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管理栄養士「注意が必要です」→中高年が知らずに摂りがち…骨をもろくする“NG食習慣”とは?【プロが解説】

  • 2025.5.21
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

年齢を重ねるごとに気になってくる“骨の健康”。「なんとなく疲れやすい」「腰や膝に違和感がある」「骨密度の低下を指摘された」——そんな経験がある方も多いのではないでしょうか。
中高年になると、骨の量や質が加齢とともに減少していき、「骨粗しょう症」などのリスクも高まります。
カルシウムを意識して摂っているつもりでも、実は“食べ合わせ”によってその吸収が妨げられているケースも。
今回は、骨の健康を守るために注意したい食習慣のポイントについてご紹介します。

カルシウムとリンのバランスに注意

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

まず知っておきたいのが、カルシウムとリンの摂取バランスです。
カルシウムは骨の材料として欠かせない栄養素ですが、リンと過剰に摂取すると、体内でのカルシウムの吸収が妨げられたり、排出が促進されたりすることがあるといわれています。

特に、加工食品やインスタント食品、スナック菓子、清涼飲料水などに多く含まれる「無機リン」は、吸収されやすい一方で、カルシウムのバランスを崩しやすいとも指摘されています。

たとえば、「チーズたっぷりのインスタントパスタ」や「スナック菓子+牛乳」など、一見カルシウムが摂れているように見えるメニューも、過剰なリンの摂取によって栄養吸収に影響を与えてしまう可能性があるのです。

また、朝食にウインナーとチーズトースト、昼食にカップ麺とヨーグルトといった手軽な食事が続くと、知らず知らずのうちにリンの摂取量が増えてしまうこともあります。

理想的なリンとカルシウムの摂取比率は1:1程度とされますが、現代の食生活では「リン過多・カルシウム不足」になりやすい傾向にあるため、注意が必要です。

カフェインや塩分の摂りすぎも吸収の妨げに

また、飲み物や調味料にも骨の健康に影響を与える可能性もあります。

コーヒーや紅茶などに含まれるカフェインには、カルシウムの排出を促す働きがあるとされており、「ヨーグルトと一緒にコーヒーを飲む」といった組み合わせが、吸収効率を下げてしまうことも。

さらに、塩分の過剰摂取も、カルシウムが尿と一緒に排出されやすくなる原因のひとつといわれています。
味の濃い惣菜やラーメン、漬物などを頻繁に食べる食生活では、骨の健康に必要な栄養素をうまく保持できない可能性もあるので注意が必要です。

高血圧対策としても減塩が推奨されていますが、骨の健康を守る意味でも、塩分の摂取量には気を配ることが大切です。

骨を守るには「バランスの良い食事」と「生活習慣」の見直しを

骨を強く保つためには、カルシウムだけでなく、ビタミンD(魚・きのこ類)やマグネシウム(海藻・ナッツ類)などの栄養素も重要です。
また、ビタミンDは日光を浴びることで体内で活性化されるため、朝の散歩や軽い運動を取り入れることも骨の健康維持に有効です。

年齢とともに消化・吸収の力が落ちてくる中高年世代では、「きちんと食べているつもり」でも、実際にはうまく吸収できていない場合もあります。
だからこそ、栄養素を効率よく取り入れるための食習慣や食べ合わせの工夫がカギになります。

日々の生活を少し見直して、「加工食品に頼りすぎていないか」「味つけが濃すぎていないか」「運動や日光浴が足りているか」をチェックしてみましょう。
食事・運動・生活習慣の“ちょっとした工夫”が、将来の骨の健康を大きく左右します。


監修者:西島 理衣(管理栄養士)
千葉柏駅前胃と大腸肛門の内視鏡日帰り手術クリニック健診プラザ所属の管理栄養士。子どもから大人までの食育と栄養指導に携わり、「薬だけに頼らない健康づくり」をサポート。日常生活で実践しやすい食事アドバイスを得意としています。食事から始める健康づくりを、千葉柏駅前健診プラザでお手伝いします。