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最後5分で嗚咽…ハンカチではなく“タオルが必要なくらい号泣” 鈴木亮平&有村架純と実力派俳優たちが魅せる最新作

  • 2025.4.25

鈴木亮平と有村架純が初共演、兄妹役を演じる映画『花まんま』。「涙が幾度もあふれ出す」というキャッチコピーにどれだけハードルを上げられようと、涙なくしては見られない展開が何度も訪れ、ラスト5分には嗚咽してしまうくらい心が震えた。

「予告見ただけでうるうるきてる」「どんどん期待がふくらんでいく」という声がSNSにも上がっているが、すでに鑑賞した筆者は、その期待は間違っていないと太鼓判を押したい。

※予告以上のネタバレはありませんが、公式サイトで明かされている程度の内容には触れています。

子どもが花で作る弁当“花まんま”

第133回直木賞を受賞した朱川湊人の短編集『花まんま』(文春文庫)を原作に、子どものままごと遊びで作った“花のお弁当”がキーアイテムとなる、ある兄妹の不思議な体験を描いた物語。『九十歳。何がめでたい』『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』『そして、バトンは渡された』などで知られる前田哲が監督を務めている。

大阪の下町で生きる熱血漢の加藤俊樹(鈴木亮平)は、早くに亡くした両親との約束を守ろうと、親代わりとなって奮闘しながら妹のフミ子(有村架純)を育ててきた。

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(C) 2025「花まんま」製作委員会

フミ子は中沢太郎(鈴鹿央士)との結婚が決まり、式の準備をしていたが、彼女は“別の家族の記憶”があるという奇妙な秘密を抱えており、俊樹には内緒でその家族に会っていた。その家族の末娘・繁田喜代美(南琴奈)が亡くなり、彼女の記憶がフミ子に入ったのだ。

兄として妹のフミ子を守り続けてきた俊樹は、フミ子の結婚が決まり、やっと肩の荷が下りるはずだったのに、フミ子の行動を知って居ても立っても居られなくなる。俊樹と違って、両親を亡くした時は幼すぎて、ほとんど両親の記憶がないフミ子にとって、“別の家族の記憶”の方が鮮明で、その家族に花嫁衣裳を見せたいという想いは、俊樹に何を言われても揺るがない。だが、“別の家族の記憶”も薄らいでいくようになり、俊樹はある決断をすることに……。

鈴木亮平の快演と有村架純の美しさが際立つ

俊樹を「兄やん」と呼んで慕うフミ子と、「兄貴はほんま損な役回りやで」と言いながらも、妹が可愛くて仕方ない俊樹。兄妹に扮する鈴木と有村の相性の良さが、スクリーンから伝わってくる。

フミ子と太郎の結婚式での俊樹のスピーチは、鈴木自身が内容を考えたそうだが、本当の兄が妹に伝えているようなメッセージで、鈴木の快演が光る号泣もののこのシーンには、ハンカチではなくタオルが必要なくらいだ。

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(C) 2025「花まんま」製作委員会

有村が演じるフミ子は、ただ可愛いだけの妹ではなく、自分をしっかりと持っている女性で、兄の俊樹に対しても譲れないことは、頑として押し通す強さがある。有村の美しさと芯の強さが、フミ子を通して伝わってくる。

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(C) 2025「花まんま」製作委員会

そんなフミ子が結婚する太郎は、カラスの研究をしている大学の助教で、真っ直ぐでお人よしの好青年。カラスと話せるという設定がほほ笑ましく、鈴鹿にピッタリのキャラクターだと思う。この太郎の特技が、ストーリーのカギとなる場面は面白くて見どころだ。

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(C) 2025「花まんま」製作委員会

関西出身の俳優が集結して秀逸な演技を披露

フミ子の状況はファンタジックな設定のようだが、他人の記憶を持つ子どもが実際にいるという映像を、“世界のミステリー”的な特別番組で見たことがある。説明のつかない現象というものは起こり得るようだ。『花まんま』のフミ子にもこういった現象が起きるが、1人で頑張って育ててきた俊樹には、妹が別の家族と親しくすることは、両親を裏切っているようで受け入れ難いことだった。

本作の舞台は大阪で、別の家族は滋賀県にいるという設定。俊樹とフミ子の周囲には明るくて元気な人が多く、演じるキャストも関西人ばかり。鈴木と有村は2人とも兵庫県出身ということで、本当の兄妹のように見える。SNSにも「兄妹感、めっちゃすごい」といったコメントが見られるが、初共演とは思えないケミストリーが感じられる。

ボケとツッコミなど、楽しい関西弁が飛び交う中、ファーストサマーウイカが演じる俊樹の幼なじみ・三好駒子らは、遠慮のない話し方で俊樹たちに接しているので、近所の人みんなが家族のようだ。

そして、別の家族の方も、フミ子が訪ねてくると温かく迎え入れる。俊樹にとってはつらいことだが、フミ子と親しくする繁田家の人々が彼女の結婚を喜ぶ姿にはグッと来てしまう。特に、娘を亡くした父・仁を演じる酒向芳の深い悲しみを抱えた演技が秀逸だ。

TVドラマ『アンメット』や、映画『検察側の罪人』などでクセの強い役を演じることも多い酒向だが、本作の仁は心優しい父親で、酒向の名演技に非常に心が揺さぶられた。酒向は、有村主演の朝ドラ『ひよっこ』にも出演している。

子役の演技も愛らしくて感動的

俊樹とフミ子を演じた子役も、とても愛らしい。俊樹役の田村塁希はフレッシュな新人子役で、フミ子役は朝ドラ『ブギウギ』で趣里が演じた主人公・スズ子の娘・愛子を演じた小野美音。田村は、まだ子どもながら、妹を守らなければと奮闘する俊樹を好演しており、小野も不思議な記憶を宿しつつも“別の家族”に会いたいと願う、幼いフミ子を見事に表現している。

鈴木、有村をはじめとするすべてのキャストがピッタリと役にハマり、温かい涙がたくさん流れ、鑑賞後は心がほかほかする映画『花まんま』。GWにぜひ楽しんで観てほしい。


映画『花まんま』2025日4月25日(金)全国公開
出演:鈴木亮平、有村架純、鈴鹿央士、ファーストサマーウイカ ほか
原作:朱川湊人『花まんま』(文春文庫)
監督:前田哲 脚本:北敬太
配給:東映
公式サイト:https://hanamanma.com
(C) 2025「花まんま」製作委員会

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(C) 2025「花まんま」製作委員会


ライター:清水久美子(Kumiko Shimizu)
海外ドラマ・映画・音楽について取材・執筆。日本のドラマ・韓国ドラマも守備範囲。朝ドラは長年見続けています。声優をリスペクトしており、吹替やアニメ作品もできる限りチェック。特撮出身俳優のその後を見守り、松坂桃李さんはデビュー時に取材して以来、応援し続けています。
X(旧Twitter):@KumikoShimizuWP