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【南青山】根津美術館「財団創立85周年記念特別展 国宝・燕子花図と藤花図、夏秋渓流図 光琳・応挙・其一をめぐる3章」

  • 2025.4.26

光琳・応挙・其一、金屏風の豪華競演

根津美術館で開催中の「財団創立85周年記念特別展 国宝・燕子花図と藤花図、夏秋渓流図 光琳・応挙・其一をめぐる3章」[2025年4月12 日(土)~5月11日(日)]を見て来ました。

尾形光琳の国宝《燕子花図屏風(かきつばたずびょうぶ)》や円山応挙の重要文化財《藤花図屏風(ふじはなずびょうぶ)》、鈴木其一の重要文化財《夏秋渓流図屏風(なつあきけいりゅうずびょうぶ)》が一堂に会します。

総金地の背景に、草花や花木が描かれた6曲1双の金屏風は、制作年代や、場所は異なりますが、互いにつながりを感じさせる画風には不思議な魅力があります。

根津美術館所蔵の国宝・重要文化財あわせて100件から、光琳・応挙・其一の日本の近世絵画3件と、その魅力をさらに増してくれる作品の豪華競演です。

※特別な許可を得て撮影しています。館内は撮影禁止です。

円山応挙(まるやまおうきょ)、重要文化財《藤花図屏風》と円山派、四条派

重要文化財《藤花図屏風》

円山応挙の「写生画」の真髄を感じさせる重要文化財《藤花図屏風》。

総金地の背景に、幹や枝、蔓(つる)を付立て(つけたて)と呼ばれる一筆で描く技法で表し、墨の濃淡で藤の樹形を立体的に見せています。 画面上部から垂下して咲く藤の花の色は、白を塗ったその上から青や紫の絵具を重ねて描かれ、印象派の絵画を思わせるとされています。

初夏の透明な風が吹き抜けるような金地の空間の奥行と広がりを感じさせる応挙の名品です。

 

出典:リビング東京Web

重要文化財 藤花図屏風 円山応挙筆 6曲1双 紙本金地着色 日本・江戸時代 安永5年(1776) 根津美術館蔵

京町家を飾った襖絵、重要美術品《花鳥図襖(かちょうずふすま)》、重要美術品《草花図襖(そうかずふすま)》

重要美術品《花鳥図襖》(左)。春初の水辺に遊ぶ水鳥を淡彩の没骨描写で抒情的に描いた襖絵です。円山派と四条派それぞれの特色が見られるとされています。 松村景文(まつむらけいぶん)は呉春の異母弟で四条派の草花図の様式を確立した絵師です。

右側は、金砂子が華やかな山口素絢(やまぐちそけん)筆の重要美術品《草花図襖》。秋の草花を中心に、冬から春にかけての草花、石蕗や水仙などが描かれています。筆者の山口素絢は応挙の高弟の1人です。

 

出典:リビング東京Web

左から、重要美術品 花鳥図襖 松村景文筆 9面のうち4面 紙本着色 日本・江戸時代 文化10年(1813)、重要美術品 草花図襖 山口素絢筆 4面 紙本着色 日本・江戸時代 文化10年(1813)、鹿図(龍・鹿図のうち) 森狙仙筆 1幅 絹本墨画淡彩 日本・江戸時代 18世紀 すべて根津美術館蔵

尾形光琳(おがたこうりん)、国宝《燕子花図屏風》、宗達工房《桜下蹴鞠図屏風(おうかけまりずびょうぶ)》

国宝《燕子花図屏風》

金地を背景に意匠化された燕子花の花や葉が群青と緑青の濃淡のみで描かれています。左右隻の対照と均衡を保ちつつリズミカルに配された燕子花の群生はまるで連続したメロディーを奏でているよう。 燕子花の群生の動きのある配置だけで『伊勢物語(いせものがたり)』の第九段カキツバタの名所「八橋(やつはし)」の場面をイメージさせます。

国宝《燕子花図屏風》は、俵屋宗達(たわらやそうたつ)に私淑して学んだ尾形光琳の40代半ばで到達した日本絵画史上の代表作です。

 

出典:リビング東京Web

国宝 燕子花図屏風 尾形光琳筆 6曲1双 紙本金地着色 日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵

重要美術品《桜下蹴鞠図屏風》

俵屋宗達の工房で制作されたと考えられている重要美術品《桜下蹴鞠図屏風》。

右隻は、満開の桜の樹で囲まれた懸り(かかり)、あるいは鞠壺と呼ばれる場所で蹴鞠を楽しむ公達や僧侶、稚児が描かれています。上部がトリミングされた桜の樹の下で、画面中央・上方の鞠にプレーヤーたちの視線が集まり安定した構図となっています。

左隻は、鞠壺と隔てるように垣根が斜めに描かれ、左下に主人を待つ従者たちが水辺でくつろいでいます。画面・左側を大きく覆うように描かれた水辺の曲線が全体の安定感に揺らぎを与えているようで、それがこの作品の面白味になっています。

 

