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やっている人多いけど…かえって危険?!『家族の介護』で絶対に避けるべき“NG行動”とは?【プロが解説】

  • 2025.5.17

 

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

家族の介護が始まると、誰もが「少しでも楽にしてあげたい」と思うもの。

しかしながら、介護はほとんどの人にとって初めての経験であり、正しい知識や技術がないまま、自己流で介助してしまうケースも少なくありません。

中には、善意からの行動がかえって危険を招いていることもあるのです。「その介助、危険です」――今回は多くの人が無意識にやってしまいがちな“間違った介助法”について、わかりやすくご紹介します。

やりがちな「引っ張る・持ち上げる」は、実はNG

介助の場面で最もよく見られるのが、「手を引っ張る」「脇の下を持ち上げる」といった動作です。ベッドからの起き上がり、立ち上がり、歩行のサポート時など、反射的に行ってしまいがちですが、これは身体に大きな負担をかけてしまう危険な介助法なのです。

特に高齢者は筋力が低下し、関節ももろくなっているため、腕や脇を強く引っ張ると、肩関節の脱臼や皮膚の裂傷、骨折などの事故につながる恐れがあります。また、介助する側も、無理に体重を支えようとすることで、腰を痛めるなどのリスクがあります。

正しい介助法は、「引く」のではなく、「支える」が基本です。例えば、立ち上がりを補助する際は前傾姿勢をとってもらい、足元を安定させたうえで体を前に押し出すようにサポートします。手や脇を持つのではなく、腰やお尻のあたりに手を添えて動きを促すことがポイントです。

ついやってしまう「引っぱる」介助は、介護に慣れていないために起こりがちなミスです。誰にでも起こり得る行動だからこそ、正しい方法を知っておくことが大切です。

「急がせる」「手順を省く」が招く転倒や混乱

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

介護に慣れてくると、つい「効率」を求めてしまうことがあります。

特に忙しい日常の中では、「もう少し急いでくれるとよいのに」「この動きは省略しても大丈夫だろう」と感じる場面もあるかもしれません。しかし、この「相手を急がせる」「手順を飛ばす(省略する)」という行動が、大きなトラブルになる可能性があるのです。

たとえば、トイレへの移動中に介助を受ける方がご自身で足を出すのを待たず、急いで押したり引いたりしてしまうと、バランスを崩して転倒してしまう可能性があります。また、「車いすに乗せたからベルトはしなくても大丈夫だろう」といった気の緩みから、思わぬ事故につながったという事例も報告されています。

さらに、介助の声かけが少ないと、介助を受ける側が動きについていけず、混乱や不安を感じてしまうこともあります。「今から立ち上がりますね」「右足を動かしましょう」など、ゆっくりと段階を踏んで伝えることが、本人の安全を守るうえでも、安心感を持ってもらううえでも欠かせません。

介助は「ゆっくり」「丁寧に」「声をかけながら」行うのが基本です。「慌ただしさから介助を省略することが事故や不安につながる」という意識を持つことは、家族介護において非常に大切です。


監修:寺崎芳紀(株式会社アースソリューション 代表取締役)
東京都生まれ。明治大学政治経済学部卒業。大手介護事業会社にて数多くの介護事業所開発や運営に携わる。2007年より現職。経営コンサルタントとして医療機関・介護事業所運営のコンサルティングサービス等を行い、現在に至る。