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2024年公開の劇場版『コナン』に仕掛けられた“時空の交差点” 昔からの青山ファンだからこそ感動した“小ネタ”

  • 2025.5.29
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(C)青山剛昌/小学館/真・侍伝YAIBA製作委員会

『真・侍伝 YAIBA』と『名探偵コナン』は、毎週土曜日の17:30より連続して放送されており、どちらも原作者が青山剛昌であることからこの1時間は“青山剛昌アワー”とも呼ばれている。本稿では、原作者が同じだからこそ生まれた両作の数々の“共通点”と、劇場版『名探偵コナン』にも登場しファンを沸かせた“小ネタ”を紹介したい。

『真・侍伝 YAIBA』のキャラクターから感じる“既視感”の理由

『真・侍伝 YAIBA』の原作である『YAIBA』は、1988年より「週刊少年サンデー」(小学館)にて連載されていた漫画作品。1993年に『YAIBA』が完結を迎えた後、1994年より同じく「週刊少年サンデー」にて連載がスタートしたのが、今や国民的作品となり劇場版も毎年大ヒットを記録している『名探偵コナン』だ。

『真・侍伝 YAIBA』を観て、『名探偵コナン』を思い浮かべた視聴者はきっと多いだろう。それは、キャラクターから垣間見える両作のさまざまな共通点が理由ではないだろうか。たとえば、主人公である鉄 刃(くろがね やいば)役と江戸川コナン役を務めるのは、どちらも声優・高山みなみだ。

地上波の放送では、『真・侍伝 YAIBA』放送後のCMの最中に、「『YAIBA』の後は、『名探偵コナン』!」という高山みなみのセリフが。この短いセリフの中で、高山は刃とコナンを自然に、かつはっきりと演じ分けている。お互いの衣装を交換した刃とコナンのイラストも見どころだ。

刃と敵対するライバルにあたるのが、風神剣の力を手に入れ鬼になってしまった鬼丸猛だ。この2人のライバル関係は、工藤新一と服部平次の関係にも通ずる。また、両作のヒロインである峰さやかと毛利蘭も、ツッコミ役を務めたり武道を習得していたり、どこか重なる設定になっている。さやかと蘭は2人とも強く芯のある女性として描かれており、他にも登場する個性豊かなキャラクターたちに負けていない。

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(C)青山剛昌/小学館/真・侍伝YAIBA製作委員会

他にも、キャラクターがシルエットでもわかるような特徴的な髪型をしているなど、シンクロする部分が多い両作。『真・侍伝 YAIBA』は、後に誕生した『名探偵コナン』の“元祖”と言っても過言ではない。血の繋がりを感じるようなこの2作品を見比べて重なる点を探すのも、青山剛昌アワーの楽しさだ。

劇場版『名探偵コナン』に鬼丸と沖田が?“クロスオーバー”する青山剛昌作品

実は、原作漫画『YAIBA』に登場する鬼丸と沖田総司というキャラクターは、2024年に公開された劇場版『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』にも登場している。劇場版にて鬼丸は剣道の強さを発揮し、鬼になってしまった本編とはまた違う姿を見せた。まさかの両作の“クロスオーバー”に、昔から青山作品を追っているファンを沸かせたのだ。

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(C)青山剛昌/小学館/真・侍伝YAIBA製作委員会

劇場版『名探偵コナン』に『YAIBA』のキャラクターが登場する展開は、両作を深く知っている人にとってたまらないファンサービスだ。一方で、鬼丸や沖田を知らない層にとっては、『真・侍伝 YAIBA』に興味を持つきっかけにもなるだろう。今後、別のキャラクターがまた登場し、交差する可能性もある。クロスオーバー要素によって、青山作品にさらなる面白さと深みが生まれているのだ。

『真・侍伝 YAIBA』と『名探偵コナン』は、同じ原作者だからこそ生まれた数々の共通点をひとつの演出のように楽しめる作品のように思う。そして、それぞれの作品が重なるシーンやキャラクターを見つけると、作品愛が次第に増していくのを感じるだろう。『真・侍伝 YAIBA』は、『名探偵コナン』との密接な“繋がり”が楽しい作品だ。


真・侍伝 YAIBA
ABEMAにて毎週土曜22:30より最新話を無料放送
[番組URL]https://abema.tv/video/title/2-29
【(C)青山剛昌/小学館/真・侍伝YAIBA製作委員会】

ライター:まわる まがり
主にアニメについての記事を書くライター。コラムやレビュー、映画の作品評を手がける。X(旧Twitter):@kaku_magari