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医師「介護リスクを高める」→実は “尿もれ”は放置すると危険…たった5分でできる“トレーニング法”とは?【医師が解説】

  • 2025.4.30
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「くしゃみをした拍子に少し漏れてしまった」「トイレまで間に合わないことがある」――年齢とともに増えてくる“尿もれ”の悩み。恥ずかしさから誰にも相談できず、「年齢のせいだから仕方ない」とあきらめている人も少なくありません。

しかし近年、尿もれの背景には“下半身の筋力低下”が大きく関係しており、そのまま放置することで将来的な介護リスクを高める可能性があることがわかってきています。
「まだ大丈夫」と思っている今こそ、体のサインに気づき、対策を始めるタイミングです。

本記事では、尿もれと深い関係がある「下半身の衰え」に焦点をあて、予防・改善のために今日からできる具体的な習慣について解説します。

尿もれと「下半身の筋力低下」の意外な関係

尿もれにはいくつかのタイプがありますが、中でも中高年に多いのが「腹圧性尿失禁」と「切迫性尿失禁」です。
これらは骨盤底筋群という、骨盤の底にある筋肉が緩むことで起こりやすくなるといわれています。

骨盤底筋は、膀胱や子宮、腸などの内臓を下から支えている筋肉群で、尿道や肛門を締める働きも担っています。
この筋肉が弱くなると、咳やくしゃみでお腹に力が入ったときに尿が漏れたり、急な尿意をコントロールできなくなったりするのです。

さらに問題なのが、骨盤底筋の衰えが下半身全体の筋力低下(いわゆる“ロコモ”)とも連動して進行すること。
太ももやお尻の筋肉、体幹の筋力も一緒に衰えると、転倒しやすくなったり、外出や歩行の意欲が下がる原因にもなります。
こうした状態が長期化すると、結果的に要介護となるリスクもあるのです。

実は“尿もれ予防”にもなる!下半身を鍛える習慣とは?

尿もれ予防には、骨盤底筋を中心とした下半身の筋力維持が不可欠です。
次のような習慣は、加齢による筋力低下を防ぎ、尿もれの予防・改善にもつながります。

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

■ 骨盤底筋トレーニング

「尿もれ予防の基本」とされる運動で、座っていても立っていてもできるのが特徴です。

やり方の一例:

  1. 背筋を伸ばして椅子に座る
  2. お尻の穴や尿道を“ギュッと締める”ように力を入れる(5秒間キープ)
  3. 力を抜いて5秒休む
    → 10回×1日3セットが目安

継続することで、排尿をコントロールする力が高まり、軽度の尿もれは数週間~数か月で改善が期待できるという報告もあります。

■ スクワットや階段の昇降運動

太ももやお尻の筋肉を鍛えることで、骨盤周辺の筋力が強化され、骨盤底筋へのサポート力も高まります。
深くしゃがまなくても、軽いスクワットや椅子からの立ち上がり運動を繰り返すだけでも効果的です。

■ 毎日の歩行を意識する

1日20〜30分のウォーキングは、下半身全体の血行改善や筋力維持に役立ちます。
「買い物は歩いて行く」「エレベーターより階段を使う」など、生活の中に自然に取り入れることが続けるコツです。

医師コメント
下半身強化は排尿・排便の改善につながります。アンチエージング(抗加齢)の観点からも若さを保つ意味で有意義です。
筋肉を使う生活を意識すること”は非常に大切なポイントです。

「年だから仕方ない」ではなく、「今から整える」が未来を変える

尿もれは、恥ずかしさや我慢から対処が遅れがちな不調ですが、多くの場合は生活習慣の見直しと軽い筋トレで改善が見込めることがわかっています。

特に「骨盤底筋」「太もも」「お尻」といった下半身の筋肉は、尿もれだけでなく、転倒・寝たきり・要介護の予防にも直結する大切な部分です。

最近つまずきやすくなった、くしゃみや笑ったときに尿が漏れることがある、トイレの回数が急に増えた、椅子から立ち上がるのがつらいと感じる、下半身の筋トレはほとんどしていない…。

どれか一つでも心当たりがある方は、「予防の第一歩」として、筋肉を使う生活を意識することが大切です。
無理な運動ではなく、できる範囲でコツコツと続けることで、体は確実に応えてくれます。

「まだ大丈夫」ではなく、「今のうちに整えておこう」
その意識が、尿もれの改善だけでなく、将来の健康寿命を守ることにつながっていきます。


監修者:大嶺卓司(腎・泌尿器科おおねクリニック 院長)

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京都府立医科大学・大学院卒業。京都府立医科大学泌尿器科学教室元臨床教授。
“世の光であれ!(来院することで元気になれる希望の光のように)”、”守侍医として(患者さんの側に侍り、病から守る)”、”地域の健康ステーション”を基本理念として、泌尿器科専門医としての専門性を生かし、地域のかかりつけ医として貢献したいと考えています。

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