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「月10万は親の介護費」「5年で500万出費」最悪の場合は“介護破産”も… → プロが教える【5つの回避術】

  • 2025.5.15
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

高齢化が進む現代において、親の介護は多くの人にとって身近な問題となってきました。「まだ元気だから」と先のことと思いがちですが、突然の入院や要介護状態は決して珍しいことではありません。

そして、介護に直面した多くの家庭を悩ませるのが「お金」の問題です。介護費用は想像以上にかかることも多く、「家計を圧迫する」「自分の生活がままならなくなる」という声も少なくありません。中には、生活が立ち行かなくなる「介護破産」に陥るケースも存在します。

今回は、知っておきたい介護費用の現実と、「介護破産」に至らないためにできる備えについて解説します。

介護にかかる費用、実際どれくらい?

まず気になるのは、介護にかかる費用が実際どのくらいなのか、という点。

公益財団法人生命保険文化センターの調査(2021年)によると、介護にかかった費用の平均は「月額約8.3万円」、さらに介護期間の平均は「約5年1か月」と報告されています。単純に計算しても、合計500万円前後の出費が発生するということになります。

ただしこれはあくまで平均値。介護が長期化すれば、それ以上の費用がかかるケースも珍しくありません。特に自宅介護を選ぶ場合でも、デイサービスや訪問介護などの介護保険サービスの利用、オムツ代や医療費など自己負担が積み重なっていくため、月10万円以上になることもあります。

また、特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームなどの施設に入所する場合は、より高額になる可能性があります。

特別養護老人ホームは比較的入所費用が安いといわれていますが、それでも個室への入所の場合は月15万円程度かかる場合もあります。有料老人ホームですと入居一時金が数百万円単位で必要になる施設もあり、月々の費用も高額になりがちです。資金が不足していると「いざというときに入居できない」という事態にもなりかねません。

こうした費用が家計を圧迫し、貯金を切り崩しながらの生活が続くうちに、家族の生活も危うくなる――そんな背景から、近年「介護破産」と呼ばれる事態に陥る世帯が増えてきているのです。

「介護破産」は他人事じゃない。起こりやすい背景とは?

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「介護破産」という言葉は少しセンセーショナルに聞こえるかもしれませんが、実際には誰にでも起こり得る現実です。

特に、高齢の親を子ども世代(40~60代)が支える“老老介護”や“中年介護”では、現役世代の収入と貯蓄で親の介護費用を賄うケースが多く、本人の老後資金まで圧迫されてしまうことも。

さらに、仕事を続けながら介護をする「ビジネスケアラー」は約300万人とも言われ、介護離職によって収入が減るリスクも深刻です。働き盛りの世代が介護に専念することで、自身の生活費や子どもの教育費まで圧迫されてしまうと、家計が一気に苦しくなります。

また、介護サービスの利用にあたっては、「要介護認定」の程度によって使えるサービスや費用負担の割合が変わるため、制度への理解不足が経済的負担を増やしてしまうこともあります。知らないうちに“損をしている”状態になっている人も少なくないのが現状です。

こうした理由から、「介護費用が家計を圧迫するのは当然」と思ってしまいがちですが、実は正しい制度理解と早めの備えがあれば、ある程度の出費を抑えることも可能です。

「介護破産」を防ぐために、今からできること

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

介護は、ある日突然始まり、長期にわたって続くものです。精神的、肉体的な負担に加え、経済的な負担も家族に重くのしかかります。ですので、介護費用が家計を圧迫したり、経済的に困窮する事態を防ぐためには、事前に情報を収集し、しっかりと準備しておくことが非常に重要です。

具体的には、以下のようなポイントを意識しておくと安心です。

  • 公的介護保険制度の仕組みを正しく理解しておく
  • 親の年金や貯金の状況を早めに把握しておく
  • 介護費用に使える民間保険や制度を検討しておく
  • 地域包括支援センターなどで相談し、利用できる支援制度を把握する
  • 自分自身の将来に備えたライフプランを立てる

「まだ大丈夫」と思っていませんか? いざという時の備えは、早いに越したことはありません。家計にゆとりのあるうちに、介護についてご家族と話し合い、必要な制度やサービスを調べておくことが、将来の大きな安心につながります。

介護破産は決して他人事ではありません。誰にでも起こりうるからこそ、十分な知識と周到な準備が大切であることを肝に銘じておきましょう。


(出典)公益財団法人生命保険文化センター
https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1116.html#:~:text

監修:寺崎芳紀(株式会社アースソリューション 代表取締役)
東京都生まれ。明治大学政治経済学部卒業。大手介護事業会社にて数多くの介護事業所開発や運営に携わる。2007年より現職。経営コンサルタントとして医療機関・介護事業所運営のコンサルティングサービス等を行い、現在に至る。