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『親の介護』で“月15万円以上”の出費…→『介護破産』の恐ろしい現実とは? 今からできる“5つの対策”【プロが警告】

  • 2025.5.19
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「親の介護が始まったら生活が一変した」「気づけば貯金がどんどん減っている」――超高齢社会の日本では、このような声をよく耳にします。

特に、介護が長期化するケースや医療的ケアが必要になる場合、想像以上にお金がかかります。そして今、プロが警告しているのが医療費の増加が家計を直撃し、気づかぬうちに「介護破産」へとつながるリスクです。

介護に関する備えをしていたつもりでも、見落とされがちな落とし穴が、家計をじわじわと圧迫しているのです。

「介護費用」と「医療費」、別モノとして考える落とし穴

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

多くの人は、「介護にはお金がかかる」と理解しています。

実際、介護保険サービスを利用した場合でも自己負担があり、デイサービスや訪問介護、施設入所などで月に5万〜15万円の出費になることもあります。ところが、それに加えて“医療費の増加”が重くのしかかることを想定していない人が多いのです。

介護が必要な人は、同時に持病を抱えているケースが多く、通院・服薬・リハビリなど、医療関連の支出が増える傾向にあります。特に高齢になると、複数の慢性疾患を抱える「多病併存」の状態になることも珍しくなく、診察代・薬代・検査費用などが毎月コンスタントに発生します。

例えば、介護保険で施設入所している人でも、病院への通院や訪問診療、投薬などの医療費は別途かかりますし、介護施設では医療行為ができないケースも多く、結局は外部の医療機関との連携が必要になります

このあたりをしっかり把握していないと、「介護費用だけ準備していたのに、医療費で貯金が底をついた」といった事態になりかねません。

介護と医療は別」と切り分けること自体が、実は落とし穴になっているのです。

制度の限界と“見落とされがちな支出”

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

介護や医療に関してはもちろん公的な制度があり、介護保険も健康保険も、高額療養費制度などがそれにあたります。ただし、これらの制度は「自己負担がゼロになる」わけではありません。あくまで一部負担を軽減するものに過ぎず、完全に費用をカバーしてくれるわけではないのです。

また、制度を利用するには「申請が必要」「利用限度額がある」といった運用上の制約も多く、正しく理解していないと「制度があるのに使えていない」状況にもなりかねません。

さらに見落とされがちなのが、介護や医療に付随する『間接的な支出』です。たとえば、通院にかかる交通費、付き添いのための休職や早退、介護者自身のメンタルケア、介護食や紙おむつなどの日用品…。一つひとつは大きな金額でなくても、月単位・年単位で積み重なると相当な金額になります。

介護する側も年を重ねるため、自身の健康や老後資金にも不安が出てくるのはごく自然なことです。

親の介護が終わった後、「自分の老後に必要な資金が足りない」という二重苦に陥るケースも少なくありません。つまり、介護破産とは、今だけでなく将来までをも見据えた“長期的な資金崩壊”のリスクだと言えるのです。

家計を守る第一歩は「想定外」を減らすこと

「医療費の増加が家計を直撃する」という言葉の通り、介護だけでなく医療や生活のコストが重なってくることで、気づかぬうちに家計が疲弊していく――それが「介護破産」のリアルです。介護そのものへの備えだけでなく、医療費や周辺コストまで含めた「トータルな視点」が、これからの時代には必要です。

対策としては、以下のような行動が現実的です。

  • 親の健康状態や医療ニーズを把握し、必要な医療費を予測しておく
  • 介護保険・医療保険・高額療養費制度などの仕組みを事前に学んでおく
  • 地域のケアマネジャーや包括支援センターと連携して情報を集める
  • 公的支援だけでなく、介護に使える民間保険やサービスも検討する
  • 家族全体で情報共有し、将来の役割分担や費用負担を事前に話し合っておく

介護は突然始まり、長く続くものです。そして、家計への影響は「目に見えるコスト」だけでなく、「見落としがちなリスク」からもやってくるという現実を知っておくことが大切です。

いつか誰にでも訪れるかもしれない介護のタイミング。だからこそ、「知らなかった」「準備していなかった」とならないように、今日から少しずつできる対策を始めておきたいですね。


監修:寺崎芳紀(株式会社アースソリューション 代表取締役)
東京都生まれ。明治大学政治経済学部卒業。大手介護事業会社にて数多くの介護事業所開発や運営に携わる。2007年より現職。経営コンサルタントとして医療機関・介護事業所運営のコンサルティングサービス等を行い、現在に至る。