医師「糖尿病のリスクも高める」→ 『昼間の眠気』は放置すると危険だった… 注意が必要な“意外なサイン”とは？【医師が解説】

「夜はしっかり寝たはずなのに、昼間に眠くて集中できない」「会議中にウトウトしてしまう」――そんな日中の眠気、誰しも経験があるかもしれません。多くの人は「睡眠の質が悪いせい」と考えがちですが、実は“睡眠障害”が隠れている可能性もあることをご存じでしょうか？十分に寝ているつもりでも、眠りの質が著しく低下していたり、睡眠中に無自覚の問題が起きている場合には、日中の強い眠気として表れることがあります。
この記事では、昼間の眠気を引き起こす「見逃されやすい睡眠障害」の種類と特徴、見極めのポイントについて解説します。

“昼間の眠気”は要注意サイン？ 睡眠障害の代表例

日中に強い眠気を感じる原因は、単なる睡眠不足や寝不足だけではありません。
特に以下のような睡眠障害は、自覚しにくいまま進行し、日常生活に支障をきたすケースもあるため、要注意サインです。

■ 睡眠時無呼吸症候群（SAS）

夜間、睡眠中に何度も呼吸が止まり、そのたびに脳が覚醒してしまう病気です。
いびきが大きい人、日中に強い眠気がある人、肥満気味の人に多く見られます。

本人に自覚がないことも多く、「夜中に何度も目が覚める」「起きても疲れが取れていない」といった訴えが特徴です。
重症の場合は高血圧や心疾患、糖尿病のリスクも高めるとされています。

■ ナルコレプシー

十分な睡眠をとっていても、突然強い眠気に襲われ、短時間の居眠りを繰り返してしまう病気です。
10代後半〜20代で発症するケースが多く、感情の起伏によって突然力が抜ける「情動脱力発作」が伴うこともあります。

■ 概日リズム睡眠障害（体内時計の乱れ）

夜ふかしや交代勤務、不規則な生活習慣により、体内時計と社会的な活動時間がずれることで、眠りたいときに眠れず、起きたい時間に起きられない状態になります。
「朝がつらい」「昼過ぎからようやく頭が働く」といったタイプの人は、この障害の可能性もあります。

「質が悪いだけ」と思い込みがちな落とし穴

「日中眠いのは、睡眠の質が悪いから」と安易に自己判断してしまうと、隠れた睡眠障害の見逃しにつながる恐れがあります。
特に以下のような症状が続く場合は、単なる寝不足ではなく、医学的な評価が必要です。

• 1日7時間以上寝ても眠気が取れない
• 仕事や勉強中に我慢できずに眠ってしまう
• 運転中や歩行中に眠気を感じたことがある
• 起床時に頭痛や口の渇き、倦怠感がある
• 就寝時間が毎日ずれており、休日の昼夜逆転が習慣化している

これらは、無意識のうちに睡眠の質やリズムが崩れている兆候です。
睡眠の問題は、集中力の低下や事故リスクの上昇だけでなく、メンタル不調や生活習慣病のリスクとも直結するため、軽視せずに向き合うことが大切です。

“隠れ睡眠障害”は生活の質を大きく左右する

「眠っているつもり」「休んでいるつもり」でも、実際には質の低い睡眠になっているという人は少なくありません。
とくに睡眠時無呼吸症候群や概日リズム睡眠障害のような症状は、本人の自覚が薄いため、放置されやすいのが問題です。

日中の眠気が気になる人は、以下のような対策を見直してみるとよいでしょう。

• 就寝・起床時間を毎日なるべく同じに保つ
• 寝室の環境（照明・温度・音）を整える
• 寝酒やカフェインを避け、就寝前の刺激を減らす
• 睡眠の状態を記録する「睡眠日誌」をつけてみる
• 家族にいびきや寝言、無呼吸の有無を観察してもらう

それでも改善しない場合や、「日常生活に支障が出るほどの眠気」が続くようなら、睡眠専門外来や内科での相談が検討されます。

“よく眠れているつもり”の裏に、見えない障害が潜んでいるかもしれないことを、ぜひこの機会に知っておいてください。

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監修者：浅草橋西口クリニックMo 頴川 博芸

静岡県沼津市出身。日本大学医学部中退、東海大学医学部卒業、順天堂大学大学院医学研究科修了。順天堂大学医学部附属静岡病院で初期臨床研修修了後、順天堂大学医学部附属順天堂医院、越谷市立病院、順天堂大学医学部附属練馬病院などを経て現在は浅草橋西口クリニックMo院長、順天堂大学医学部附属順天堂医院食道・胃外科非常勤助手。資格は日本専門医機構外科専門医、日本温泉気候物理医学会温泉療法医、日本医師会認定産業医など。趣味は旅行。