出典:リビング東京Web

右、重要美術品 桜下蹴鞠図屏風 6曲1双 紙本金地着色 日本・江戸時代 17世紀、左、国宝 燕子花図屏風 尾形光琳筆 6曲1双 紙本金地着色 日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵

鈴木其一(すずききいつ)重要文化財《夏秋渓流図屏風》と個性が際立つ絵画作品から《鷲鷹図屏風(わしたかずびょうぶ)》

鈴木其一《夏秋渓流図屏風》

右隻には、白い山百合の花が咲く夏を、左隻は秋の色づいた桜の葉が描かれています。

鈴木其一の代表作、重要文化財《夏秋渓流図屏風》。よく見ると不思議な表現に溢れている作品だそうです。 青に金泥で流水の線が引かれた左右から中央へ流れ込む渓流は、ねっとりとした質感があります。 檜の根本を包むような土坡の緑は、岩の上から溶け出しそうです。苔が岩や幹に点々として今も増え続けているかのよう。

其一のパトロンだった松澤家の注文による可能性が高いそうですが、はっきりしたことはまだ分かっていません。

《鷲鷹図屏風》

曾我宗庵(そがそうあん)筆の《鷲鷹図屏風》。

江戸時代、武家の間で儀礼としての鷹狩が行われ、鷹は武力と権力の象徴として贈答や威信材として大切にされ、鷹図が盛んに描かれました。また鷹匠には流派があったそうです、 曾我宗庵は、詳しいことは分かっていないそうですが、曽我派の画家と思われ、同派の鷹図は武家に人気があったようです。

 

出典:リビング東京Web

左、夏秋渓流図屏風 鈴木其一筆 6曲1双 紙本金地着色 日本・江戸時代 19世紀、鷲鷹図屏風 曾我宗庵筆 2曲1隻 紙本墨画 日本・江戸時代 17~18世紀 すべて根津美術館蔵

同時開催 女面の魅力 ─能「杜若(かきつばた)」に寄せて─

女面は年齢や性格により様々な表情を見せる工夫がなされています。 季節に合わせて能「杜若」を思わせる装束と共に楽しめる展示となっていました。

能「杜若」は、三河の国にさしかかった旅の僧の前に現れた杜若の精が、在原業平(ありわらのなりひら)の半生を語り、二条の后・高子と業平の形見の唐衣と男性の貴族が被る冠をいただき優雅に舞を舞う演目です。

「からころも きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる たびをしぞおもう」 「かきつばた」の5文字を句の上に置いて業平が詠んだ歌です。

 

出典:リビング東京Web

「女面の魅力 ─能「杜若」に寄せて─」展示風景 根津美術館蔵

季節の茶道具取り合わせ 若葉どきの茶

茶の湯の道具が夏向きに変わる初夏、若葉がさわやかな季節にふさわしい茶道具の取り合せが展示されていました。

 

出典:リビング東京Web

「若葉どきの茶」展示風景 根津美術館蔵

 

出典:リビング東京Web

季節の茶道具取り合わせ展示風景 根津美術館蔵

新緑の庭園に燕子花

新緑がさわやかな季節、庭園の散策もお勧めです。藤棚や、燕子花が咲く池があり、観覧した作品世界のイメージをさらに広げてくれます。

根津美術館で開催中の「財団創立85周年記念特別展 国宝・燕子花図と藤花図、夏秋渓流図 光琳・応挙・其一をめぐる3章」は5月11日(日)までです。

是非お出かけください。

 

出典:リビング東京Web

根津美術館 庭園

ミュージアムグッズ

ミュージアムグッズは、《藤花図》マスキングテープ(300円)、オリジナル香 光林(1‚400円)を購入。 オリジナル香 光林は、尾形光琳の《燕子花図屏風》をイメージしたすっきりと品のよいお香です。

 

出典:リビング東京Web

ミュージアムグッズ 根津美術館

〇根津美術館 NEZU MUSEUM

URL:https://www.nezu-muse.or.jp/

住所:〒107-0062 東京都港区南青山6-5-1

TEL:03-3400-2536

開館時間:午前10時~午後5時 ただし、5月5日(月・祝)から11日(日)は午後7時まで開館。(入館はいずれも閉館30分前まで)

休館日:毎週月曜日 ただし4月28日(月)、5月5日(月・祝)、6日(振替休)は開館、5月7日(水)休館

展示室 / ミュージアムショップ /庭園 / NEZUCAFÉ

〇交通:地下鉄銀座線・半蔵門線・千代田線〈表参道〉駅下車 A5出口(階段)より徒歩8分、B4出口(階段とエレベータ)より徒歩10分、B3出口(エレベータまたはエスカレータ)より徒歩10分

都バス渋88 渋谷~新橋駅前行〈南青山6丁目〉駅下車 徒歩5分

駐車場:9台(うち身障者優先駐車場1台)

〇財団創立85周年記念特別展 国宝・燕子花図と藤花図、夏秋渓流図 光琳・応挙・其一をめぐる3章

会期:2025年4月12 日(土)~5月11日(日)

※オンライン日時指定予約です。

入場料:一般 1‚500円、学生 1‚200円

*障害者手帳提示者および同伴者は200円引き、中学生以下は無料

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