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『東京ラブストーリー』『Mother』『カルテット』数々の“ヒット作”を描いた天才脚本家「もうやめようと思って…」知られざる葛藤

  • 2025.4.21

「あのドラマの脚本、この映画の脚本も作っていたんだ!」と、驚く瞬間はありませんか?登場人物のセリフや行動など作品の肝となる要素を制作する脚本家は、ドラマや映画の評価を大きく左右する重要な役割を持っています。そこで今回は、“最注目の脚本家”5名をセレクトしました。

本記事では第2弾として、坂元裕二さんをご紹介します。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

1987年脚本デビュー!最注目の脚本家・坂元裕二

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(C)SANKEI
  • 脚本デビュー:1987年
  • 代表作品:ドラマ『Mother』、『カルテット』、映画『怪物』など

経歴

高校卒業後、アルバイトをしながら脚本制作に力を注いでいた坂元さん。1987年、19歳のときに「第1回フジテレビヤングシナリオ大賞」を受賞したことで脚本家デビューを果たします。そして1989年、ドラマ『同・級・生』で連続テレビドラマの脚本を初めて担当しました。

それから、1991年に脚本を担当したドラマ『東京ラブストーリー』が最高視聴率32%超えの大ヒットを記録します。その後は、主にラブストーリーをメインとしたトレンディドラマ作品の脚本を多く担当した坂元さん。しかし、1996年にドラマ『翼をください!』での脚本を担当後に、脚本家業を休業します。

休業中はゲームのシナリオ制作などに携わった後、3年間をかけて原稿用紙2000枚ほどの小説を執筆していた坂元さん。あるインタビューにて、坂元さんは「テレビが嫌で逃亡したんです。もうやめようと思って。今でも自分に向いているとは思っていなくて」と当時を振り返っています。

しかし、1998年にドラマ『きらきらひかる』に刺激を受けたことで脚本家業に復帰。それからは、ドラマ『Mother』や映画『怪物』、ドラマ『Woman』など、数々の人気作を手掛けました。

センセーショナルなストーリーが話題に…坂元裕二の代表作・ドラマ『Mother』

数々の代表作を手掛けてきた坂元裕二さんの代表作ともいえる作品が、2010年放送のドラマ『Mother』です。本作はネグレクト・母性神話をテーマにした坂元さん書き下ろしのストーリー。トレンディドラマ作品の多かった坂元さんにとって、本作は異色作として話題を集めました。

本作の見どころは、残酷で切なすぎるストーリー性です。DVを受ける道木怜南(芦田愛菜)を救った鈴原奈緒(松雪泰子)は、彼女を鈴原継美と名付けて育てますが、誘拐した事実によって離れ離れになってしまいます。助けたくても助けられない、一緒にいたくてもいられない、そんな2人の様子に涙が溢れてきます。特に、怜南が「お母さん、早く迎えに来て。つぐみ、待ってるのに、ずっと待ってるのに、どうして来てくれないの? 」と奈緒に電話するシーンには、心を大きく揺さぶられるでしょう。

SNSでは「こんなに苦しくて辛い内容、軽い気持ちで観るものではなかった」と心を抉られた一部の視聴者もいたようですが、「Mother、初めて観たけど、泣いた」「 Motherを見て感情移入して平日夜に一人の部屋で号泣している」「マジであらゆる「母」の形だった。おもろすぎたし女って最高だ」と感動する方も多くいました。

芦田愛菜さんが天才子役として一躍名を轟かせるきっかけとなった同作。実はオーディションで“書類選考に落ちていた”そうです。しかし、事務所が直談判し、奇跡的に面接へ。そこで見せた芦田さんの芝居に坂元さんをはじめプロデューサーも驚愕。その演技は絶賛され、脚本まで書き直されるほどの大抜擢となりました。

「時代に合わせるのではなく 時代に必要なものをつくりたい」…坂元裕二の今後の活躍にも要チェック!

1991年放送のドラマ『東京ラブストーリー』から2025年公開の映画『ファーストキス 1ST KISS』にいたるまで、多くのトレンディドラマ作品を生み出してきた坂元裕二さん。20年以上にわたってヒット作を生み出し続ける背景に、坂元さんは「時代に合わせるのではなく、時代に必要なものをつくりたい」と答えています。時代にあったニーズを読み取り、的確に応える坂元さんの脚本は今後も多くのヒット作を生み出すことでしょう。

ただ、2018年放送のドラマ『anone』の放送直後、「これにてちょっと連ドラはお休みします」と自身のインスタグラムで投稿。休む理由に、「4年先のスケジュールが決まっていることが怖くなって」と答えました。しかし、「別に“連ドラをやりたくなくなった”というわけでは全くなくて」とも語っているため、いつかまた坂元さん脚本の連ドラが見られるかもしれませんね。

そんな坂元裕二さんの今後の活躍に期待が高まります


ライター:天木拓海
映画・アニメ・ドラマなど、エンタメ作品を観ることを趣味としているライター。エンタメ関連のテーマを中心に、作品考察記事/コラム記事などを手掛ける。

※記事は執筆時点の情報です。