1. トップ
  2. 医師「50歳を過ぎると発症が増える」→実は“痛みや痒み”を発症する…『帯状疱疹』の初期症状と対策とは?【医師の解説】

医師「50歳を過ぎると発症が増える」→実は“痛みや痒み”を発症する…『帯状疱疹』の初期症状と対策とは?【医師の解説】

  • 2025.5.30
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

帯状疱疹、と聞いてピンとくる方は少ないかもしれません。帯状疱疹は50歳を過ぎると発症が増えはじめ、80歳までに約3人に1人が発症するといわれています。

特に早期の症状を見逃してしまいがちで、その結果、痛みや合併症が長引いてしまうことも。今回は、帯状疱疹の初期症状とその対策について、医師の視点から詳しく解説します。

あなたにも迫る可能性あり!帯状疱疹とは?

まずは、帯状疱疹がどのような病気なのかを理解しましょう。

帯状疱疹は、子供の頃にかかった水痘(水ぼうそう)のウイルスが体内に潜んで再活性化することで発症します。体の免疫力が低下したときに、神経を通じて活発化し、皮膚に発疹や痛みを引き起こします。特に50歳以上の方や体調を崩した時に発症しやすいと言われていますが、若くてもストレスや睡眠不足が原因で発症することがあるのです。

帯状疱疹は、体の片側にピリピリ・チクチクとした痛みやかゆみなどの違和感が現れるのが初期症状です。数日後、違和感のあった部分に小さな発疹が出始め、やがて水ぶくれに変化して帯状に広がります。主に胸や背中、腹部に現れますが、顔や目の周囲に出ることも。水ぶくれは1週間ほどで破れてかさぶたになり、皮膚症状は通常3週間前後で治まります。多くの場合、皮膚の治癒とともに痛みも和らいでいきます。  

初期の段階で「ただの肌荒れかもしれない」と軽視してしまうことが大きなリスクです。適切な対策や専門医の診断を受けることで、症状の進行を食い止めることが重要です。

早めの対策が鍵!帯状疱疹の症状と診断

帯状疱疹の発疹は、体の特定の神経に沿って帯状に広がります。

最もよく見られるのは、胴体や顔の片側です。この特徴的な発疹が現れた場合、すぐに専門的な医療機関を訪れることが大切です。皮膚科や内科の医師が診断を行い、抗ウイルス薬による治療が開始されます。抗ウイルス薬は発症からできるだけ早く、遅くとも72時間以内に服用を開始することが、症状を軽減し、重篤化を防ぐ最良の手段です。

また、帯状疱疹には希に合併症も発生します。「帯状疱疹後神経痛」は、皮膚症状が治まった後、通常は痛みの刺激とならないような軽い接触によっても痛みが生じるようになります。50歳以上の方は帯状疱疹後神経痛を発症しやすく、加齢とともに移行率が高まり、神経痛が長引くリスクも高いと言われているため、こちらも早期治療が重要となります。

予防策で重症化のリスクを減らそう

undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

帯状疱疹を避けるための最も効果的な方法は、予防接種です。

特に50歳を超えると免疫が薄れ、この病気のリスクが高まるといわれています。予防接種は、発症を完全に防ぐものではありませんが、発症しても軽症で、後遺症の予防につながるとされています。

こちらはこれまでは任意の接種でしたが、令和7年度より定期接種が開始されます。該当の年齢の方には、自治体より接種のための補助券が発行される予定ですのでご確認ください。定期・任意の予防接種について、気になる方はかかりつけ医と相談してみてください。

また、日々の健康管理も重要です。バランスの良い食事、十分な睡眠、適度な運動によって、免疫力を維持することが、帯状疱疹の予防につながります。特に忙しい現代社会においては、ストレスを管理することも大切です。

もし疑わしい症状が現れた場合、自己判断せず、医師の診断を仰ぎましょう。

放置せずに早めの受診を

帯状疱疹は、決して軽視できない健康上の問題です。最も重要なのは、初期の兆候を見逃さず、迅速に対応すること。

日頃から体の変化をチェックし、必要があればすぐに医師や専門家を受診しましょう。

また、日々の健康管理はもちろん、予防接種などさまざまな予防策があるので、ぜひかかりつけ医と相談してみてください。


監修:林 瑠加

慶應義塾大学形成外科学教室に約10年間在籍し、一般形成外科、小児、再建分野を幅広く担当。2015年からは4年半、カンボジアに居住し現地での臨床にも従事した。帰国後は形成外科に加え一般皮膚科、美容皮膚科の経験を積み、2024年11月に品川区西五反田に形成外科・皮膚科・美容皮膚科を標榜する「LIKKAスキンクリニック」を開業。患者様の身近なお悩みに対応すべく、保険・自由診療双方からのアプローチで診療を行っている。形成外科専門医、抗加齢医学会専門医、創傷外科専門医。