチで取り入れた。タンカラーのカウボーイブーツにジーンズをブーツインし、グラフィック入りのスウェットシャツ、キャップ、ブレザーを合わせたルックは、カジュアルさと王室らしい品格を見事に融合させた“アイコニック”な装い。リラックス感も気品も諦めない彼女のスタンスは、今なお色褪せることなく、コンテンポラリーに映る。ちなみに、ジーンズをブーツインするスタイルは今季じわじわと復活の兆しを見せている。

では、もし80年代のエッセンスをミックスしたら？その答えを体現しているのが、唯一無二のファッションアイコン、サラ・ジェシカ・パーカーだ。これ以上ないほど“80年代”を感じさせるそのルックでは、ミディアムウォッシュのシガレットジーンズの裾をロールアップし、白のTシャツを合わせている。大きなラペルが特徴的なオーバーサイズジャケットを羽織り、足もとにはプレッピーなスニーカーをチョイス。スポーティなムードを漂わせながらも、どこかリラックスしたエレガンスを感じさせる。

コンバースで仕上げる都会派シンプル

最もベーシックで、どんなシーンにも頼れるスタイルを完成させるなら、きれいなシルエットのパンツに、ベーシックなトップス、そして名作「コンバース」を合わせるだけで十分だ。そこに、存在感のあるバッグや遊び心のある小物をプラスして、脱・ワンマイルを狙って。

デニムとTシャツで叶える、最旬80sスタイル

80年代のムードを今のスタイルに落とし込むのは、実は驚くほど簡単。短めのデニムにベーシックなTシャツ、そして華奢なストラップヒールを合わせれば、それだけでオフィスにも週末のお出かけにもフィットする、今っぽいスタイルが完成する。

レトロを再構築。ミックス感で魅せる新しいスタンダード

最後にもうひとつ、今の気分に寄り添う、アップデート版のシガレットスタイルをご紹介。都会的でカジュアルなムードを纏うシガレットジーンズに、ロング丈のベルト付きオーバーシャツでフォーマルなエッセンスをプラス。足もとは、キトゥンヒールでさりげなくフェミニンに。上半身は60年代、下半身は80年代──そんな時代をまたぐ絶妙なミックス感が、いまのムードにしっくりと馴染む。レトロとモダンが交差する、今こそ取り入れたいシルエットバランスだ。

Text: Paulina Berges Adaptation: Saori Yoshida

From : VOGUE.MX

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