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『死の病』と恐れられいた…『梅毒』が10年で再び急増中→意外と知られていない“4つの初期症状”とは?【医師が監修】

  • 2025.5.24
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

近年、ニュースで取り上げられるようになった梅毒。名前だけは聞いたことがある方も多いでしょう。でも、実際に何が原因で広まり、どのように対処すべきかを知っている人は少ないかもしれません。

この記事では、約10年間で急激に患者数が増加している梅毒について、専門家の声を交えつつ解説します。「そんな病気、自分には関係ない」と思わずに、ぜひ読み進めてみてください。

梅毒ってどんな病気なの?

梅毒は、トレポネーマ・パリダムという細菌によって引き起こされる性感染症です。この菌は、主に性的接触を通じて感染します。皮膚や粘膜から体内に侵入し血液を巡って全身に広がっていくのです。

初期症状は以下の通りです。

  1. 感染後3週間ほど
    性器や肛門や口唇に痛みのないしこりや潰瘍ができることがあります。これは自然に消えることもあるため、見過ごされがちです。
  2. 感染後3ヶ月ほど
    手のひらや足の裏、体に赤い発疹が現れます。この発疹は出たり消えたりすることもあり、症状がなくても感染力はもっています。
  3. 感染後3年ほど
    全身の皮膚や筋肉にゴムのような腫瘍が発生し、炎症が広がります。
  4. 感染後10年ほど
    末期症状とされていて、脳や大血管にさまざまな症状があらわれ、神経障害や大動脈炎・大動脈瘤など深刻な健康被害をもたらします。

    まさに「知らない間に」「静かに」進行する、ある意味で非常に厄介な病気なのです。

梅毒の再流行、その背景とは?

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

梅毒がなぜこれほどまでに話題になっているのでしょうか。1つの大きな要因は、予防意識の低下や、避妊具の使用が適切に行われていないことです。また、オンラインや多様な出会いの場が増加する中で、性行為に対するリスク意識が希薄になっていることも指摘されています。

さらに、梅毒の症状が他の病気に似ていることから、見逃されがちになり、気づいた時には手遅れというケースも少なくありません。

梅毒は病気が進行するまで気付かないことが多く、知らず知らずのうちに他者へ感染を広めるリスクも高いのです。このため、早期発見と早期治療が何よりも重要です。

早期の対応が鍵に

では、私たちはどうすれば良いのでしょうか。

まずは、予防策として避妊具の使用を徹底することです。これにより、かなりの確率で感染を防ぐことができます。

また、パートナーとの信頼関係を築き、感染リスクについてオープンに話し合えるようにすることも大切です。その他、性感染症の迅速な検査を受けることができるクリニックも多く存在しますので、積極的に利用しましょう。

治療については、梅毒はペニシリンという抗菌薬で治療をします。治療は、感染の進行具合や個人の状況によって異なりますが、通常は数週間から数ヶ月の期間で治療が行われます。

昔は『死の病』と恐れられていましたが、検査と治療が確立され、抗生剤で治すことの出来る性感染症ですので、症状が少しでも気になる場合は、すぐに専門医に相談しましょう。

気になることがあれば早めの受診を

梅毒の症状は一時的に消えることはあっても、自然に治癒することはありません。梅毒トレポネーマは体内に潜んでいるため、しっかりと治療をしなければなりません。

また、パートナーが梅毒にかかっていたことがわかった場合も必要以上に恐れることはなく、まずは専門医を受診しましょう。

梅毒に関する知識をしっかりと持ち、未然に防ぐことは、私たち自身や大切な人々を感染から守るために重要です。まずは正しい知識を持つことから始めましょう。


監修者:ペアライフクリニック(https://pairlife-clinic.com/) 百束 全人

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医師。東京工業大学在籍後、直接人の役に立ちたいと医学の道を志し、2012年に日本医科大学医学部に入学。2018年に同大学卒業。医師免許取得後、会津中央病院での臨床研修を経て、日本医科大学武蔵小杉病院勤務で泌尿器科を学ぶ。その後、水道橋スクエアクリニック勤務で皮膚科診療を経験し、2024年より皮膚・泌尿器科領域での性感染症内科ペアライフクリニック(https://pairlife-clinic.com/)勤務。現在に至る。