婚約前から結婚準備をはじめるカップルが増加──「ストレスの溜まるプランニングを、より楽しいものにしてくれる」

2025.4.26

通常は指輪を買い、相手にプロポーズをしてから結婚式をプランニングする。しかし、最近はその順序を踏まず、婚約前から式場やウエディングドレス探しに乗り出すカップルが増えているという。アメリカのウエディングサイト「Zola」が行った調査によると、対象となったカップルのなんと100％が婚約する前から結婚式の準備を何かしら始めた。ムードボードの作成からブライダル業者のリサーチ、式場の内金の支払いに至るまで、昨今のカップルは結婚式に関しては先手先手で動いているそうだ。

こういったカップルは顕著に増加しており、婚約前のカップルからの問い合わせや予約が殺到していると多くの業界関係者はいう。「婚約はまだだけど、すでに結婚式のプランニングを始めたカップルを担当したことがあります。式場見学もして、会場の予約までされました」とウエディングプロデュース会社「Callista & Co.」のクリエイティブ・ディレクター、カリスタ・オズボーンは語る。「その後、新郎がプロポーズを計画するのをお手伝いしました」

インスタグラムで呼びかけたところ、このような早期予約がいかに急増しているかを語るブライダル関係者からのメッセージが殺到した。あるプランナーは、契約したクライアントの半数とは婚約前からやり取りを始めており、ある程度経ってからプロポーズの報告を受けると教えてくれた。また別のフォトグラファーは、数年先の日程を押さえるカップルの多さに驚かされるという。中にはもうじきプロポーズされる“予感”がするからと、早々に予約を入れたプレ花嫁がいたというエピソードを持つイラストレーターもいた。

アメリカとヨーロッパを中心に、ワンランク上のブライダルイベントを企画するウエディングプロデュース会社「Apricity Event Co.」の共同経営者であるレイチェル・アーバンは、今年だけで婚約前のカップル2組から結婚式のプランニングの依頼を受けたと話す。「正直に言うと、昨今のカップルには同情します。ブライダル業界の需要はかつてないほど高まっており、それが世のカップルを焦らせ、『早く準備を始めないと出遅れてしまう』というプレッシャーを感じさせるんです。焦る気持ちもわかります」

さらに、アメリカでも晩婚化が進んでおり、すでに同棲済みで、年齢をある程度重ねているカップルの多くは、将来の計画やお金のあれこれをよりオープンに話す。そういったカップルは「結婚」や「結婚式の費用」といった人生における大きな決断やお金について早い段階で話し合う。大体の目処がつけられるのであれば、なるべく早く準備を始めたいと思うのはもっともだ。

エンゲージメントリング選びも2人で。プロポーズは後日サプライズで

Hands of newlywed couple cutting wedding cake near guests

付き合っている段階からウエディングの計画を立てることで、ストレスが溜まる結婚準備を2人でより楽しむことができる。そして「Zola」の調査によると、2025年に挙式を予定しているカップルの54％が、パートナーと一緒に婚約指輪も選んでいる。これについてジュエリーデザイナー数人に尋ねると、その大半が、エンゲージメントリングのデザインを片方のパートナーではなく、両者から相談されることが多いと語った。お互いが気に入るものを予算内で制作するためにカップル揃ってデザインに携るものの、プロポーズ自体は従来通りサプライズで行うそうだ。

プロポーズを計画するのはそれはそれで大変なことだが、肝心な「結婚の申し込み」を飛ばして式場を予約するのは、いささか早まっているように感じる。しかし「Zola」の調査では、まさにそのように結婚準備を進めているカップルの割合がすでに前年から倍増している。人気の時期や会場は何年も前から予約で埋まってしまうことがあるため、空きを見つけたタイミングで思い切って式場を押さえるカップルもいるのだそう。身近なところで言うと、先月、ある知り合いが家族が有名な式場の内金を出してくれたと打ち明けてくれた。その時点で彼女はまだパートナーと婚約しておらず、結婚式の日程も来年の春とまだ先だ。そんな彼女は先週、インスタグラムで婚約報告をした。

前もって結婚式のプランニングを始めることは、むしろ計画性があっていいとも言える。そして婚約前から結婚準備を始めるカップルの増加は、より熟考して式全体を計画したい人たちが増えていることを示している。「この人と一生添い遂げる」とすでに決めているのであれば、プロポーズされるまで式の準備を始めるのを待つ必要はないのかもしれない。

Text: Shelby Wax Adaptation: Anzu Kawano

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