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UKシーンを沸かす4人組、イングリッシュ・ティーチャーに注目【FAB FIVE】

  • 2025.4.26
Photo_ Tatiana Pozuelo
Photo: Tatiana Pozuelo

メンバーの家族や親戚に英語教師が多いためそう名づけられたイングリッシュ・ティーチャー。英国の4人組インディロックバンドのフロントウーマン、リリー・フォンテインの家庭もまさにそうだ。幼い頃からたくさんの本に囲まれて育ったという。「家には本がいっぱいで、いつも本ばかり読んでいました。週末になると図書館に行ってヤングアダルトの棚を片っ端から読破したり(笑)。なかでもSF小説やディストピア系に惹かれます」

昨年マーキュリー賞を受賞したデビューアルバム『This Could Be Texas』にも、詩や小説からの引用が多数ちりばめられている。イングランド北西部にある故郷コルンへの愛がノスタルジックに綴られ、同時に人種に対する偏見をやんわりと批判する。「当時はあまり深く考えたり悩んだりしてはいませんでした。でも、私という人間の形成に大きく影響しているのは確か。常に“どちらか”ではなく“どちらでもない”という存在で、それはこのアルバムの大きなテーマでもあります。人種だけでなく、さまざまな事柄に当てはまると思います」

ひとつの枠に囚われないのは、このバンドのサウンドも同様だ。ポストパンクからプログレッシブ・ロック、フォーク調からチェンバーポップまで実に多様なサウンドが、機知に富んだ手法で演奏される。「もともと“こういう音楽をやろう”といった話はせずに、リーダーも決めず、自由にやってきたバンドです。ジャンルや音楽性を限定せず、気の赴くままに......ギターでうまくいかなければ、ピアノに代えたり臨機応変。でも、なかなか決められないのが、今夜どういう服装でステージに立つのか。いつも大きな悩みです(笑)」

1 曲作りで常に心がけていることは?

映画やテレビ、文学や音楽、そしてもちろん人からもインスパイアされていますが、常に心がけているのが、シリアスなテーマであったとしても決してユーモアを忘れないこと。笑うのは、とても素晴らしいことだと思っています。

2 書籍からの引用が歌詞に多くありますが、お気に入りの小説をひとつ選ぶとすれば?

Photo_ Animal Farm by George Orwell Kindle version/Aeons Classics, Jan Thijs
Photo: Animal Farm by George Orwell Kindle version/Aeons Classics, Jan Thijs

ジョージ・オーウェルの『動物農場』です。SF小説の大ファンなのでオクティヴィア・E・バトラ ーも大好き。SFの中では非現実的な世界が描かれているけれど、その一方で社会批判など現実問 題も盛り込まれていて、そこが素晴らしいと思います。私が関心をもつ2つの要素が宇宙の中で合体しているわけですから(笑)。

3 大好きなSF映画は?

映画『メッセージ』のワンシーン。Photo_ © Paramount Pictures /Courtesy Everett Collection
映画『メッセージ』のワンシーン。Photo: © Paramount Pictures /Courtesy Everett Collection

たくさんありすぎて、どれを挙げればいいのか...…『スター・ウォーズ』もSFに入れていいですか? あと、全然タイプは違っているけど『メッセージ』やジャレッド・レト主演の『ミスター・ ノーバディ』なども。シュルレアリスティックな世界観に魅せられます。

4 子どもの頃に、部屋に貼っていたポスターは?

エイミー・ワインハウス。残念ながら彼女は他界してしまったけれど、彼女の音楽が大好きでした。彼女の音楽性は、私とは違っているけれど、彼女の書く歌詞はユーモアのセンスが最高。自身のことを面白おかしく描き、常に笑いを忘れないという。彼女の唯一無二のスタイルがとてもユニークだと思います。

5 あなたと同じくミックスレイスで尊敬するアーティストは?

コリーヌ・ベイリー・レイがずっと大好きで、初めてギターで弾いたのも彼女の曲でした。確か彼 女の出身地は、私が今住んでいるリーズだったように思います。まったく同じバックグラウンドで はないけれど、お互いカリブのルーツをもつ父とイギリス人の母の間に生まれたという点で共通し ています。先日、彼女と初めて会うことができましたが、とても素晴らしい......本当に素晴らしい 体験でした。

Text: Hisashi Murakami Editor: Yaka Matsumoto

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