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SNSの『育児短歌』にママたちが続々共感!【歌人・高田ほのかさん×笹川友里さん】

  • 2025.5.4
高田ほのかさんと笹川友里さんが詠んだ句と顔写真

ここ数年、SNSを中心に巻き起こる空前の短歌ブームですが、VERYモデルの笹川友里さんも、興味を持っている一人。文化的活動と距離ができてしまった子育て中の今と、三十一文字という限られた枠で表現をする短歌の相性の良さを実感しているそうです。今回は歌人・高田ほのか先生を迎え、VERY誌上で歌会を開催してみました。

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筆を持つVERYモデルの笹川友里さん

笹川さんは、大河ドラマの『光る君へ』を観て、短歌に興味を持ったそうですね。

はい。短歌って、こんなに情景が浮かぶものなんだと驚いたんです。それから歌集も読むようになりましたが、俵万智さんが子育て中の様子を詠んだ『プーさんの鼻』にはドキリとしました。母性も命も喜びも生々しさも入り混じっている。母親の自分だけが知っている忘れたくない瞬間が、日常には沢山あると改めて気づきました。

短歌の面白さはまさにそこです。短歌に触れていると、つい効率重視になってしまいがちな生活の中で、微かなにおいや温度に気づいて、「今」に一瞬立ち止まることができる。相手に伝えるほどでもない出来事を永遠の記録として残せます。

たしかに手触りやにおいを写真では覚えていられないし、自分だけがわかる形で残しておけたら嬉しいですね。あとで読み返したらニヤッとしちゃうような(笑)。

そうそう。例えば、もやもやを書き殴った日記は読み返すとしんどくなるけれど(笑)、選び取った言葉を紡ぐ短歌なら笑いに変えられたりもする。短歌は、少しだけ“第三者になれる”ところもいいんです。そういえば今回、笹川さんは初めて短歌を詠んでくださったんですよね(下記)。とても素敵でしたよ。お母さんである今の笹川さんにしか詠めない短歌です。帰り道の大変さも、愛おしさも伝わってきました。

高田ほのかさんと笹川友里さんが詠んだ句と顔写真

ありがとうございます。すごく面白かったのですが、正直難しかったです。状況説明になってしまったというか……。先生なら、この情景をどんな風に詠まれますか?

例えばこんな感じはいかがでしょう。“1歳と5歳とネギを抱えながら「さんぽ」を歌う夕暮れの道”。

わあ、一気に素敵な短歌になりました!ポイントは何でしょうか。

三十一音の外側の世界を読者に想像させる余白があるか、がポイントかもしれません。笹川さんにとって夕方の時間が“宝物”であることを、ズバリその言葉を使わずとも表現できると、いい歌になると思います。

なるほど〜!今回短歌に向き合ってみて、俳句に比べ短歌は自由だとも感じました。ルールはあるのでしょうか。

いい発見ですね。短歌のルールはたった一つ。“五七五七七”の三十一音で詠むことです。俳句と異なるところといえば、意識がより内側に向くことではないでしょうか。俳句は季語を柱として詠むので、意識が外側へ向く。対して短歌は心を詠む文芸なので、意識が内側に向くんです。

色々な気持ちを置き去りにしている今の自分に、ますます短歌が必要な気がします。今回、久しぶりに文化的欲求が満たされた感覚にもなりました。第二子出産後はとくに、日々のタスクをこなすことに精一杯で、読書や映画鑑賞などの大好きなことから遠ざかっていたから……。“三十一音”って、忙しいママたちにこそフィットするなあと思いました。ちなみに、短歌を詠む第一歩は、何から始めれば良いですか?

日常の中で、感じたことや情景をスマホのメモに残しておくことをおすすめしています。そのすべてが短歌のタネになる。子育てをしながら、「爪が伸びるのが早いなあ」とか「まつ毛がほっぺに乗ってた」とか、そういうことでいいんです。ちなみに私の場合はガラケーにメモをしています。自分にとって宝物だと感じる日常のひとこまが、詠む人にとっては新鮮な物語になるんです。

高田ほのかさん
笹川友里さん

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撮影/馬場わかな(取材、人物)、光文社写真室(静物) スタイリング/山本有紀(笹川さん) ヘア・メイク/TOMIE 取材・文/藤井そのこ 編集/城田繭子
*VERY2025年4月号「VERY誌上子育て歌会」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。

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