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知らないと損するかも? 話題沸騰の新作ガンダム、 アニメがもっと面白くなる“わかりにくい用語”の意味

  • 2025.4.15
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(C)創通・サンライズ

4月期のテレビアニメで最も注目を集めている作品のひとつ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(以下ジークアクス)』の放送がついに始まった。今年1月から映画館で先行上映が行われ、興行収入30億円を超える大ヒットとなったのも記憶に新しいが、その先の物語が紡がれていく。

第1話の内容は、先行上映でも披露されたが、あらためて振り返ってみたい。

大胆不敵で活発な主人公・マチュ

先行上映の劇場版『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-』では、いきなり、『機動戦士ガンダム』第一話の変奏的な物語が展開した。キャラクターデザインも当時の安彦良和氏のキャラクターデザインに寄せた絵柄で、本来アムロが乗るはずだったガンダムにシャア・アズナブルが乗り込んだ「架空戦記」が展開したことで、観客を驚かせた。結果として『ガンダム』本編では敗北するはずだったジオン公国が勝利した世界となり、『ジークアクス』本来の物語、主人公のマチュ(アマテ・ユズリハ)たちの物語へとつなげていく構成になっていた。

本放送では、最初からマチュたちが登場する年代・U.C.(宇宙世紀)0085年から始まる構成になっている。第一話は、主人公たちが物語の渦中へと巻き込まれていく様が、テンポよく描かれ今後の期待を膨らませるに充分な内容だった。

スペースコロニーに暮らす女子高生マチュことアマテ・ユズリハ(黒沢ともよ)は、難民で運び屋として生計を立てている少女ニャアン(石川由依)と出会う。モビルスーツの起動用のインストールデバイスを運んでいたニャアンにマチュは興味を示し、その取引現場についていくことにする。その取引相手は、非合法なモビルスーツ同士の決闘競技「クランバトル」に参加するために、デバイスを必要としていたのだ。そんないつもと違う非日常の世界にマチュは興味津々だ。

時を同じくして、ジオン公国軍中佐のシャリア・ブル(川田紳司)が、赤いガンダムの行方を追って同じスペースコロニーにやってきていた。赤いガンダムはかつてシャリアと「MAV(モビルスーツ(MS)が2機ひと組で戦闘を行う戦術、またはそのパートナーを指す)」だったシャア・アズナブルの乗っていた機体。シャリアは行方不明となっているシャアを探して赤いガンダムが出没する噂を追いかけ続けているのだ。

そして、ついに見つけた赤いガンダムだが、乗っているのはシャアではないと感じるシャリア。それでも確保しようとエグザベ少尉(山下誠一郎)にモビルスーツ・GQuuuuuuXで出撃命令を下すが、サイコミュが反応せずに敗北。しかし、戦闘に巻き込まれる形でたまたま居合わせたマチュがGQuuuuuuXを機動させ、その力で窮地を脱していくことになる。

スペースコロニーという箱庭に閉じ込められ、大きな宇宙へ飛び出していきたいと常々考えていたマチュは、自らモビルスーツに乗り込み戦いを挑んでいく。巻き込まれた格好になったが、能動的にその渦中に飛び込んでいく子気味良い主人公の魅力が発揮された第1話だった。

本作の面白さは、モビルスーツ同士のバトルアクションはもちろんのこと、女性主人公2人の関係性がこれからどう描かれるのかも注目だ。鶴巻和哉監督と脚本の榎戸洋一氏は、かつて破天荒な青春アニメ『フリクリ』を作った2人。今後登場予定のシュウジも含めた3人の主要登場人物がこれから、どんな困難に立ち向かっていくのか、注目だ。

専門用語の解説

本作は『ガンダム』シリーズ特有の専門用語も頻出する。その用語の意味を押さえておくと知らなくても物語を楽しむことは充分可能だが、知っておけばよりスムーズに理解しやすい。ここでは、いくつかの主要な専門用語を解説しておこう。

宇宙世紀(U.C.):本作の舞台となる架空の歴史の年表。人類が地球から宇宙に移住を開始した年を0001年としている。第一作『機動戦士ガンダム』は0079年の出来事が描かれており、本作は0085年を舞台としている。

コロニー:宇宙に建設された人工の居住空間。主人公のアマテたちが暮らすのは、イズマ・コロニーという日本風のコロニーだ。

一年戦争:『機動戦士ガンダム』で描かれた、地球連邦軍と独立を宣言して宣戦布告したジオン公国との戦いの総称。本作では、この一年戦争の最中にシャアは行方がわからなくなり、シャリアは彼を探している。本来の歴史では地球連邦軍が勝利しているが、架空戦記である本作ではジオンの勝利に終わっている。

ミノフスキー粒子:広範囲に電波障害を引き起こす粒子。この粒子がまかれると長距離の敵を索敵できないため、モビルスーツでの近接戦闘が主流となった。

ニュータイプ:超人的な直観と洞察力を持つ人間のことを指す。ニュータイプ同士は、非言語的な、心と心が直接感応しあうようなコミュニケーションをすることがある。

サイコミュ:ニュータイプの発する特殊な脳波「感応波(サイコ・ウェーブ)」を利用して、モビルスーツなどの機体制御を行うというもの。ジークアクスの機体は「オメガ・サイコミュ」という特殊なシステムを搭載しており、これが起動できないと満足に性能を引き出せないようだ。

マブ(MAV):MS二機一組の戦術のことであり、またはそのパートナーを組む相棒。クランバトルもマブを基本にしており、二機一組でエントリーすることになっている。

ゼクノヴァ:サイコミュの暴走によって引き起こされると考えられている不思議な現象。これの発生によってシャアは行方不明となった。


劇場版とは異なる形で構成されているので、すでに映画館で見た視聴者にとっても新鮮な気持ちで見られる構成となっている。これからどんな物語が紡がれていくのか、楽しみだ。

機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)
ABEMAにて毎週日曜22時より最新話を無料放送
放送開始から1週間、最新話を無料で視聴できる。
[番組URL]https://abema.tv/video/title/13-197
【(C)創通・サンライズ】


ライター:杉本穂高
映画ライター。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。X(旧Twitter):@Hotakasugi