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映画監督・蜷川実花さんが生きづらさを感じる女性たちに伝えたいこととは?

  • 2019.7.7

写真家、映画監督、マルチな才能で活躍されている蜷川実花さんへのインタビュー。父・蜷川幸雄さんから教えられたことはまさに、今生きづらさを感じる女性たちに伝えたいことなのだそう。第一線で活躍し続ける実花さんのブレない芯の強さとは?

父からの言葉で大切にしているのは「自立した女性でありなさい」

――お父様の蜷川幸雄さんから教えられたこと、その中で大事にしていることがありましたら教えてください。

「父が書籍の中で言っていたことや小さい頃に言われたことなどいろいろありますが、要するに父の教えは“自立した女性でありなさい”ということに集約されていると思います。精神的なことだけじゃなくて経済的にもきちんと自立しなさいっていう教えはキレイ事じゃなくて、実はとっても重要なことなんですよね。特に若い子たちに伝えたいのは、経済的に自立していれば人生における自由度が高くなるということ。私自身もそれで助かったことがいっぱいあります。それから、すごく良い教育だったと思うのは、“男性を通じてしか社会と繋がれない女にはなるな”とずっと言われてきたこと。今の時代に合ってますよね」

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人と違ってもいい。自分で自分をがんじがらめにしないで

――以前、インタビューで「みんなが右に行っても、左に行ける強さを持とう」ということをおっしゃっていました。今は社会的なプレッシャーや同調圧力、他人と自分を比べてしまって苦しんでいる女性たちが多いと思うので、そういう方へのアドバイスはありますか?

「私は両親のおかげか、他人と違うことに対する恐怖心が圧倒的に少ないんですが、特に日本は他人と違うことに対しての恐怖心がものすごくある。でも冷静に考えてみたら、人はそれぞれ違うからこそ面白くて、異なる人同士が何かを一緒に体験したり語らうからこそ美しいと思うんです。他人と違うことに対する恐怖心というのは知らず知らずのうちに植えつけられているから、そこを少しでも解放できるように自分で努力するしかないのかなと思うんですね」

――「少しでも解放してみる」ですね。

「人に迷惑をかけないかぎりは、自由にしていいと思うんですよね。年齢を気にせず着たい服を着ればいいし、まぶしければサングラスをかけてもいいし、暑かったらストッキングを履かなくてもいい。自分で自分をがんじがらめにしなくていい。ちょっとしたことですけど、それが大きな冒険への一歩だったりすることもあるし、そういう小さなことの積み重ねで自分を解放できるんじゃないでしょうか」

――人と違ってもいいと。

「もちろん時と場所はわきまえないといけないですけど。人と違うことってそんなに怖くないですよ。“あの人はああいう人だから”って枠に行くのが好きで(笑)、そうするとすごく自由になれると思う。そのぶん自分で責任を取らなきゃいけないことは出てくるんですけど、そもそも人生ってそういうものじゃないですか。結婚しなくたっていいし、結婚してなくて子どもがいたっていいし、もっと選択肢の幅が広くて許容される社会であればいいなっていうのは本当に思います。それはもしかしたら自分の小さな行動が積み重なって変わっていくかもしれないし、ちょっとした勇気で全然違う景色が見えるかもしれないというのはいつも思っています」

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ポジティブなことを探す習慣を身につける

――その小さな一歩を踏み出し続けるのは大変かと思いますが、モチベーションはどういうところから見い出せばいいでしょうか?

「楽しいことに目を向ける力が必要だと思っています。そういう意味でいうと写真を撮るってポジティブなことを探していく作業なんですよね。人とシェアしたいことや残しておきたいもの――ご飯が美味しかったから、お花がキレイだったから、みんなに見せたい景色だったから――写真を撮るってそういうことだなと基本的には思っています。例えば絶対に1日10枚写真を撮ろうって決めたら、10個素敵なことを探そうとするんですよ。そうすると楽しいことや面白いことが目に入ってきやすくなる」

――それはその通りですね。

「例えばカフェラテが美味しかったっていうことに意識を向けて集中していくだけでも気持ちが全然変わってくると思います。人はネガティブなことにとらわれやすいけど、今日は天気がいいなとか、空気が気持ちいいっていう些細なことに目を向ける訓練を続けてみる。そういうことを1か月続けてみたら、けっこう変わってくると思います。私は毎日、楽しいことに意識を向けるようにしています」

 

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他人と比べる必要はない

――変わらなくちゃとか成長したいとか気負わずに楽しいと思う心を大切にした方がいい?

「何かをしなきゃいけないっていうのはもはや強迫観念ですよね。今は情報が多いから例えばインスタとか見てると、「○○さんはママなのにいつもキレイで毎日すごく充実してるのに、私はそうできない」っていうところに陥りやすいと思うんですけど、私自身がインスタやってるからよくわかるけど、いいところしかアップしないんで(笑)。それはどんなタレントさんでもみんな同じですよ。お化粧しているときしかアップしてないだけ、いいところしかアップしてないだけだから、そこに惑わされないでくださいねって強く言いたいです。私だって地獄の日々はありますから。他人と比較するよりも、昨日よりちょっとキレイじゃない?とか、昨日よりここ頑張れたんじゃない?って、昨日の自分と比較するだけで十分だと思います」

 

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Movie Director:Yohei Takahashi (f-me)
Writing:Mayuko Kumagai
Edit:Natsuko Hashimoto(TRILL編集部)

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