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【セックスレス AND THE CITY -女たちの告白-】暴言モラハラ夫と離婚を経て熟年再婚…譲れなかった条件は

  • 2024.12.18

日本では、半数以上の夫婦がセックスレスに陥っているといわれています。食品メーカーの総務部で働く郁恵さん(仮名、53歳)と、内装会社を経営する鉄さん(仮名、54歳)は、共にバツイチ同士の再婚カップルで、今のところはセックスレスではないそうです。離婚歴のある人に特化した結婚相談所で出会ったという2人は食に関する趣味がぴったりで、「仮にレスになっても円満にやっていけそう」と感じていると郁恵さんは話します。

■離婚歴のある人向けの結婚相談所に登録

「シングルマザーだった私には23歳の息子がいて、大学を卒業後に楽器メーカーへ就職しました。息子が就職と同時に一人暮らしを始めたことで急に寂しくなり、知人の紹介で結婚相談所に登録してみました。離婚歴のある人同士をマッチングさせる相談所で、古き良きお見合いのようなシステムがかえって安心感がありました」。
そこで出会った鉄さんは1歳年上。父親から引き継いだ内装会社を経営している中小企業の社長です。
「彼はもともと、高校卒業後に語学留学したアメリカで出会った人の紹介で、日本に本社がある小規模貿易会社に就職して日米を行き来していたそう。でも職場恋愛だった奥さんと離婚してからなんとなくいづらくなり、実家の家業を継いだと聞いています」。
鉄さんは素朴で男らしい雰囲気があり、頭にタオルを巻いて現場作業をする姿が似合う体育会系。
「最近は留学生向けに古い一軒家をリノベーションする仕事をしたりしています。私が苦手な英語が堪能なところにも惹かれましたね」。

■「お前んちのババアが早死にするから」と暴言も

郁恵さんの元夫・光さん(仮名)は新卒で就職した会社の同僚で、国立大学農学部出身の研究者だったそう。
「お菓子の開発研究をしていた元夫は、モラハラ気質というか、自己愛が強すぎる人でした。同僚として出会った頃は『若手で信頼できるのはお前だけ』『お前は特別。ほかは保身ばかりのクズばっかりだ』と、やたらと褒めてくれましたけど結婚後に豹変しました」。
29歳でできちゃった結婚をした郁恵さんは、高校時代に母親を亡くしていたため、里帰りせずに産前産後も自宅で過ごしたそうです。
「初めての産後は誰でもナーバスになるものだと思うんですけど、私の場合は特にひどくて。元夫は睡眠欲が強いのか、あくびばかりしていて子どもができる前から寝坊や遅刻がしょっちゅう。そのくせ夜中にゲームを始めると止まらなくなる人で、少しでも自分のペースが乱れると癇癪を起こすんです。赤ちゃんが生まれたばかりの頃なんて、夜泣きがひどくて夜中にあやしていると壁を叩いて『いいかげんにしろ』と怒鳴り、『泣かせるなんてお前も子どももおかしいだろ。病院行け』と暴言を吐いてきました」。

次第に食欲を失ってやつれていく郁恵さんを見た女友達が、「お母さんがいなくても実家に帰ったほうがいい」とアドバイスしてくれたそうです。
「それでも何とか子どものために踏ん張ったんですが、ある時、どうしても泣き止まない子を背負って廊下を歩いていたら『明日は大事な会議なのにふざけるな。俺の足を引っ張るな』と怒鳴られて、『父親の自覚がないの? 普通手伝うでしょ』と言い返したんです。そしたら『同僚の嫁はみんな里帰りしてる。お前んちのババアが不摂生で早死にしたせいで、俺は損しているんだ』と信じられないことを言われました」。
次の日、妹と父親に電話し、荷物をまとめて実家に戻ったという郁恵さん。
「母はいませんが、父はまだ現役で働いていて体力的にも経済的にも余裕がありました。すぐに区の保健師さんに連絡してくれて、心療内科や弁護士も手配してくれました。当時60代でしたが、父はミルクをあげたりおむつを替えたりして、夫よりずっと頼りになりましたね。当時は一人暮らしをしていた妹も週末に手伝ってくれたおかげで、ようやく一息つけたんです」。
郁恵さんは光さんと離婚し、実家から通勤しながら1人息子を育て上げました。

■息子が独立し、急に寂しくなって結婚相談所へ

「父は5年前に心筋梗塞で急逝しましたが、元気だった頃は孫とキャッチボールをしたりしてよく遊んでくれましたね。妹が生んだ2人の男の子もしょっちゅう遊びに来たので、息子はにぎやかな環境で育ちました。私は産休明けに総務部へ異動してからは通勤する駅も変わり、元夫と会うこともなくなりました。そのまま私は同業他社へ転職。元夫は再婚したそうですが、養育費をもらわなくなってからは連絡もしていません」。
実父の死後、相続の関係で実家を売却し、近くの賃貸マンションに引っ越したという郁恵さん。
「息子が独立して急に孤独を感じて『動物を飼うか彼氏を探すか』と迷っていました。そんな時、友人に『知人がバツイチ向けの結婚相談所をやっているよ』と教えられ、期待せずに入会したところ、今の夫の鉄と出会いました。初めから会話が弾んで、地元の居酒屋でずっと笑っていたことを覚えています。彼はバイクが好きで、高校時代の写真はヤンキー漫画みたいでしたけど(笑)。昔なら知り合わなかった相手と仲良くなれるのも会話の引き出しが多い熟年ならでは。2人とも『料理と食べることが大好き』という点でも相性がいいです」。

■レスになっても「食べる楽しみ」でつながりたい

鉄さんには高校生の娘が2人いるそうですが、養育費は支払っているものの先方の意向で何年も会っていないそうです。
「元奥さんとそのお母さんが『パパと会いたくないって言いなさい』と洗脳しているようで気の毒に思っています。でも『手紙は送っているので成人したらわかってくれるかなって気長に待っている』と寂しそうに笑っていました」。
そんな2人は楽しい新婚生活を送っているそう。
「もう年も年なので性交渉の頻度は多くないですが、レスではないですよ。月に1〜2回は彼の趣味のバイクで遠出してホテルに泊まったりしています」。
鉄さんの唯一の「再婚相手の条件」は意外にも「よく食べる女性」だったそうです。
「料理と食べることがとにかく好きで、美味しそうに好き嫌いなくたくさん食べる女性が好みなんだそう。そういう意味では私はぴったりでした」。
郁恵さんも、鉄さんの「食べ方」を好ましく思っているといいます。
「彼は残さずたくさん食べるんですが、自分の胃袋の容量を心得ていて、食べきれない量は注文しないんです。元夫はテーブルいっぱいに料理が並んでいないと嫌で、『金を払っているからいいだろ』と平気で残していました。今になってみると、見栄っ張りで手に入れたものを雑に扱う性格が出ていたと思います」。
郁恵さんは、この先もし鉄さんとレスになっても、食べる楽しみを共有しながら楽しく暮らせそうだと感じているそうです。

※本記事では、プライバシーに配慮して取材内容に脚色を加えています。

取材・文/星子 編集/根橋明日美 イメージ写真/PIXTA

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