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医師「かえって体重が増えるかも」 『更年期』の症状を悪化させる…ダイエットと更年期の“意外な関係性”とは?【医師の解説】

  • 2025.5.20
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

最近体重の増加が気になってダイエットをしている・しようと思っている人も多いはず。しかし、更年期の体調変化とダイエットの密接な関係をご存知ですか?

多くの人が「体重を減らさなきゃ!」と焦る気持ちになるものですが、実はその焦りが更年期の体調に悪影響を及ぼす可能性があるのです。一体どういうことなのか、詳しく見ていきましょう。

更年期の心と体に必要な栄養

更年期はホルモンバランスの変化が大きく、心身に様々な影響を及ぼします。

特に女性の場合、エストロゲンの減少が顕著で、骨密度の低下や心身の不調を引き起こすことがあります。この時期に無理なダイエットを行うと、健康に必要な栄養素を十分に摂取できず、体調がさらに悪化する恐れがあるのです。

例えば、低カロリーの食事を続けるとカルシウムやビタミンDなどの骨を強くする栄養素が不足し、骨粗鬆症のリスクが高まります。また、鉄分が不足すると貧血を引き起こしやすくなり、これによりシンプルに疲れやすくなったり、集中力が落ちることも。

そしてタンパク質が不足すれば、筋力の低下や代謝の減少につながり、ますます痩せにくい体になるという悪循環に陥ります。更年期はただでさえ体調の変化に対応するためのエネルギーが必要な時期です。

このため、むやみにカロリー制限をすることは避け、バランスのとれた食事を心がけることが大切です。

無理をしない体重管理のコツ

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出典:photoAC(※画像はイメージです)

では、どのようにして健康を損なわずに体重管理をすれば良いのでしょうか。まず大切なのは「無理をしないこと」です。目標を現実的に設定し、短期間で体重を減らすことを避け、長い目で見た健康維持と体重管理を目指しましょう。

例えば、1日に何キロ走るといった極端な運動や短期間での大幅なカロリー制限はかえってストレスになり、逆効果になることがあります。その代わりに、手軽にできる運動を毎日継続して続けるなど、日常生活の中で体を動かす機会を増やすと良いでしょう。

食事については、炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラルの五大栄養素をバランスよく摂取することが有効です。ついつい脂質が多くなってしまいがちですが、バランスを考えた食事を摂りましょう。

また、過度に炭水化物などを避けるのはかえって逆効果になる場合も。血糖値が急上昇しにくい食品を選ぶことが健康的な体重管理につながります。さらに、寝不足やストレスはホルモンバランスを乱し、体重増加につながることもあるため、心地よい睡眠とストレス軽減を意識することも大切です。

バランスのとれた生活を心がけて

更年期は誰もが通る道であり、その上で無理なダイエットは体調を崩す大きな要因となり得ます。多くの女性がこの時期に冷えやほてり、不安感など様々な不調を感じる中、じっくり自分の体と向き合い、無理のない体重管理を心がけましょう。

バランスの取れた食事や適度な運動、良質な睡眠を重ねることで、体が本来の働きを取り戻しやすくなるため、焦らず1歩ずつ進んでいきましょう。


監修者:浅草橋西口クリニックMo 峯 陽子

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大学病院にて乳癌診療に従事する傍ら、地域のクリニックでは内科、皮膚科、泌尿器科を担当。女性の健康や体の不調に関する診療経験が豊富で、幅広い知識に基づいた診療を行う。

浅草橋西口クリニック(https://asakusabashi-mo.jp/