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すごいと言わざるを得ない… 豪華俳優の中で際立った“実力派女優”の圧倒的な存在感

  • 2025.5.2
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『新幹線大爆破』Netflixにて独占配信中

先日、仙台駅を訪れたら、駅構内がNetflix映画『新幹線大爆破』でジャックされていて、圧巻の光景に思わずスマホでカメラのシャッターを切った。駅の柱が劇中に出てくる新幹線・はやぶさ60号になっており、3つの大型フラッグには「人命か 使命か」「政治か 世論か」「現場か 組織か」と書かれている。

樋口監督にとっての“シン・新幹線大爆破”

4月23日にNetflixで独占配信されている『新幹線大爆破』。主演を草彅剛、監督を『日本沈没』『シン・ゴジラ』『シン・ウルトラマン』で知られる樋口真嗣が務めたノンストップサスペンスだ。新青森から東京を目指す新幹線に時速100kmを下回ると作動する爆弾が仕掛けられるといったストーリーだが、JR東日本が特別協力し、運行するはやぶさや実際の駅舎での撮影が実現している。当然ながら、VFXや特撮でのシーンも多分に盛り込まれてはいるものの、実景での撮影が映像にリアリティを生んでいる。Netflix映画としてのバジェットとJR東日本の協力がなくしては制作できなかったと言っても過言ではない。メインは発車駅となる新青森駅ではあるが、“東北の玄関口”と呼ばれる仙台駅も通過駅としてしっかりと描かれている(駅前のヨドバシカメラの方が存在感を放っているだろうか)。

そして、今作は1975年に公開された『新幹線大爆破』を、50年後の現代にリブートした作品。これは観れば誰もが思うことではあるだろうが、樋口監督にとっての“シン・新幹線大爆破”である。『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』が、庵野秀明にとっての“シン・機動戦士ガンダム”と言われているように。樋口監督の『新幹線大爆破』への愛と先人へのリスペクトが、映像からこれでもかというほどに伝わってくる。その“シン・”的要素を強く感じるのは、1975年版『新幹線大爆破』とも物語が接続された正統な続編であるということだ。細かなモチーフを引き継ぎながら、SNS社会となった現代において、乗客に心情を重ね合わせた令和版の『新幹線大爆破』である。なおかつ『シン・ゴジラ』『シン・ウルトラマン』の要素も随所に感じられ、50年前に映画館で『新幹線大爆破』(1975年)を観て衝撃を受けたという樋口監督の夢とこれまでの経験から培ってきた技術の集大成と言える作品になっている。

“樋口組”の草彅剛、斎藤工、のんと豪華なキャスト陣

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『新幹線大爆破』Netflixにて独占配信中

草彅と樋口監督は『日本沈没』以来、18年ぶりの再タッグ。ほかにも新幹線総合指令所 総括指令長の笠置を演じる斎藤工は『シン・ウルトラマン』で主演を務めていた。“樋口組”というようなキャストが集まっている中で、異彩を放っているのが運転士・松本を演じた、のんだ。のんが監督・主演を務めた映画『Ribbon』で、樋口が特撮を担当しており、ここの組み合わせもやはり“樋口組”なのだが、1975年版『新幹線大爆破』でこの運転士を千葉真一が演じていたのだから、1975年版のファンであればそのキャスティングに疑問が浮かぶのは当然だろう。しかし、そんな懐疑的な視線を払いのける芝居をのんは見事に見せてくれている。ほとんど動きのない運転席でのシーンが中心でありながら、上半身のみでそう思わせるのはすごいと言わざるを得ない。物語の核となるネタバレのため、そこまで深くは触れられないが、犯人と対峙する車掌・高市(草彅剛)の芝居とその車窓の演出も見事であった。

日本のみならず、Netflixの海外ランキングでも高順位をマークしている『新幹線大爆破』。Netflix「週間グローバルTOP10(非英語映画)」で日本第1位を獲得し、世界では第2位の好スタートを切った。Netflixというプラットフォームに乗って、あらゆる国へと樋口監督の夢と情熱を運び続けている。


『新幹線大爆破』Netflixにて独占配信中
[出演]草彅剛、細田佳央太、のん
[脚本]中川和博 大庭功睦
[監督]樋口真嗣
[配信]Netflixにて独占配信中

ライター:渡辺彰浩
1988年生まれ。福島県出身。リアルサウンド編集部を経て独立。荒木飛呂彦、藤井健太郎、乃木坂46など多岐にわたるインタビューを担当。映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』、ドラマ『岸辺露伴は動かない』展、『LIVE AZUMA』ではオフィシャルライターを務める。